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熱中症や夏バテ対策と五苓散について

2024年07月04日

夏場の熱中症や夏バテ対策の漢方薬として熱を冷ましたり、消耗した気と陰を補う漢方薬である生脈散(麦味参顆粒)・清暑益気湯・白虎加人参湯・竹葉石膏などがあげられます。

しかし忘れてはいけないのが五苓散です。

五苓散が必要な人の身体の中で起こっている状態

五苓散の適応に、よく「水の偏在」という言葉が使われます。

「水の偏在とは?」になると思いますが、身体のある場所では渇いている場所あるが、ある場所では水が停滞している状態です。

なぜこのような状態になるかと言いますと、脾と腎の陽気不足から起こります。

そして脾と腎の陽気不足により、口から入った飲み物が脾胃に停滞しているのでの胃腸の不快感が起こります。

漢方の生理では、胃から脾へ入った水は肺に送られて、身体のすみずみまで水分を回すことになっていますが、脾から肺へ水分がうまく送れないので口の渇きがおこり、また脾胃から送られた水分の一部分も腎の弱りがあるので、うまくめぐらずに色々な場所で停滞する事によって、小便の出が悪い・めまい・頭痛・身体や関節のおもだるさなどの胃腸以外の場所で不快症状が起こります。

このような五苓散が効くような脾と腎の陽気の不足の方が、「熱中症になるからこまめに水分をとりましょう」と言われても、胃から脾そして肺への流れが滞っていますので、あまり水分をとりたくなかったり、無理して飲んでもお腹がぽちゃぽちゃして気持ち悪くなったりして、身体がうるおわないという状態が起こります。

五苓散の構成生薬と働き

五苓散『傷寒論』

猪苓・沢瀉・白朮・茯苓・桂皮

名前の由来の通り以上の5つの生薬で構成されています。

白朮・茯苓・桂皮で脾の陽気を補いながら、水分代謝を良くして肺へ水をめぐるにようにします。
漢方では肺とは皮毛(身体の表面の発汗や体温調節の機能など)も含みますので、これらの生薬で皮毛に陽気がめぐる事によって、冷房や扇風機などで冷えた身体の表面を温めてうまく汗をかけるようになる事もあります。

猪苓・沢瀉・茯苓・桂皮で、腎の陽気を補う事により停滞してる水を排泄する事により、身体のだるさなどの水の停滞からくる不調を改善する事ができます。

このように脾・腎の陽気を回復させる事によって水分代謝が正常化して、「水の偏在」を整えます。

五苓散が適応する方が注意しなければいけないこと

さきほどに書きましたように五苓散が適応する人は、脾と腎の陽気の不足があります。

いくら熱中症や夏バテ対策に良いからといって、陽気ではなく陰を補う生脈散(麦味参顆粒)や清暑益気湯を飲むのは陰と陽の補充方法が逆になりますので、それのみで飲むのは止めておいた方が良いです。

白虎人参湯・竹葉石膏は石膏という生薬が入っており、生脈散(麦味参顆粒)や清暑益気湯以上に脾胃に水を集めてしまう事になるので、もっと止めておいた方が良いです。

当然の事ながら、脾と腎の陽気不足があるので氷いりのキンキン冷えた飲み物を飲んだり、アイスを食べるのは厳禁です。

どれも脾と腎の陽気を傷める事になり治りにくくなります。

五苓散が適応する脾と腎の陽気の不足になりやすい人は、熱中症対策でこまめな水分補給をしても胃腸に気持ちが悪さが出る場合は、五苓散を適時うまく活用して夏を乗りきるのが良いです。