高血圧に葛根湯が即効果が出た一例
2018年03月03日
発作的に首から後頭部のかけての締め付けが起こり、今にも死にそうな状態になると訴える女性。
少し長いですが、そういう事です。
そして血圧が最高血圧180 最低血圧110でかなり高い。
あまりに高すぎるので病院で降圧剤をもらうも、降圧剤を飲んだとたんに氷水をかぶったように寒くなり1回の服用で中止。
再度病院に行き、医師にその旨を伝えると血圧を図ると、わずか数分の間に20〜30の変動があり、精神安定剤を渡される事になる。
そのような事を訴えておられる方が来店されたので、舌を見てみる。
舌苔⇒白膩苔、舌質⇒暗紅色 舌辺部に瘀点が散在する。
もう少し色々聞いて見る。
首が締め付けられるような感じがする時は血圧が高いそうで、頭の頭皮が針にさされたようで決まった場所がチクチクして、その時は頭、首は自分もそうであるが誰にも触られたくない。
そしてその発作は、職場で兆しが現れるらしいです。
しかし舌の状態と、職場で気を張り詰めている時に起こる、針で刺されたようにチクチクという表現、血圧の変動、首筋の凝り、その方の性格などを考慮して芎帰調血飲第一加減と釣藤散を処方する。
通常時の肩凝りが少し楽になったかなという程度で血圧の乱高下は変化なし。。。
私の検討違いなので、もう少し詳しく問診する。
首の締め付けは外出時と、職場では店舗の外に出た時に起こるそうである。
病理はすごく簡単で、舌の状態とチクチク表現に騙されただけであった。
訴える症状や血圧の乱高下と酷いが、なんの事はなく太陽膀胱経に風寒邪が襲って腠理(体内と体外の気機の流通経路)の収縮困難が起こっただけであった。気機の流通が一気に狭くなる頸部で渋滞が起こるので、頭部と胴体の気・津液さらに血の流通が悪くなる。
日本のお侍さんではないが・・・
私はこの病理を風寒邪『首切り』状態と名付ける事にした。
そして症状こそは酷いが舌の状態が示す乱れとは別で表治でいける問題でした。
よって方剤は葛根湯のみ。。。
葛根湯を処方して、内服する事で数日で血圧は安定し。首筋の発作は起こっていない。
ただし、あまりにその時の発作の恐怖が忘れられずに、1日2回服用していた安定剤は1回までにしか減らせていない。
血圧の安定しているのだから、後はこの方にもっと自信をもってもらう事が私の役目であると思う。
別に裏の問題でなく、表の問題であった。
舌の状態が悪すぎるたので、騙されました。。。
(このような状態を見ると私だけではなく、裏を攻めたくなる方は多いじゃないですかねーーー?)
しかし正にこれは
痓濕暍病脉證第二
「太陽病.無汗而小便反少.氣上衝胸.口噤不得語.欲作剛痓.葛根湯主之.」
の状態でした。そして『金匱要略』の各部に患者の体質と外邪の状況により形成される病理と又は現在の病理から違う病理が形成されるヒントは書かれていますので、もっと勉強しこうと思います。
漢方医学的にも頸部の状態は弁証する上でとても大切ですが、西洋医学的にもとても重要な部位です。
『ウィキペディア』から抜粋
弱点としての頸部
首と命がつながって考えられる理由は、個体の命を頭が握っているためである。
個体の生命は
それを構成する生命に基づくが、高等な動物でじゃそれを統括する役割を神経系と内分泌系、およびその役割の中枢としての脳が果たしている面が大きい。
しかし実際にはその体を養っているのは消化系や循環系などであり、それはほぼ胴体が担っている。そのため、頭部を胴体と切り離せば個体の生命を維持できない。
つまり、それらをつなぐ部分である首を切り離す事は生命をうしなわせる行為である。
頸部には、頭部からは
- 脳から全身へ向かう運動神経および自律神経
- 口から胃へ向かう消化管
- 口・鼻から肺へ向かう期間
が、また胴体からは
- 心臓から脳へ向かう動脈
- 全身の感覚器から脳へ向かう感覚神経
が狭くなった部分に含まれる。したがって首は強強的には他の部分より劣った弱点である。
と記載されている。
これだけの様々なモノを流通させる管道がこの狭い空間にギッシリと詰まっている事が重要ですね。
当然の他の部位の関節部分も、体質的な問題や外的要因により問題がおこりやすい事は想像に難くないですね。
漢方医学的に弁証する時の重要ポイントであると思います。
そのような事を考え、応用すると
葛根湯の【効能・効果】に感冒・鼻かぜ・頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み
の手の痛みも納得できますよね。。この場合は痛む場所もそうですが、流通阻害が起こりやすい関節である、特に手首や肘部分の状態、発汗の状態と、皮膚の状態、その方の体質などを注意深く見なければなりません。
この件でも色々勉強させられた店主であった。。。
葛根湯内には麻黄も入っているために、体質によって血圧が上がってしまう人ももちろんいるでしょう。
しかし今回は、葛根湯で血圧が安定したのです。
本当に人間の体って不思議ですね。。。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。