日本で使用される生薬量について
2016年08月07日
相変わらず、極貧経営中ですが、最近は難病系の方の治療の携わる機会が少しづつではあるが増えてきた為に、正に貧乏暇なし状態です。。。そのためにブログの更新もかなりサボっております。
嫁の頻繁におこる頭痛に対して、清上蠲痛湯・竜胆瀉肝湯・釣藤散でだいたい、通常は2回の服用で止まるのであるが、昨日は3回目の服用でやっと治まった。。。(一回目の服用は釣藤散なし・・・・)
それも一時間おきに飲ましての話であるが、普通に考えて通常料の3倍に当たる量なので、コスト的にも高く、話にならないと思っており、これも私の弁証論治の未熟さであろうとつくづく思っている。
腕のある方なら、もっと方剤数も減らせれるのであろうと思い、昨日は釣藤散を削ったらやはり効果なしであった。。。(基本、各種の祛風湿剤と竜胆草・釣藤鈎・菊花は必要ではないかと考えております)
しかし、私が常々に考えている問題は、慢性的な疾患ではなく急性の激しい、痛みや発熱やかゆみや下痢は患っている本人が苦痛のため早くとって上げる事が必要であり、日本で販売されている漢方エキス剤の生薬量では少し心もとない気もしている。
その事を考えながら、夕食と摂っていたら、テレビで外国人が日本の食材に対して絶賛するような番組が流れていたので適当に見ていたら、中国国内で使用されている生薬量は日本漢方の生薬量の3〜5倍、多い時は10倍にもなるという事とリンクした。
まずは先人の書籍からその問題についての記事を抜粋する。
『新編・中医学基礎編 張瓏英著』抜粋・・
①中国では、急性病でも中医が扱うので、治療の姿勢が積極的である。中医は弁証論治を基本にしているので、証を確実につかんだのちは、可能な限り薬用量を増大させて、病勢の転換を図っている。
②日本で使用している切片ほど細かく刻んでなく比較的大まかである。そのため煎じる薬剤の面積を考えると、量を多くしなければならなくなる。
③薬剤の来源をできるだけその周辺地に資源を求めるので、同名の薬剤でも著名な産地より効力が劣り、量的に多くしてその差を補う。
④中国の場合、日本で使用している切片ほどは乾燥していないようである、そのため同じ薬量でも、重量は重くなる。
流石、張瓏英先生ですね、問題点を4つの部分から考察して明確で簡潔なので非常に参考になります。。
未熟者ながら、私も一つ考察させて頂きます。
日本人の伝統的な食の味は他国に比べ淡い味になっており、そのような環境で先祖だいだい育って来たために、微妙な味の変化に対しても非常に感受性が強く、当然、中医学の薬学理論を占める五味に対しても日本人は他国の人間に対して感受性が強い事が考えられる、よって日本で使用する生薬量は中国に比べ少なくても十分に効果が出るのである。しかし、大東亜戦争後に徐々に欧米食が導入され、特に幼少期から味が濃厚なものでなければ、旨味を感じれない人は生薬に対しての感受性性も低くなり、必然的に生薬量も多くなる事も否定できない可能性もある。
どーでしょう。。。結構ええ感じの考察できたんじゃないでしょうか?
味が濃い目が好きな方と薄めが好きな方では、例えその病機に適合した方剤構成であっても有効生薬量は違うんじゃないかーーーー?
例えば、激辛好きな方が、辛温解表薬である、日本国内の規定量の麻黄などを服用しても発汗しないんじゃないかなと思う。。。。発汗しなければ、強烈な風寒邪が肌表を侵襲した場合は祛邪できないですものね。。。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。