西洋薬の利尿薬による舌の変化から考察
2018年04月11日
先週から今週にかけては複雑な環境におかれている数名の方の相談に乗っていたら心身共にクタクタになり
ブログの更新もせずWebサイトの作成も行わないで、貧乏ひまなし状態の店主である。
最近は大和魂を補う剤を毎日まじめに摂取している。
話は本題に戻し
当店の漢方薬で体を調整してる常連さんは数日前に西洋薬の利尿薬を医師に処方され内服を始めた。
この方は非常に薬に対しての反応が敏感な方なので、何か不快な症状が出ないかと心配していたのですが、やはりすぐに不快な症状が出始めた。
その不快な症状と舌の状態から、西洋薬の利尿薬がこの方に起こった作用を考察してみたい。
まずは当店の漢方薬のみで調整している時の舌の状態を見てみる。
この方は体の中に痰飲を蓄えやすい体質なので、肺・脾・腎を温め気を巡らす生薬を飲んでもらっている。
体調により苔は増えたり減ったりするのですが、この時は調子が良い時の写真である。
そしてこれが西洋薬の利尿薬を飲んで2日後の写真。
一気に苔が増大して、泡沫をふくむ肝欝線が舌辺沿いに広がり、それ以外の苔は乾燥傾向である。
本人の自覚症状は首から頭部にかけての痺れが出てきており、肩こりが酷く、口の乾きも酷いが飲み物が欲しくない、味覚が減退する事による食欲減退、そして倦怠感がある。
しかしその薬を内服することにより一気に尿量が増えて、足のむくみは解消する。
大量の尿を排出したといえども、苔の増大、口の乾きがあるが飲み物はほしくないという事、頭部から肩にかけての痺れと肩のこり出ている事から、現在の状況は三焦水道での津液の偏在が起こっている状態と推察する。
どうやら、彼女が内服した利尿薬は、短期間に足のむくみが解消したことからも、強力に余剰な湿邪を排出する事には成功したが、肝欝線が出ている事、倦怠感がひどい事からして、気虚から気滞を引き起こしてして有用な津液の流通が停滞したと考察できる。
苔が増大したのは、強力に飲邪を排出したが為に起こった気虚⇒気滞からの二次的な副産物であり、その証左として体の上部で痺れと凝りが複合的に起こっているからである。
明らかに、身体下部のみの飲邪もしくは津液を排出したものと考えられ、このままいけば下肢での有用な津液の虧損が始まりこむら返りが起こる可能性も考えられる。
なるほどね、舌診で滑苔と定義されているサラサラとしているモノは、余剰な湿邪だけでなく有用な津液を表している事は確かやね。。そしてこの有用な津液のおかげで体内で生じる不要な痰飲を排出を潤滑油的に体外に排出するのを助けてるんやね。。。
この状態の舌は有用な津液と気が奪われる事によって、体内の不要な痰飲が三焦のあちこちの膜腠でねづまりを起こしているから、糸状乳頭が増大し多量の舌苔が付着してしまっている状態をあらわしているのではないか?
この方にフィットした漢方薬を内服していようと、3日もかからず舌の状態をこれほどにまで変えてしまうとは、それにして西洋薬の即効性は恐るべき・・・
今回の件は非常に勉強になったのでブログに記載。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。