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瘀血から生じる瘀熱について

2016年04月01日

 『中薬の配合』から抜粋です。
非常に参考になる箇所ですので、ブログに書き留めておきます。
 

瘀熱による病証では、奇妙な症候が現れることが多く、治療も困難となります。

周学海は、この病証を細かく観察し、論理的な見解を残しています。周氏は『読医随筆』で以下のように述べています

「瘀血内熱の証では、腹中が熱いという自覚症状が現れるが、これは気化によって生じた熱ではない。実火としての内熱でもなく、また陰虚による熱でもない。この熱は瘀血がもたらすものである。この証には口乾はみられない。しかし内部は水がなく渇いているのである。人体で最も熱いものは、血をおいてほかにはない。気は熱性のものであり、血は気の部屋(居場所)である。気の熱が集まらずに散れば、その炎は発散される。しかし血に熱が溜まると体は焼かれたように熱くなるのである。火(気)は炎で血は炭のようなものである。炎は炭より熱いだろうか?それとも炭が炎より熱いのだろうか?心が虚し、血が下に溜まると病人は熱湯をかぶったように熱が出る。また肝脾の鬱熱が上逆すると、脾が胸腹部からのどに向かって燃えているような症候が現れる。これはどちらも血の通り道での出来事なので、外にでてこないのである。このほか両脇部や胸の一部が火であぶったように熱くなり、胸中が辛いものを食べたようになることがある。またのどが、腫れ皮が破れたように痛み、血の臭いを発することもある。これらは、その場所に瘀血があることが原因である。瘀血は寒熱の病後に生じることもあり、渇きにまかせて冷水を一度に飲むことで生じることもある。また怒りや、急に力を使ったために生じることもある。労働後に急に休んでも生じる。このほか慢性的な食生活の乱れや、火で焼いたものを食べ過ぎ、また女性では月経の血がきちんと排出されないことでも生じる。どの場合でも、血の通りが悪くなって瘀となり、瘀が鬱して熱を生むのである。これを治療するには行瘀薬を使う必要がある。桃仁・紅花の類である。薬は紫色の塊を吐き出したり、黒い便が出るまで服用を続ける。もし実火と間違えて寒薬を使ったり、陰虚と間違えて滋補薬を使ったりしてしまうと、瘀血をさらに固め、乾血証となってしまう。初期の瘀血証で、脈が弦または弦洪なものは、容易に治療できる。まだ気が生まれているからである。しかし脈が短渋のものや、口渇がみられないものは、治療が困難となる。気が生まれていないからである。血が下に溜まり、火が上に向かって燃えている状況では、瘀はすでに生じているが、血はまだ流れている。しかし瘀血があり、患部の皮がやぶれるように痛い場合、血はすでに膜絡の中に停滞してしまい、流れなくなっている。血が流れているものは、涼化によって治療を行い、補佐的に補気を行う。『本草』は、山稜には刀柄(刀の傷跡)を消す作用があるとしている。これは山稜には、無気の血塊を解消する作用があるといっているのである」