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萎縮性腟炎の漢方薬

2025年06月14日

萎縮性腟炎とは

縮性腟炎は、女性の膣における炎症状態で、主に膣の壁が薄くなり、乾燥やかゆみ、痛みなどの症状が現れる疾患です。
この状態は、特に閉経後の女性や、ホルモンレベルの低下によって膣の粘膜が薄く乾燥しやすくなることに関連しています。

主な原因

エストロゲンの減少

特に閉経後は、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少するため、膣内の粘膜が乾燥し、薄くなります。これにより、膣の弾力性が低下し、萎縮性腟炎が発症することがあります。

(*エストロゲンは、膣の粘膜を健康に保ち、膣内のPHを酸性に保ち、感染症から守りる役割があります。)

エストロゲンが減少する原因に以下の事があります。

1,加齢

加齢に伴い、膣内の自然な潤いを保つための分泌物が減少し、同様の症状を引き起こします。

2,卵巣摘出手術(卵巣切除)

卵巣摘出を受けた女性も萎縮性腟炎を発症するリスクが高くなります。卵巣が摘出されると、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンの分泌が急激に減少し、これが膣の乾燥や薄化を引き起こし、萎縮性腟炎の症状を悪化させることがあります。

3,授乳期

授乳中の女性もエストロゲンレベルが低下し、この疾患にかかることがあります。
授乳に伴うホルモン変動が膣内の乾燥を引き起こす要因となります。

4,ホルモン治療

一部のホルモン療法や薬物療法も影響を及ぼし、エストロゲンが不足していると、萎縮性腟炎が引き起こされることがあります。特に、抗エストロゲン療法を受けている場合、症状が悪化することがあります。

萎縮性腟炎の症状

  • 膣の乾燥感
  • 性交時の痛み(性交痛)
  • かゆみや灼熱感
  • 膣内の炎症や腫れ
  • 排尿時の不快感や痛み
  • 膣からの分泌物の減少

診断

萎縮性腟炎の診断は、主に以下の方法で行われます。

病歴の聴取:症状や月経歴、ホルモン治療の有無などを確認します。
膣内の検査:膣内の状態を視診や触診で評価します。
細胞診:膣の分泌物を採取し、細胞診で炎症や感染の兆候を確認することがあります。

萎縮性腟炎の治療

1,エストロゲン療法
エストロゲンを補充する治療が一般的です。局所的に膣に直接適用する方法(膣錠やクリーム)や、経口薬、パッチなどがあります。

2,潤滑剤の使用
性交時に痛みが伴う場合、潤滑剤を使用することで症状を緩和できます。

3,膣内の乾燥を防ぐために、保湿剤や膣用ジェルを使用することがあります。

4,生活習慣の改善
喫煙を避ける、ストレス管理を行う、十分な水分を摂取するなど、全体的な健康状態を改善することも有効です。

合併症

・膣感染症
膣内の潤いがなくなることで、細菌やカンジダなどの感染症が起こりやすくなることがあります。
・尿路感染症
膣の乾燥が尿道に影響を与えることがあり、尿路感染症のリスクも高まります。

萎縮性腟炎の漢方薬

標準的治療をしても改善しない場合やお身体にあわない時は、漢方薬でも改善できる場合があります。

漢方薬での治療の基本は…

正気を補い、邪気を瀉す事です。

萎縮性膣炎の場合は
正気を補う→弱った身体の助ける。ホルモンバランスの乱れや膣の乾燥を改善して炎症をおこりにくくする。

邪気を瀉す→邪気とは、今回の場合は炎症や感染のしやすさを鎮める。

このように考えてもらうと、イメージしやすいと思います。

そして正気の弱りぐあいと、邪気の強さを考えて漢方薬を決めます。

正気を補う漢方薬は、身体の陰を補って膣や尿道などの粘膜を栄養して潤いを回復させるために、補腎薬や補血薬を使います。

補腎薬は陰虚に使用する六味丸・知柏地黄丸・杞菊地黄丸・味麦地黄丸や、陰陽両虚に使用する八味地黄丸などを、その方の状態にあわせて使用します。

また補血薬の四物湯がベースの漢方薬でも効果は出ます。

これらの漢方薬の使いわけは、その方の胃腸の弱さや冷え・炎症の起こりやすさによって、地黄や川芎という生薬の有無が決めてになってきます。

邪気を瀉す漢方薬は、膣内の潤いがなくなる事によって膣感染症や尿路感染症を繰り返している場合に、必要になってきます。

もちろん、それらの感染症は病院で抗生剤や抗真菌薬などを使用は必須ですが、再発を繰り返す場合には漢方薬が有効です。

下腹部・膣内・尿道などは湿邪の影響を受けやすく、炎症により熱化して湿熱邪になりますので、湿熱邪を瀉す漢方薬を使用します。

湿と熱の割合、胃腸の弱さ・冷え、熱の強さにより、竜胆瀉肝湯・五淋散・猪苓湯・茵蔯蒿湯・茵蔯五苓散・薏苡仁などを使用します。

漢方薬で萎縮性腟炎を治療する場合には、その人の状態にあわせて潤いを補い、炎症の強さを見極めて漢方薬を使い分けたり、併用する必要があります。

萎縮性腟炎が改善した症例

50代 女性

膣の不快感やかゆみ・粘り気のあるオリモノに加えて、顔のほてりや寝汗・口内の乾燥感が続くので病院で行くと、萎縮性腟炎と診断されました。
ホルモン剤の投与の前に漢方薬で改善できないかと、ご相談にこられました。

まずは痒みやおりものの症状が気になるので、竜胆瀉肝湯を飲んでもらったところ、それらの症状が改善してきましたが、顔のほてりや寝汗、口内の乾燥感には変化がありませんでしたので、竜胆瀉肝湯の内服量を減らして知柏地黄丸を追加する事にしました。

3ヶ月も飲むと、おりものや陰部のかゆみはなくなり、顔のほてりや寝汗、寝汗、口内の乾燥感が改善してきましたので、竜胆瀉肝湯を中止して知柏地黄丸のみとしてさらに3ヶ月経過するころには、不快症状が気にならなくなったので、1日3回服用から2回に減らして、現在も継続中です。

ひとまずホルモン剤を使用せずに、萎縮性膣炎の症状に加えて、顔のほてりや寝汗なども一緒に改善したので、ご本人も満足されているようで、ひと安心です。

このように萎縮性膣は漢方薬で改善できること事もありますので、一度ご相談されてはいかがでしょう。