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アトピー性皮膚炎に温性の活血剤で炎上した一例

2016年11月09日

 アトピー性皮膚炎でお悩みの方を4ヶ月前から当店で治療しているが、症状は順調に改善してきており、ステロイドのランクも最弱のものに切り替え、1日1回の塗布まできている。

特に胸部や首、手の炎症が酷かったのであるが、顔の一部の炎症を残すのみである。(特に夏場の炎症は酷く、胸部や腕が真っ赤になり直接冷房の冷風でクールダウンさせなければジンジンしていたぐらいである。。。)

当初は舌の状態は教科書通りの湿熱状態示しており、舌質⇒紅 舌苔⇒厚黄微膩

夏はじめから治療なので、気温と湿度の変化により、その都度、処方の微調整を行い。

処方⇒茵蔯蒿湯+大黄牡丹皮湯+三物黄芩湯に落ち着く
構成生薬⇒茵蔯蒿・山梔子・大黄・牡丹皮・桃仁・冬瓜子・芒硝・乾地黄・苦参・黄芩
以上10味の処方構成になる。

順調に皮膚症状も改善に向かい(皮膚内の炎症状態は起きなくなり、皮膚上の凹凸も無くなる)
舌質も 紅⇒薄紅 舌苔は黄微膩⇒薄黄

んんーー!見事に教科書どおりの反応である。。しかも使用生薬数も少ないので費用的にも比較的安く済む。

しかし、舌下脈絡の怒脹は全然改善されない。。。

この瘀血を示す、舌下脈絡の怒脹は
茵蔯蒿湯内の大黄と大黄牡丹皮湯内の大黄を被せているし、牡丹皮、桃仁ではこの瘀血は取れないという事である。。。しかも舌苔も熱を示す黄苔も少し残っているし。。。

ここで、この方のアトピー性皮膚炎の病機の本は何であるかという事を再度考えてみる。

現在の処方は基本的に瀉薬中心であり、唯一、三物黄芩湯内の乾地黄が補薬で、どちらかいうとこいつらの仕事は火消し屋小町的な役割なのである。
よって、私の治療はかなり病機の標よりなのである。

元来、この方の体内に湿熱が形成したのは、訴える自覚症状と舌の状況から推察すると脾胃系統由来か肝胆系統の原因があるはずなのである。

脾胃も肝胆も中焦に属しており密接に関係している事と、この方が訴える症状を加味した上で、病機の本を改善する処方を決定した。

柴胡・薄荷・当帰・芍薬・甘草・茯苓・白朮・生姜の八味で構成されている、逍遥散である。

当帰・生姜が火を助長するような気配はするが、恐る恐る投与してみる。。

あわよくば、温性の活血剤である当帰を追加することにより、舌下脈絡の怒脹を改善してもらえる事にも期待しつつ。。。

顔面部の一部の炎症は酷くならずに、冬場になり出てきた首と瞼の乾燥も改善してきつつある。

おまけに舌苔に残っていた薄い黄も完全にほぼ白色に変化。。

よしよしと思い、2週間程その処方を飲んでもらう。

・・・・・舌下脈絡の怒脹は変わらず。。。
 
ここで以前にブログに記載した瘀血から生じる瘀熱の事が頭よぎる。。。

 瘀血から生じる瘀熱について・・・

この舌下脈絡の怒脹は、絶対この方の体内に瘀血があり、こいつが火の原因になっている。。

瘀血を早く解消せなあかん。。瘀血を早く解消せなあかん。。
瘀血を解消して、この方の病機を早期に完全治癒させよう。

この考えが失敗であった。この焦りが順調に経過していた症状を悪化させてしまったのであった。

私の血迷った処方変更
 逍遥散⇒丹参・川芎・紅花・芍薬・木香・香附子の二号方に変更

一応炎上が心配なので地竜を追加。。。

その方が1日(3包)飲んだのみで、顔面部の炎症は広がり、赤みと痒みの増加。。。
おまけに唇の上も少し腫れる。。。

やってしまった。。。。川芎・紅花・木香で火を助長させてしまった。。。

見事に体内の火は炎上。。。

火消しの為に地竜の最大量と黄連解毒湯エキス料の多い物を火消しに使う。。。

3日後に炎症は収まり、以前の状態まで回復したが、舌質に赤み、少し失われておまけに足がつるなど症状をだしてしまった。。明らかに火消し作業の寒涼薬の弊害である。
火消し用寒涼薬は中止して、現在の状況での温性の活血薬増加の道は諦めることに。。。

涼性の活血薬の増強と、上部の火を降ろすなど、色々考えた結果。。

元来のベース処方+逍遥散に山梔子と牡丹皮を加味した加味逍遥散のエキス料の少ないもの+四逆散の半量を加えた処方に変更する事にした。(そうする事により、より当帰と生姜の温性の弊害も消せると考察)

この処方で明後日から勝負する。。。

早期に完全治癒させる事を願う店主であった。。。
(今回の処方はかなり自信がある・・・・)

以上、アトピー性皮膚炎に温性の活血薬で炎上した例であった。。。。
 
今回の件で 、何十年患っているアトピー性皮膚炎なのでやはり慎重に繊細に治療せねばならない、焦りは絶対に禁物である一つ学ばさせて頂いた。