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滋陰降火湯内の陳皮について

2016年10月08日

 滋陰降火湯の方意について朝から考察していたら、「中医臨床のための方剤学」にある記載が私には誤りのような気がしたのでブログに記載する。

「中臨床のための方剤学」 神戸中医学研究会編著
清虚熱剤 
滋陰降火湯(万病回春)
組成:炙甘草1.5g・当帰4g・白勺7g・生地黄2.5g・熟地黄・天門冬・麦門冬・白朮3g・陳皮・黄柏・知母各2g・生姜・大棗と水煎服用する。

効能:滋陰降火
主治:肺腎陰虚・火旺による・乾咳・少痰・盗汗・潮熱など。
滋補肺腎の天門冬・麦門冬・生地黄と清熱瀉火の知母・黄柏により滋陰降火湯する。補血養陰の当帰・白勺・熟地黄と健脾和胃の白朮・炙甘草・大棗・生姜・陳皮は、生化の源を補充することにより滋陰を補佐する。火旺が甚だしいときは、辛燥の陳皮・生姜は除くべきである。

と記載されてあるが。。。。

この文面では陳皮は補剤を滞らせないために配合されているような認識であるが、私には滋陰降火湯内の陳皮はこの方剤にはもっと重要な役割を担っている生薬と思えるのである。
当然、補剤を滞らせないためもあるであろう。しかし、この方剤中の陳皮はもっと重要な役割を持っており、例えれば封髄丹の砂仁のような役割があると私は考える。

封髄丹
黄柏・砂仁・甘草
で構成されており。
黄柏の苦寒により腎陰虚によって起こった火を冷ましながら降ろすのだが、中焦にある脾胃から下焦の腎に繋ぐのを助ける為に縮砂があり、本来の位置から離れてしまった相火を戻すのに大変重要な役割を担っている。そして本来の位置の戻った相火を収めるために土を覆いかぶせるような役割で甘草が配合されている。

肺腎陰虚又は陰虚火旺状態による乾咳・少痰・盗汗・潮熱などの症候を治す為には、この方剤中の陳皮は必須であると私は考える。

よってこの文面の火旺が甚だしい時は辛乾の陳皮は除くと記載してあるが、火旺が甚だしい時ほど陳皮は必要なのであるし、むしろこの方剤の中核は黄柏・陳皮・甘草ではないのかと思える。

陳皮を抜くことはこの方剤の作成者の意図には反するように思えるが。。。。。