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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

電車に乗ると急に落ち着かなくなる方に漢方薬が効果的があった症例

2021年01月22日

電車に乗ったり、散髪屋で座ると落ち着かなくなり出て行きたくなる方に漢方薬が効果的であった症例

ミズホ薬店 山本です。

今回はある場面で急に落ち着かなくなる症状が出るという方が、漢方薬を飲む事によって改善した症例を書きたいと思います。

その方が言うには、急に落ち着かなくなる症状は「財布を落としたような感覚」に近いそうで、なにかのタイミングに突然現れるそうです。


40代男性

電車に乗り、ドアが閉まるとじっとしていられなくなり、乗ったばかりなのに降りたくなる。だから停車駅の少ない快速電車が苦手で、わざわざ停車駅の多い普通電車に乗る事もあるそうです。

また散髪するために散髪屋に行き、椅子に座った時にも外に出たくなるそうです。

このような症状が続いていると、ご相談に来られました。

そしてのこの方の来店のきっかけは、以前にじっとしていると気が狂いそうになる方が良くなった事を書いたブログを見たことがきっかけだそうです。

体の状態

体の異変を感じたのは6年前で、仕事で責任ある立場になり忙しくなった時で、その時に血圧も高くなり最低血圧が100を超えるようになったそうです。

そしてその落ち着かない「財布を落としたような」感覚は、冬に強くなる傾向があり、夏には弱くなるそうです。

中肉で顔に赤みがおびており、舌の色も赤く舌苔は黄色く着色しており、中央から奥にかけて多め、舌全体にやらかさがない、寒さに強く、体の冷えを頻繁に感じるタイプではないです。

どのような事が問題か

お腹や脈の状態を確認してもらうと、みぞおちと右の肋(あばら)下にやや抵抗があり強くとおさえると気持ちの悪さが出る。脈は沈んでいて硬さのある脈でした。

お仕事も1日中パソコンの前に座っているので、頭と眼ばかりを使用して足への血のめぐりは悪くなっている事は間違いなく、お腹、脈、舌、顔色からも胸や頭部に熱がこもっている事は明らかです。

ITエンジニアの方の漢方薬相談はたまにありますが、不眠やメンタルの不調・感覚異常などを訴える方が多いですが、ほとんどの方が上半身に熱がこもり下肢への血のめぐりが悪くなっているように思います。

仕事量が多くなり期日に追われていたり、仕事に集中するタイプの方には難しいとは思いますが、座りっぱなしの状態で頭を酷使にするのは体とこころに良い事はありません。


忙しい時ほど、意識して途中で席を立ち少し歩く習慣をつける必要があると思います。

漢方薬でどのように治療していくか

まずは、体が慢性的な緊張状態になっており上半身に熱がこもりやすくなっていますので、そこを改善して上半身と下半身の流れを整えていきます。

  • 不眠傾向
  • 急に落ち着かなくなる
  • 上半身に熱がこもりやすい
  • みぞおち、右あばら下に押さえると抵抗がある
  • 大便の出が悪い時がある
  • 眼を酷使する仕事をしている
  • 血圧が高い

これらの事をふまえた上で、その方の体をイメージしてその方にあう漢方薬を考えた結果、特殊な柴胡竜骨牡蛎湯製剤と釣藤散でまずは熱を冷ましながら、血の流れを良くしていこうと思いました。

柴胡竜骨牡蛎製剤と釣藤散を飲んで1ヶ月ぐらい経つころには、気分もすっきりしてきました。

しかし大阪ではコロナ感染者が増え緊急事態宣言に突入すると、その方はテレワークになりそのストレスからか体調も少し逆戻りしてしまいました。

ストレスがかかると上半身に熱がこもり神経過敏になってしまいますので、柴胡竜骨牡蛎製剤と釣藤散の量を少し増やして飲んでもらうことにすると、また以前のように気分もすっきりするようになりました。

現在の状態

途中に仕事が忙しくなって昇りがちななった時には地竜を加えたり、夏になり気温が上昇した時に一時期的に頭痛が起こったので、白虎加人参湯を使用したりしましたが、現在は以前のような電車に乗ったり、散髪屋さんで落ち着きがなくなるような感覚が出る事はなく過ごせています。

以前に比べて調子が良くなったので、電車に乗って遠出もできるようになり、本人にも満足して頂いています。

漢方薬の効果だけではない

快速電車に乗るのに苦手だったこの方が、不安症状が出る事なく電車に乗って遠くまでいけるようになったのは、漢方薬の効果だけではないと私は思ってます。

この方は漢方相談のたびに体調の改善ぐあいを報告してくれていましたが、それと一緒に「週末はどこそこまで行ってきましたよ。」と報告をしてくれていました。

以前に比べて体調が改善するにつれて、少しづつ電車で遠くまでいけるようになるために、ご自分で練習されていたのです。

こころの病気・メンタルの病気の相談を受けていると思うのは、漢方薬はあくまでも、その人が陥りやすい不快な状態を改善する方向へ手助けしてくれますが、結局は自分の大丈夫と思える自信が大切だという事です。

この方は、ご自身でよくなりたい気持ちから苦手な状況を少しづつ克服されました。

今回の件は、私に勇気を与えてくれた症例でした。