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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

膣カンジダが治らない方へ漢方薬が効果的であった症例

2020年09月25日

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膣カンジダが治らない

激しいかゆみなどはないが、ヨーグルト状のおりものが止まらないのでご相談に来られました。

ただし、甘いものあぶらっこいものを食べ過ぎる陰部に痒みが出てくるとの事。

別の漢方薬局で衛益顆粒(玉屏風散)や瓊玉膏(けいぎょくこう)、荊芥連翹湯などを飲むも症状は変わらずに、逆に荊芥連翹湯を飲むと、昔からもっているアトピー性皮膚炎の皮膚の状態が悪くなり、特に顔面部が痒くなるとの事でした。

カンジダの症状は何度か治療した事があるので、漢方薬をしっかりとその方の体質にあわせる事ができれば軽減できるので、まずは入念にお客様の体質とそのゆがみを考えていきます。

西洋医学的なカンジタ症の診断と原因

そもそもカンジダは真菌(かび)であり、健康な人でも口の中や消化管、膣に常に生息しており、体が弱ったり、不潔な状態などにした時に増殖します。

カンジダ症の診断は

  • 膣・外陰部のかゆみや腫れや赤み
  • 白いヨーグルト状のおりものの増加(酒かす状、かゆ状)
  • 性交時の痛み

の有無から診断されます。

カンジダがあるからカンジダ症ではありません。症状が出るからカンジダ症なのです。

しかし何か症状があるから病院に検査にいくのだから、そのころには本人が苦痛に感じる症状があると思います。

カンジダが増殖する原因は

  • 肉体的、精神的ストレスからの免疫力低下
  • 常在菌のバランスの崩れ
  • ホルモンバランスの低下
  • むれる下着の着用や、患部の洗いすぎ又は不潔な状態にしている
  • 抗生物質や副腎皮質ホルモン剤の長期服用
  • ピルの長期服用

これらの事が原因と考えられています。

治療しても、再発を繰り返す膣カンジダ症の場合の多くは肉体&精神的ストレスに日々さらされている方や、1日に何度もシャワーを浴びる方が多いように思えます。

漢方薬ではどうやって治療するのか

膣カンジダだからと言って、すごく特別に考える事はなく症状がでている位置が、下腹部であるという事を念頭におきながら、お客様の体質の傾向と、現在のゆがみがどのようにして起こっているのか?という事を相談を通じて考えていきます。

そして、カンジダは真菌(カビ)なので湿度を高いところを好みますので、舌や相談で聞いた内容を聞いた上で総合的に考えて、カンジダが好みそうな環境づくりを手助けしていないか?ということを考えていきます。

今回の場合に限らずに、基本的には漢方相談の目的は、その方の弱点を探すことにあります。

今回の症例はこのように改善した

相談した後に、今回の方の状態は以下であります。

  • 5年前にストレスが原因で過食気味になる体重の増加とともにカンジタになった
  • 食欲が減少することはなく、食べる事が好き
  • 生理時以外はヨーグルト状のオリモノが出ている
  • 甘いものやあぶらっこいものを食べすぎると陰部に痒みが出る
  • 月経痛がある
  • アトピー性皮膚炎をもっており皮膚は炎症がおきやすい
  • 体が冷えやすい体質ではない
  • 口の乾きがある
  • 小便の回数が少なく、色は濃いめ

などのような感じです。

虚弱体質ではなく、舌自体も締まりがあり舌色も赤みが強めで舌先と舌辺は赤みが目立ちます。

舌苔にはうっすらとした黄色がついており、舌と訴える症状に違和感がなく、やや実傾向が強いと思われます。

ただし竜胆瀉肝湯を使用するほどの実熱タイプとは思われず、大便の通じも良くない傾向で、食後に痒みが発生する事から胃腸の熱を下す(瀉す)ために大黄は使用したい。

竜胆瀉肝湯を使うほどではないが、生殖器のまとう肝経の湿熱を瀉す方剤で浮かぶのが江戸の名医である浅田宗伯先生の著書『勿誤薬室 方函口訣』の中のこのお言葉であります。

加味逍遥散

「此の方は清熱を主として上部の血症に効あり。故に逍遥散に症にして、頭痛面熱、肩背強ばり、鼻衄などあるに佳なり。又下部の湿熱を解す。婦人淋湿、竜胆瀉肝湯などより一等虚候の者に用いて効あり。

竜胆瀉肝湯などより一等虚候の者に用いて効ありという、表現が胸にささりますよね?

加味逍遥散の構成は柴胡・薄荷・当帰・芍薬・白朮・茯苓・甘草・生姜・牡丹皮・山梔子の10味で構成されおり逍遥散に牡丹皮と山梔子を加えた形になっています。

山本巌先生も著書の『東医雑録』の中で、湿熱をともなう泌尿器系の病には山梔子の清熱(熱を冷ます)作用と利尿(尿を排泄を助ける)作用を重宝しております。

月経痛の効果も期待しながら加味逍遥散をベースにして、食べ過ぎればカンジタのかゆみが増すことや、発症原因も食べすぎからはじまっているので、胃腸の熱を瀉す大黄が欲しい。

肝経の湿熱を尿から排出する茵陳蒿の入った茵蔯蒿湯には大黄も入っており、なおかつ山梔子も増量できます。

茵蔯蒿湯の構成は茵蔯蒿湯・山梔子・大黄の三昧になっています。

1日の排尿回数も少ないので、腎膀胱の働きを高めるためと、即効性を出すためにお客様に了解を得て猪苓湯を半量だけ加えました。

猪苓湯の構成は猪苓・沢瀉・茯苓・滑石・阿膠(もしくはゼラチン)の5味になっています。

よって、加味逍遥散半量、茵蔯蒿湯、猪苓湯半量の組み合わせを排便の状態を気にしながら、まずは1週間飲んでもらいました。

漢方薬を飲んで1週間後

カンジダからくるヨーグルト状のオリモノが改善傾向になりました。

漢方薬を服用する前が、100だとすると60ぐらいまでは減少したようです。

1週間での効果としては良い方なので、どうやら漢方薬の組み合わせはお客様にはあっているようです。

ただし、食後のかゆみに関しては改善はしていないとの事でした。大便の出方も以前に比べて少し良い程度。

茵蔯蒿湯の量を増やすか、大黄の末の含まれた茵蔯蒿湯に変更しようと考えましたが、オリモノが変化しているのでもう少し様子をみてみることにしました。

*大黄は煎じたモノより、煎じていない末の方が大便を出す効果が高い。

漢方薬を飲んで2週間後

カンジダのオリモノがさらに減り、前回改善しなかった食後のかゆみもなくなりました。

おまけにいつも月経時に下腹部に痛みが起こるが、今回はなかったので鎮痛剤を飲まなくて良いと大変喜んでおられた。

そして何よりも、長年(5年)悩んでいたカンジタの症状が、短期間で改善された事がうれしかったらしく、高価そうな和菓子をプレゼントしてくださりました。

そして、また1週間分の漢方薬をお持ち帰りいただきました。