病名で漢方薬を飲むことはダメなのか?
2020年09月18日
症状が重い人はやめた方が良い
わたし達はテレビやネットなどで入ってくる健康の情報は、西洋医学的な知識がほとんどである。
だから知識の多い少ないはあるが、自分のからだやこころに対しての認識は西洋医学的になる。
漢方を勉強しようと思わない限りは、漢方の知識が入ってくることはない。
そして、自分が不調をかかえて病院に行くと、何か病名がつけられることが多い。
癌、糖尿病、高血圧症、緑内障、白内障、頚椎ヘルニア、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、過敏性肺炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性前立腺炎、前立腺肥大症、膠原病、花粉症、慢性上咽頭炎、蓄膿症、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎など
とても、素人では数えきれないほどの病名がある。
そして、自分が病気になれば何か病名をつけられることになる。
そして、西洋医学の治療を受けても不快な症状がとりきれない場合は、「漢方薬でも飲んでみようか」という流れになる方は多い。
そこで多いのが「わたしはアトピー皮膚皮膚炎だから、何か良い漢方薬はない?」という西洋医学の病名に対しての答えが漢方薬になるパターンだ。
しかし、西洋医学でつけられた病名はあくまでも西洋医学の検査機器を使用した、西洋医学のモノサシでつかられた病名である。
そもそも健康、病気、からだ、こころ、治療法とそれに対応する薬物(漢方薬)などの考え方が、漢方と西洋医学では違う。
たしかに、西洋医学の病名に対して出された漢方薬で効くこともけっこう多い。
しかしからだのバランスを大きく崩している方や、漢方薬の中の生薬にすごく敏感に反応して症状が悪化する方もいるので、お悩みの症状が重い方で漢方の知識がない方は、自己判断で飲むことは私はおすすめしない。
漢方薬を販売している側が悪化させている事に気づいていなことも多い
私自身もけっこう神経をすり減らして、漢方薬を選んでいるつもりでもたびたび悪化反応をおこします。
だから、はじめは1週間〜10日単位で恐る恐る、漢方薬を飲んであとのお客様の反応をみていくのが重要であると思っている。
漢方薬薬局で漢方薬を1ヶ月単位で購入して飲んでいる方で、漢方薬を販売する方も飲んでいる方も、おたがいにその反応が悪化反応に気づいていないパターンは、実はけっこう多い。
漢方を勉強している方がそうなのだから、漢方にくわしくないお客様はまさか漢方薬を飲んで起こっている悪化反応だと気づかないだろう。
お悩みの症状が悪化した場合はすごくわかりやすいが、別の場所の調子が悪化しているにも関わらずに、その反応を無視している場合だ。
このようなパターンはけっこう目撃する。
悩んでいる症状じゃない場所が悪化してないから良いのではないか?
そうではない。
漢方薬で「からだ」と「こころ」を治療していく場合は、あくまでも全体の調和を整えながら、お悩みの症状を治していくのだ。
たとえばお悩みの症状が皮膚だとして、漢方薬を飲んで皮膚の症状に変化はないが、やたら鼻や喉が乾燥して咳が出る場合だ。
漢方でいう「肺」には皮膚や鼻、喉の状態も含まれるので、「肺」にふくまれる鼻や喉に異常がおこっているので非常にまずい。漢方で皮膚を治療する場合に「肺」の状態はとても大切だからだ。
簡単にいうと「肺」を良くしなけば皮膚が良くならない事も多い。
だから鼻やのどの症状の悪化は「肺」の状態を悪化させてるので、皮膚の状態が良くなる可能性が低くなる。
悪化反応も100%悪ではない
薬(今回の場合は漢方薬)を飲んで、悪化すると悪いことのように思えますが、漢方薬で治療する場合は、必ずともそうではない。
漢方薬を処方する時に長い時間をかけて四診(望診・聞診・問診・切診)というものをおこなうのですが、すごくかんたんに言うと、その方の弱点探しだ。
その弱点をみつけるために、長時間かけて色々見たり聞いたりしていく。
ある漢方薬を飲んで、悪化反応がおきるという事がそこがお客様の弱点である可能性があるからである。
その反応の仕方や、該当する生薬や量を分析すれば逆に、お悩みの症状の改善策が見つかる可能性もある。
漢方をしっかり勉強している人と一緒に治療していくのがベスト
長年の間、お悩みの症状をお持ちの方こそ、まめに体調の事を聞いたり漢方薬の反応を聞いてくれて、しっかりその良い反応も悪い反応も考えてくれる方を探すのが、お悩みの症状を解決する最短の道である。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。