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カンピロバクター症に漢方薬

2017年07月15日

カンピロバクター症に漢方薬

カンピロバクター腸炎に漢方薬。

といっても今回は私が患者です。。。

今週の月曜日の夜、夕食後にベランダでタバコを吸っていたら、急激な腹痛と激しい便意が起こる。
その激しさは1本のタバコを吸い終わるまで我慢できるようなモノではなく、タバコを投げ出しトイレへ駆け出す程であった。

排便は一度で治まるかなと思っていたが、30分おきに急激な腹痛が起こり全く我慢ができないのでトイレに駆け込む。

そこからは突発的に起こる腹痛と、 頻回の水様便地獄の始まりであった。

3度目ぐらいの排便の後に「これはヤバイなーーー。。と思い」何か治療をせねばと思い、トイレでこの下痢の原因を考える。

①疲れがたまっていた上に色々な事を考える機会が増えていたので慢性的な脾気虚状態に、アルコール飲料の冷飲による、寒湿邪の直中。

②この症状が起こる前に、長男が胃腸炎を伴うウィルス性疾患的なモノに羅患しており、それが伝染。

③3日前に鶏のたたきと、中身が半なまの鶏のレバーを食した事による食中毒。

カンピロバクター腸炎なるものの存在は知ってはいたが、潜伏期間が2日〜7日もある事は記憶になく③の説は排除。
残るは①、②であるが、②にしては明らかにウイルスの毒性が増大しすぎ。。。
という事で①を選択して、トイレの中で現在の自覚症状から、漢方薬を思案する。

「激しい腹痛に対する、筋膜の痙攣に対して必ず芍薬は必要で、寒湿邪が小腸への侵入であるので、陽気を奮回させる為に、桂皮もしくは、附子を加え・・・・・
マイルド思考に太陰病の桂枝加芍薬湯をベースに利水薬を加えようかな?
いやいや。。。マイルド思考どころじゃないやろ。。多分これ結構ヒドイヤツやで、便意と腹痛が半端ないし、ほぼ水やないか。。。こんな事って俺的にあんまりないで・・・・
んんんんーーーー!
早期決戦を狙い・・・・真武湯の附子増しに決める!!」

トイレから出てきて、真武湯の附子増しを飲み、床につく。
(ちなみにこの弁証時は大変疲れていたので脈診、舌診も行わず、排便時に腹を触ったのみで中腹から下腹部にかけての腹直筋が固くなってるなーぐらいしか確認しておらず。。。)

真武湯を内服して床につくが30分〜1時間おきに強烈な便意と激しい腹痛が襲い、その度にトイレに駆け込む。

私は何よりも睡眠を大切にするので、薬が効こうが効かなかろうが、トイレに行こうが、行かなかろうがとにかく眠るのである。

夜は何よりもは眠たいのである。
(3時ぐらいにトイレからの帰りにもう一度同じ処方を飲んだような記憶がある)

翌朝も症状は一行に治まる気配がなく、お店に向かう。

お店に行くのに、炎天下の中を30分歩いたので暑いのであるが、その日はいつもと違い発汗量が半端ない。

そして、冷房を入れて、お店にいると、悪風、悪寒、関節部の痛み(特に腰部)、首項部の凝り、顔面部の熱感等を感じる。当然、30分おきぐらいに強烈な便意と腹痛は依然として存在しておる。

しかし、朝一で漢方相談が入っていたので、交感神経MAX状態と集中力で90分はなんとか乗り切った後にトイレに駆け込む。(途中、何度も急激な腹痛に襲われましたが・・・)

まだ1日は始まったばかりであるのに、すでに心身ともにボロボロではあるが、自分の弁証を試みる。

悪風、悪寒、関節部の痛みが出ているので表証もある。さらに発汗量が半端ない。。

昨日の夜、朝に何度も下した上に炎天下の中を歩き大量に発汗してしまい、津液は虧損してまっている。

そして営弱状態な上に冷房による風寒邪の侵襲⇒表衛失調により侵入⇒悪風、悪寒、発熱になったのか?
発熱が有る事から昨日の夜に考えた②案がよぎり、その可能性も否定できない。


とにかく、店で座っているだけがやっとなので、あまり色々と考えるのおっくうであるし、我が身であるので、とりあえず漢方薬を飲んでから反応を見た後に修正を図るのも良い。

まずはその日の11時頃に
真武湯附子増し+藿香正気散+玉屏風散+板藍根を内服

悪寒、悪風がマシに、しかし発汗に関しては急激な腹痛が起こる度、かなりの量がにじみ出て来る。


これは冷や汗であり、これに関しては肝系統発進の発汗であるので、風寒邪の表衛失調からくる衛強営弱状態から起こるものではない、痛みにより肝系統の筋膜の痙攣が起こる事により、突発的な気鬱からの開放と共に、局所的に気が凝縮する事により三焦水道内の津気も凝縮し、津気から津液への変換が起こり(気の密度と気の熱化の現象)、気鬱からの急激な気の昇発により、その津液が玄武から滲み出たものである。と考えるのでこの痛みが起こる時以外の発汗と悪風がマシになっているので、玉屏風散は良しとする。


何より、藿香正気散を加えた事で、藿香、蘇葉、白芷、半夏、陳皮、厚朴達の活躍により肺脾を動かし三焦水道の気機の流通が整い、急激な発作以外の時の腹部の状態と悪寒がだいぶ楽である。
この時に自分の今の状態に藿香正気散+玉屏風散はフットしている事を確信する。
発熱症状が出てきたので、念のため②案の可能性も浮上してきたので、配慮して板藍根を追加。

13時頃
相変わらず、急激な腹痛と便意、水様便の回数は変わらないので真武湯は廃薬。
(多分、ダラダラ附子飲んでても止まらんやろ。。。何より②案の場合、変に助長しても困るし)
そしてこの頃から、胸脇部に痛みが出て来る。。。腹部を触診。。
相変わらず、中腹から下腹部にかえて腹直筋に硬さはあるが、②の事もあるし、邪気の排出の妨げになる事を考慮して芍薬はももええやろ。それよりやたら胸脇部が痛く(特に右側)、抑えても硬さがある。
裏からにしろ表からにしろ、邪気は半裏半表に現在はおるやろ。
おまけに、悪寒や関節痛はマシになったが、何か熱感も出てきたので、これは寒熱往来やし。


よって、津液の損傷もあるので②の可能性もあるが、身体の弱り具合が半端ないので人参、甘草、大棗で扶正し柴胡と黄芩で隔に停滞した邪気を瀉す為の小柴胡湯と表証に対応する為に桂皮の入った五苓散を足した柴苓湯を採用する。
柴苓湯+藿香正気散+玉屏風散+板藍根に変更

この日は結局、この処方を後4度程飲む。

確か家に帰る頃には、往来寒熱と関節痛はだいぶマシになった記憶がある。
依然、急激に起こる腹痛と水様便は回復せず。。

この日はときおり襲ってくる腹痛の為に、未来へのベクトル性を持つ勉強が出来ずに、現実逃避なのか?昨日の夜の頻繁な排便による睡眠不足の為なのか?意識がもうろうとしていた中で、何故か分からないがひたすら三島由紀夫氏の事を調べていた。。。。

その中で見つけた記事がこれ、少年時代から文豪やったのね。。。凄い!!

三島由紀夫11歳の作文
「我が国旗」
出典
暇人\(^o^)/速報 : 三島由紀夫の9歳の時の作文 ライブドアブログ
徳川時代の末、波静かなる瀬戸内海、
或は江戸の隅田川など、あらゆる船の帆には白地に朱の円がゑがかれて居た。
朝日を背にすれば、いよよ美しく、夕日に照りはえ尊く見えた。それは鹿児島の大大名、天下に聞えた
島津斉彬が外国の国旗と間違へぬ様にと案出したもので、是が我が国旗、日の丸の始まりである。
模様は至極簡単であるが、非常な威厳と尊さがひらめいて居る。之ぞ日出づる国の国旗にふさはしいではないか。
それから時代は変り、将軍は大政奉くわんして、明治の御代となつた。
明治三年、天皇は、この旗を国旗とお定めになつた。そして人々は、これを日の丸と呼んで居る。
からりと晴れた大空に、高くのぼつた太陽。それが日の丸である。
11歳でこの文章力。。。まさに天才やわ、内容も感動的。。。
(ちなみに私は右よりではありません。。。)

話を戻し

翌日も同じ処方を5回ほど内服
隔部に違和感もなくなり、往来寒熱もほぼなくなる。依然、急激におこる腹痛と回数は少し減ったものの頻回の水様便

その翌日は表証もほとんど感じられなくなったが、念のために同じ処方を2回ほど飲む。(ひたすら下している状態なので営分は虧損し続けている為に、腹痛が起こった時に発汗した後は当然、軽い悪寒、悪風は起こる)

そして、15時頃にふと思った。
だいぶ長い間、小便のみはしていなし、尿の色や熱感はそういえば全く観察していない。
むりくり出してみると、熱感を伴い色もかなり濃い。。。

まさか。。今の俺、下焦湿熱もある?脈診をしてみる、脉数一息に6〜7、浮沈はなく滑り傾向で弦はなし。
(ちなみにこの時が始めての脈診・・・だいぶ疲れてたんやね。。)

現在の自覚症状は下焦に集中しているし、否定できへんな?

下焦湿熱として考えてみる。
膀胱腑に湿熱の邪が存在し、その熱により膀胱の気化が妨害され、飲料⇒口⇒胃⇒脾⇒肺⇒三焦水道⇒膀胱❌湿熱邪⇒陰道⇒排出  尿渋、熱感、尿黄〜赤

このルートが封鎖されている事により
飲料⇒口⇒胃⇒脾⇒小腸⇒大腸⇒排水&排便のもしくは飲料⇒口⇒胃⇒脾⇒肺⇒玄武⇒発汗の2ルートの強化により、飲食物と共に季節的に大量に溢れる、湿邪もしくは毒を排出しなければならない。

これにより、発汗量多、便の水分量多になる。

昨日の自覚症症状からは、だいぶ無理もあるが②も否定はできないので、その湿熱の邪が膀胱部におるとしたら、どうやろ?(昨日のような悪寒や関節痛があれば確実に変更はしない・・・)

この勢いやったら、今の処方飲んでても治りそうやけど、もしこの仮設があっていれば奇跡的に即治もありえるかも?

どうせ飲むのは俺やし、変更や変更!

よって
猪苓湯+藿香正気散+玉屏風散+板藍根+白花蛇舌草に変更
この時には①の脾腎陽虚説より②の説の方が正しいと思い、抗菌、通林作用のある白花蛇舌草も追加。飲んで1時間ほど、全くなかった尿意が少しおこりそうなので、調子にのって山梔子や車前子も木通も欲しいので竜胆瀉肝湯も追加で内服。
(乾地黄や当帰も入っている虧損した営分も補えるしね。)

その日は
猪苓湯+竜胆瀉肝湯+藿香正気散+玉屏風散+板藍根+白花蛇舌草
に治まる。(合間に補気作用を狙い6年ぐらい前に期限の切れたアガリクス茸を何度か内服した⇒ちっとでも補気できた儲けもんと考え、捨てるのが勿体ないので私の胃の中に廃棄処分)

夕食量増、排便数減少、腹痛は以前あり、排尿のみの行為は意識すればできるようになる。

翌朝
昨日は夜間の排便はなく、早朝のみであった。
処方を変更したが即治という奇跡は起こらなかったが、治癒までもう少しである。
しかし、朝から重たい感じの頭みが目の奥になる。
発汗に下している状態で清熱作用のある生薬を増やしすぎて、陽気が巡らんようにしてしまったかなーー?
と思い朝の内服は竜胆瀉肝湯は中止。

昼頃になっても頭痛が治まらないので、やっぱり陽気を巡らそうと思い桂皮を使うが、湿熱にも配慮する為に茵蔯五苓散に変更。
茵蔯五苓散+藿香正気散+玉屏風散+板藍根+白花蛇舌草に変更。

この日は、頭痛はあるものの、水様便と腹痛は残るものの、気力、体力は一昨日や昨日よりも断然に回復していた為に、思考能力も回復。

やっと普段通りの思考能力に戻り、冷静さを取り戻したので、一番初めに選択肢除外した③である鶏肉からのカンピロバクター腸炎を調べてみる。

そうすると潜伏期間が2〜7日間・・・・・

おいおい、これやないですか!!

初日に三島由紀氏の事を長時間調べてんと、こっちを調べろよ!!オイっ❗❗

よって解毒力を高める為に、金銀花+野菊花+蒲公英を追加して夕方、夜と二度服用。。

そして5日目の本日の朝の排便は水様便ではなくなり、久しぶりに硬さが戻り、回数もほぼ正常。
排尿回数も正常に、たまに腹の痛みが起こるのみである。

ほぼ治癒でいって良いであろう。

途中で色々怪しい弁証をしているが、4日間でとりあえずよくなったので良しとしよう。

これはこれで良い勉強と思い出になったのと、何年か経過した後に読み返すとおもしろそうなのでブログに記載。

もうひとつ、今回の病にかかっている最中に、過去にコレラが流行った時に漢方家達は扶正と祛邪のバランスを患者の状態を見極めた上で順次調整した者は、患者の生命を救う事ができたのではないかと、過去にも思いをはせたのでもあった。。
コレラは高熱になることはなく逆に低体温になるらしいので、状況によっては補陽する必要もあるし、頻回の発汗と下痢により津液も奪われるので、滋陰を行う必要もあるので、非常に難しそうである。。。さらに過去の栄養状態が良く無い者が多かった時代の小児や老人が感染した場合は非常に難儀を強いられる事になったであろう。

また機会があれば、コレラに関しても過去の文献も読んで見よう。