口臭の漢方相談について
2025年07月14日

漢方相談をしていると、しばしばあるのが、口臭のご相談です。
口臭で漢方相談をされる方は、歯医者での治療をはじめサプリの内服まで色々な治療法をためして、満足する効果を得られなかった方がほとんどです。
そして何十年も口臭に悩まれていて、そのお悩みから日常生活の活動に制限をかけている方も少なくありません。
わらをもつかむ思いで、「漢方薬で治らないか?」とご相談されるのですが、実際には相談者の多くのは強い口臭をお持ちの方は少ないです。
逆に、口臭でお悩みではない、偏った食生活やお酒の飲み過ぎの方で強烈な口臭を発生している人は、自分の口臭に対して全然気にしないという事はよくあります。
日本人はニオイに敏感な方が多いですが、外国の女性で口臭がある方でも、ぜんぜん気にしていない事もまたよくあります。
強い口臭があるわけではないのに、マスクをした時・寝起き・体調の悪い時などに口臭があると感じてそのことを1日中気にしてしまい、そこから交感神経優位になり、口が乾き→口臭が発生しやくすくなるといった、流れになっている方が多いです。
口臭の漢方相談の実際
ではそのような流れになっている方が多い中で、実際に漢方相談は、どのように治していくかをご説明いたします。
実際に口臭の相談をお受けした時に重要なのが、漢方薬で改善する目標を明確にして、共有することです。(これは口臭のご相談だけでは、ないのですが…)
ご自身で強い口臭を明確に感じていない方のお悩みは、「口臭があるかも?」「口内が苦い」「口内がしょっぱい」「変な味がする」「口がかわく」「ニオイや臭みのある後鼻漏がおりてくる」などの訴えが多いです。
これらの自分の感覚とは別なお悩みで多いのが、舌苔(ぜったい)の多さや色です。
舌苔が多い時に、口臭を感じやすかったり、口内に違和感を感じるとの事です。
まずは「口臭(主訴)」+「気になる訴え」を明確にして、その「気になる訴え」を漢方薬で改善できそうな場合は、その事をお伝えして、漢方薬を飲みながらその「気になる訴え」が、改善していくかを観察してもらいます。
これらの「気になる訴え」がお身体の状態が崩れて発生している場合には、適した漢方薬を飲めば少しづつ改善する事ができます。
そしてもう一つ大切なのは、生きているかぎり口臭は誰にでも発生するという事を、少しづつでも良いですので認識していってもらう事です。
食事内容・口内環境・体調・ホルモンバランス・心理状況などによって、あるていどの口臭は発生してしまうのは仕方がない事です。
口臭が0か、口臭が100
口臭があるか、口臭がないか
といった白黒はっきりした完璧主義的な考えは、少しづつで良いですので捨てていきましょう。
最後に
漢方薬によって乱れたお身体を整えながら、口臭とは別の「気になる訴え」を改善して、「口臭がしているかも?」といった不安な気持ちを少しづつ取り除いていく。
繰り返しになりますが、この気になる訴えを改善してく…
例えば
「舌苔が薄くなってきれいになった」
「口の乾燥がましになった」
「口の苦みが治った」
「後鼻漏が減った」
などは、口臭への不安感や恐怖感を取り除いていく時に大切です。
それにより一日の中でも副交感神経優位の状態をできるかぎり長く作る事で、口内の唾液の質を変えたり分泌量を増やして、口臭が発生しにくい状態につながります。
「気持ちの問題かよ!」と思う方もおられるかと思いますが、身体とこころはつながっていますので、口臭が起こりにくい状態を作るのにはとても大切な事です。

大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。