漢方薬の価格を高く感じる時
2016年09月07日
もう一年半の付き合いになる常連さんであるが、あまり豊かな方ではない。
元来、営衛不和のために、汗もかきやすく風寒湿の邪に侵されやすい体質ですので、長年、膝痛に悩まされている。。
本日も、精算時にその方の手にあたると、べっちゃりと汗がにじみ出ている。。。さらに肌はやわらか~い感じ。。。(仕事がら、歩き回るし、立ったり座ったりしているので、そこから更に膝の周辺が虚になりやすいのに、手の状態がこんなにもやわらかくべっちゃりしていたら、当然、虚の状態の膝に風寒湿の邪はいともたやすく侵入する事は簡単に想像できる・・・・)
その方は、どーして痛みが長引いて我慢出来な時にだけ疎経活血湯を10日分ずつ買いにこられるのだが、なにせあまり裕福ではないので、鎮痛剤が効かなくなった時の頼みの綱にされている。
私としては、せめて2ヶ月は飲み続ければかなり改善するであろうなと思い、価格面で安くしようと提案するが、その方は紳士な方で、あまり値下げされるとこちらが気を使うのでとやんわり断られる。。。。
疎経活血湯90包⇒7,776円 1回分⇒86.4円
当店の激安消炎鎮痛剤50錠 358円 1回分⇒14.3円(1回2錠)
1回分が約6倍の価格である。。。
私の感覚では、鎮痛剤は一回の服用でシャープに効くが、疎経活血湯は2,3回目の服用ぐらいからら徐々に効いてくるイメージである。
しかし、疎経活血湯は痛みの起こっている原因である風寒湿の邪を取り除いていってくれるので、効果が出始めれば、痛みがあった事を忘れてしまう程効いてくれる。そして再発するまでの期間が鎮痛剤に比べ明らかに長い。
(ただし効果が出るのは痛みの原因が軽度の風寒湿の邪である場合であり、原因が違う場合は全く反応しない・・・)
この方は元来、営衛不和あるので、疎経活血湯のみではなく、桂枝加黄耆湯もしくは痛みが強い場合のは防已黄耆湯を加えてあげれば、もっとシャープに効き、再発するまでの期間も長くなることが明らかなのだが、これ以上のコストアップはできないであろう。。。
こんな時に、優秀な老中医であれば、その方の懐事情を踏まえながら激安で販売されているいくらかの食材と最低限の生薬との組み合わせで、コストも安くである程度の慢性の膝痛を改善してしまうのであろうなと私は苦く思いをはせるのであった。。。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。