夏風邪は、漢方薬によって即効で治癒する【典型的な柴胡桂枝湯証】
2019年08月08日
漢方薬をあまり飲んだ事がない、皆さんは漢方薬に対して以下のようなイメージを持っている方が多いと思います。
- 漢方薬はゆっくり効く。
- 漢方薬なんか効いているのか?よくわからない。
- 健康食品みたいなものじゃない。
実はそんな事はありません・・・
その時に、その方が必要としている生薬を飲めば、すぐに効果がでる事も少なくありません。皆さんが思っているより、実は全然シャープに効くのです。
西洋薬はジャンジャンと新製品が発売されて、技術はどんどん発達していますよとアピールしていますが、はるか昔(2,000年前)の漢方薬の方が、治療に得意とする場面もまだまだあります。
そうです、まだまだ漢方薬も捨てたもんじゃないんです。
今回は、そのような症例を紹介したいと思います。
数日前の事。
男性が来店されて。
「クーラーの設定温度を上げる、熱がこもったようになり、温度を下げると寒気がする、風邪かな?」
と訴える。
もう少し、詳しく聞こうとすると「時間がないから早くねー!」
えらい急がすので、無難に西洋薬の風邪薬を出そうとしたが、なんとなく柴胡剤が適応する往来寒熱ぽかったので、ここは柴胡剤で攻めた方が絶対的に速効の自信がある。
よって、お客さんは嫌がるが、数分で終わる超インスタントな問診をする。
昨夜にどうしても仕上げなければならない仕事があり、睡眠時間が少なくなってしまったらしく、以下のような症状が出ているらしい。⇒一番の原因はコレ
- 自分の体温調節がうまくいかなくて、悪寒と熱感がある。
- 汗はかいている。
- 冷房により、足先が冷える。
- 食欲不振。
- 軽く吐き気がして、胃もたれのような感じがある。
- 右下腹部が張る。
- 体がだるい。
- 少し便がゆるい(朝の便の出がイマイチ)。
非常に、わかりやすい柴胡桂枝湯証である。
(柴胡桂枝湯証とは、柴胡桂枝湯いう漢方薬には9種類の生薬が入っているが、その9種類の生薬と病気になっている方が必要としている生薬が、凹凸のようにガッチリはまる状態の事をいう。葛根湯証の場合は葛根湯内の生薬と、病気になっている方が必要としている生薬がガッチリはまる。)
*ただし、全部の生薬が必要でなくても3分の2ぐらいでも、OKな時も多い。
原因は、前日の睡眠不足と過労により、気虚になり自らの力で冷房の冷気を発散できなくなっているだけである。
さらに、この数日の暑さの中の営業周りにより発汗量が多くなり、さらに気の消耗に拍車をかけて、食欲不振、軟便、だるいという症状が出ている。
おまけに、発汗過多、気の不足によって汗を排出させる汗腺が超ゆるゆる状態になっているので、簡単に冷房の冷気が体内に侵入してくる。
そりゃー、寒気がしたり、熱感があったりと変な状態になるわ。
漢方的には往来寒熱という状態であるが、冷気が中途半端な所に挟まったようなイメージで、そのせいで自分の熱がこもってしまっている。なおかつ疲れによる気の不足により、自分で発散する事ができなくなっている状態である。
中途半端な所に挟まっている冷気を、人参や甘草、大棗で補い発散する力を戻して、柴胡、黄芩、桂皮でこもった熱を発散して、芍薬で発散のしすぎにブレーキをかけるとものに、半夏、生姜とともに胃腸を温めて下腹部の緊張も和らげながら、胃腸を元気にする。
この方はちょうど食事前だったので、柴胡桂枝湯を飲んで、消化の良いものを軽食べるように指示する。
*この場合は、漢方薬を飲んで食事を取ることで、さらに気が補充されて気の発散力が高まる事により、病の治癒速度が高まる。
この方は、仕事帰りにお店に寄られ
「漢方薬飲んで、昼ご飯を軽く食べたら胃の調子もよくなって、変な寒気もとれたわ。」
と報告しにこられた。こんなに典型的な柴胡桂枝湯証だとわかりやすいパターンであれば、本当に漢方薬はよく効くし、このような症状の場合はむしろ西洋薬より速効が出る場合が多い。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。