慢性副鼻腔炎や後鼻漏でも葛根湯加川芎辛夷を飲む時に注意が必要な人と副作用
2024年04月17日
耳鼻科で慢性副鼻腔炎・後鼻漏などの症状を訴える方に葛根湯加川芎辛夷はよく出されます。
葛根湯加川芎辛夷は良い漢方薬で、体質にあうと鼻づまりを・後鼻漏に効果的です。
しかし葛根湯加川弓辛夷は扱いが難しく、飲むと副作用が出やすい漢方薬のひとつであります。
今回のブログは葛根湯加川芎辛夷を飲むと体調をくずしやすい体質の人の特徴と、出やすい副作用を書いていきます。
葛根湯加川芎辛夷の働きと構成生薬
葛根湯加川芎辛夷『本朝経験方』
葛根湯加川芎辛夷はご存知の方が多い葛根湯に、川弓と辛夷という加えた漢方薬になります。
葛根湯は身体を温めて背中や首のこりをゆるめて頭部の血流をよくする作用がありますが、そこに川弓の血管を拡張して頭の血のめぐりを良くする作用と、辛夷の鼻の粘膜のむくみを改善して鼻づまりをよくする作用が加わる事で、副鼻腔炎の不快症状や後鼻漏を改善する事ができます。
【構成生薬】
葛根・麻黄・桂皮・芍薬・甘草・生姜・大棗・川弓・辛夷
になっています。
この構成生薬の中で
麻黄・桂皮・生姜・大棗・川弓・辛夷
は温める作用があり
葛根・芍薬
は冷やす作用で
甘草
は温めも冷やしないおだかな作用になっています。
温める作用の生薬が多く含まれている事から、葛根湯加川芎辛夷は身体を温めて賦活するような構成になっており、辛温解表薬というジャンルに分類されます。
中医学的には風寒表証といわれる悪寒があって発熱・頭痛・身体の痛みがあるような状態に鼻づまりを兼ねるようなかぜの時に、葛根湯加川芎辛夷を飲んで身体を温めて汗をかかす事によって治します。
葛根湯加川芎辛夷は急性のかぜではなく副鼻腔炎や後鼻漏が慢性化した時にも使用しますが、ただし身体を温めて賦活するという作用は頭にいれておいて飲む必要があります。
葛根湯加川芎辛夷を飲むと症状が悪化する体質
漢方では陰虚体質といわれるものがあります。
陰虚体質の方が葛根湯加川芎辛夷などの漢方薬で身体を温めて発散すると、副鼻腔の痛みが強くなったり、後鼻漏のへばりつきや張り付きがひどくなるので、葛根湯加川芎辛夷を飲んではいけません。
陰虚体質とは陰液(津液・血・精)の不足の事をさし、感染症の後や慢性炎症・自律神経の興奮の持続・老化・辛い食べ物や乾かす性質のある薬物の長期の摂取などから引き起こされます。
陰虚体質の方の特徴として、口やのどの乾燥感・のどのいがいが感・こまめに水分をとりたくなる・皮膚の乾燥・ほてりなどの症状が日頃からあります。
漢方では体質を舌の状態を参考して考えます。
陰虚体質の方が現れやすい舌は舌の色の赤みが強くて乾燥傾向、舌苔は少ないもしくはまったくないような状態です。
写真を添付しておきますので、ご参考にしてみてください。
陰虚体質の方は鼻やのどの粘膜が乾燥しやすい体質のため、葛根湯加川芎辛夷を継続的に飲む事によりさらに乾燥してしまい、副鼻腔炎や後鼻漏を治療するはずが、逆に悪化してしまいます。
葛根湯加川芎辛夷の注意すべき副作用
葛根湯加川芎辛夷には麻黄という生薬が入っています。
麻黄には発汗・鎮咳・抗炎症・抗アレルギーなどの作用がありますが、副作用が出やすい生薬になります。
麻黄にはエフェドリンという交感神経刺激・中枢興奮作用がありますので、狭心症や心筋梗塞に過去に患われてた方は基本的には飲んではいけません。
そして高血圧の方や高齢者や神経過敏な方が飲む時は動悸・不眠が出る事がありますので、注意が必要になります。
胃もたれや食欲不振・排尿障害・湿疹がなどが出る方もいますので注意する必要があります。
以上、葛根湯加川芎辛夷を慢性副鼻腔炎や後鼻漏でお悩みの方が飲む時に注意する事です。
現在、葛根湯加川芎辛夷を飲んでいて効果が感じられずに、体調が変だなと思われる方は漢方内科や漢方薬局にご相談してみてください。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。