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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

癲癇に漢方薬

2016年12月23日

アトピー性皮膚炎が当店の治療でかなり良くなった方からの紹介で、癲癇を子供の頃から患っている方を紹介されて、治療を始めて40日ぐらいになるが、漢方薬を内服を始めて10日後ぐらいから、癲癇の症状が起きずに順調に経過している。

この方、訴える証候は非常に多く、舌も今までに見たことのない状態で、一言で表すと神がない、まるで石のような舌。。。

石のような舌 ⇒生命力が感じられない。。

そして、癲癇の症状である、急に発作が起きて、その間の記憶がない。。
急に怒り、周りの物に当たり散らすがその時の記憶がない。。。

この記憶がなくなるという事が、今回の件では非常に重要である。

神を司るのは心臓で血脈も主っている。 

古籍には
「神は血に宿る」という言葉があるように、血と精神状態というのは非常に密接な関係を教えてくれている。
 

治療当初は頑固な便秘を患っており、他の薬局で勧められた大黄末、センナ末、黄連末、黄芩末、黄柏末の錠剤を規定量の1.5倍に大黄甘草湯にセンナと車前子の種皮が入った便秘薬の規定量を飲んで便を排出するような状態であった。。

この方は明らかに長期間、清熱燥湿薬を摂取しているせいで、弊害が起きていると思われる。
(この段階では、本来の証候と苦寒薬による弊害から出ている証候との区別はつかない)

どっちにしろ
強い湿熱症状を示していない限り、これらの生薬を毎日を摂取する理由はなく、苦寒薬の取りすぎにより、万物を生み出す脾土を傷る事の方がリスクが大きい。。
(この方は強い湿熱症状は出ていない)

当然、脾土が傷られると、神が宿るはずである血も作られない。

まずは、通便させる為の方剤を考えると思い浮かぶのが
傷寒論106条
「太陽病不解、熱結膀胱、其人如狂、血自下、下者癒。其外不解者、尚未可攻、當先解其外。外解已、但少腹急結者、及可攻之、宜桃核承気湯。」

其人如狂の状態であるのと、水溶性の鼻水が午前中に出る、舌下絡脈の怒脹が存在するので、桂皮で腎、膀胱経の気化作用を高め、桃仁で瘀血を解消しながら甘草で胃の気を守り、大黄、芒硝で瀉下を図る。

長期間、大量の大黄とセンナを摂取していため、市販のエキス剤の大黄の量で便が出ない事を想定して、瀉下力の強い、大黄末の錠剤を適量を追加。
(何よりも、この段階ではこの方の証の全貌を完全に理解できていないので、通便しない事により、心臓に火を呼び込み癲癇症状を酷くさせる事を恐れたため)

桃核承気湯主体に安神薬と調気薬、活血薬を方剤を組み立て、まずは10日間内服してもらう。

この方剤の組合わせで無事に大量の大黄、センナに頼らず、便を出すことができ、苦寒薬の弊害からも脱出する事ができた。

舌下絡脈の怒脹は早くに消失したのであるが、何度か意識がなくなる証候は起こった。。

主体は桃核承気湯が主体なのであるが、活血薬から、天王補心丸に変更する。

天王補心丸
乾地黄・当帰・遠志・酸棗仁・柏子仁・丹参・党参・茯苓・桔梗・麦門冬・天門冬

心血・肝血を補いその血を滞らせない為に丹参と桔梗を配伍し党参、茯苓で脾からの血を産生を助け、神の働きを和らげ陰を補うために茯苓・麦門冬・天門冬が配伍されている。

神を宿る場所を作る為にはもってこいな方剤なのである。

元来の方剤名は天王補心丹なのであるが、方剤を創生した人の願いがこもっていると思う。

天王補心丸に変更する事により、睡眠の質が向上して、20日間癲癇の発作が起こっていない。。。

といっても舌は依然として石のようであり、神は戻っていない。。。のでまだまだ油断はできない状態である。

しかし睡眠の質や意識が飛ぶ事が減少しているという事は、以前よりは神の拠り所が徐々にではある育成されてきていると見るべきでしょう。
 
今回のような方を治療した経験は私にはないが、現在の治療経過をまずまず良好といえる。
私は過去の賢人達が残してくれた叡智の上で治療しているだけの事である。

いやー、それにしても今回の件は、神と心臓の関係性を深く学ぶ機会を与えてくれた事になによりも感謝である。

手少陰心経⇒手太陽小腸⇒足太陽膀胱経⇒足少陰腎経
手厥陰心包経⇒手少陽三焦経⇒足少陰胆経⇒足厥陰肝経
 
この流れの密接さ。。。。。
 

最近つくづく思うが、陰陽五行に基いて弁証しても、結局は経絡弁証がないと五臓間の連携がイマイチ密接間がなく、スカスカになっちうんだなーーー。。。。

2017年の自分の強化するポイントはここでしょ!!