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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

上咽頭炎から発生する後鼻漏の質の違いを漢方的に考えてみると

2025年06月13日

慢性上咽頭炎のご相談にのっていると、後鼻漏で悩まれる方が多いですが、後鼻漏の出方や感じ方は人によって様々です。

今回のブログは、なぜそのようになるのかを漢方のモノサシで考えてみました。

上咽頭からおこる後鼻漏の状態は…

「炎症の質」+「体質」+「神経の反応性」

によって決まります。

よって「炎症の質」・「体質」・「炎症の」の3つを漢方のモノサシで置き換えます。

炎症の質の問題(炎症・広がり・性質)

①炎症が粘膜表層にとどまる場合は、分泌物が多く出てさらさらした比較的多めの後鼻漏が出る。

【漢方のモノサシ】
病のはじめで、風寒邪や風熱邪が侵入したばかりの状態。

熱化の状態も弱くて、陰分の損傷が少ないので、鼻漏の性質がさらさらと排出しやすい。
メインの治療は風邪を除く事なので、解表薬で体表や粘膜表面に侵入した風邪を、風寒邪の場合は辛温薬で、風熱邪の場合は辛涼薬で発表する。

②炎症が慢性化して、粘液腺が刺激され続けると、粘液の量が増え排出しにくく、のどにへばりつく。

【漢方のモノサシ】
漢方的には、熱化も進み陰分の消耗が進んでいき、分泌物の粘り気が強くなり後鼻漏のへばりつきが強くなります。
しかし陽虚・気虚傾向があって痰湿体質の方は、炎症が慢性化しても熱化せずに、陰分が損傷しない場合は、後鼻漏のへばつきは強くなく、さらさらと量が多い傾向です。
陰虚の方は滋陰・気虚の方は補気・痰湿がたまっている方は化痰薬や利湿薬を考える。

③急性で一時的な場合は、粘液の分泌が一時的で後鼻漏として感じにくい場合が多い。

【漢方のモノサシ】

上咽頭に侵入した風寒邪or風熱邪をとにかく発表する。

粘液の質と排出能力

①粘液の粘り気が強い

【漢方のモノサシ】
毒性の強い感染症に感染後・老化・高ストレス状態が続くなどで陰虚になっている。
実熱と虚熱のバランスを考えて、清熱薬と滋陰の割合を考える。

②繊毛運動が弱い

【漢方のモノサシ】
老化や長期の炎症の持続・喫煙などで気虚になっている。
胃腸(脾胃)や胸(肺・心)・汗(皮毛)の状態を考えて脾と肺の気を補う。

③粘液が順調に流れて不快症状がない

【漢方的考察】
気陰が充実して気のめぐりも順調なので繊毛運動が正常

神経の敏感さ・感覚の違い

①のどの知覚過敏で少量の後鼻漏でも不快に感じる

【漢方のモノサシ】
日頃からストレス過多の生活で送っており気滞になっているか、上咽頭の炎症が心火や肝火を引きこして、神経が過敏になっている
肝の気の巡りを良くするために理気薬を使い、熱の状態により清熱薬を、陰の損傷により滋陰を配合する。

②ストレス過多で交換神経が優位になって粘膜がかわいて後鼻漏感に

【漢方のモノサシ】
肝鬱化火状態で、陰の損傷
上記と同じく、肝の気の巡りを良くするために理気薬を使い、熱の状態により清熱薬を、陰の損傷により滋陰を配合するが、ストレス状態が長期に続いている場合は心血や肝血の虚も考えられるので、補血薬の配合も考える。

③鈍感な人は多少の後鼻漏があっても気にならない

【漢方のモノサシ】
刺激に強く我慢強い人なので、後鼻漏や炎症ひどくなってから治療するので、治療期間が長引く事も。

虚の治療ではなく、実の治療である瀉薬がメインになる可能性が考えられる。

今回は後鼻漏の状態から考えましたが…以上のようにお身体に起こっている現象を、漢方のモノサシで考えると、漢方薬での治療もそれぞれの病態や体質にあわせる事ができ、効果も高まります。

上咽頭炎から発生する後鼻漏でお悩みの方で、漢方薬を飲まれている方のご参考になれば幸いです。