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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

蕁麻疹の漢方での考え方と効果がある漢方薬

2024年11月28日

季節の変わり目で気温が上下して安定しない日が続くと、蕁麻疹のご相談が増えます。

一時的な蕁麻疹で、抗ヒスタミン薬やステロイド軟膏などで治ってしまう方はよいですのが、なかなか治らずに慢性化してしまえば痒みによって日常生活の質が低下してしまいます。

病院で治療を受けても治らない蕁麻疹に対しても、漢方薬は効果的な事は少なくありません。

蕁麻疹の種類・標準的な治療法

蕁麻疹とは

「じんま疹(蕁麻疹)は、真皮上層のマスト細胞から遊離されたヒスタミンなどのケミカルメディエーターにより、一過性の血管拡張、浮腫が起こり、紅班、膨疹、掻痒をきたす疾患である。皮疹を誘発する誘因が不明の突発性性じんま疹と、誘因が到底される刺激誘発型じんま疹に分けられる(突発性が多い)」

『病気が見える』

このような病態をさします。

突発性蕁麻疹は

  • 急性蕁麻疹
  • 慢性蕁麻疹

にわけられ

刺激誘発型蕁麻疹は

  • アレルギー性蕁麻疹
  • 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
  • 非アレルギー性蕁麻疹
  • アスピリン蕁麻疹
  • 物理性蕁麻疹
  • コリン性蕁麻疹
  • 接触性蕁麻疹

にわけられます。

蕁麻疹の70%は突発性蕁麻疹であり、ほぼ毎日蕁麻疹が発生し原因が不明である事が多く、一般的には抗ヒスタミン薬を飲み症状を緩和しながら治るのを待ちます。

漢方での蕁麻疹の考え方と対応する漢方薬

漢方で病の原因や治療法を考える時に便利な分析の仕方に、八綱弁証(はちこうべんしょう)というものがあります。
蕁麻疹を八綱弁証で分析すると、原因がわかり効果がでる漢方薬もわかります。

八綱弁証とは

その人の病気を分析するひとつの方法で、陰陽・表裏・寒熱・虚実の8つの分類方法によって状態を考えて、「その人の病気がどのような状態になっているのか?」という事を分析して、それに対応する漢方薬で治療します。

病を大きく4つに分類して、その分類の対局にあたる状態にわけて8分類します。

陰陽→全体的なイメージや印象
表裏→病気の原因が存在する場所の深さ(例えば皮膚にあるのか?五臓にあるのか?など)
寒熱→病気の性質(冷えているのか?熱をもっているのか?など)
虚実→体の弱りぐあいと病気が及ぼす影響の強さ
このような感じで病気の状態を分析します。

この中でも陰陽は全体的なイメージや印象なので、特に表裏・寒熱・虚実を考えて実際の治療方針を決めていきます。

そしての表裏・寒熱・虚実は対局に位置しますので、治療法も真逆になります。

例えば体が弱っている方には体の元気をつけていく必要がありますが、そのような状態の方に病気の原因を攻撃して取り除く治療をした場合は、弱った体をさらに弱らせる事になります。

病気が起こっている場所が熱をもっている場合には、その熱を冷やす必要がありますが、そのような時に温めて体を賦活するような治療法をした場合は、さらに熱を助けて症状を悪化させる事になります。

このように漢方では蕁麻疹を八綱弁証(はちこうべんしょう)というモノサシで分析して、対応する漢方薬を決めることで治療効果を高めます。

蕁麻疹は八綱弁証の表裏で考えた時に、表の問題がメインで起こる場合と裏がメインで起こる場合があります。
また表と裏の両方ともの問題を解決しなければならない場合もあります。

繰り返しますが、表裏とは五臓六腑が裏になれば、表は皮膚や頭部・手足になります。

例えば気温差や湿度・アレルギー物質によっておこる蕁麻疹は、表がメインで問題がおこっている蕁麻疹であり、食事や内臓の弱りでおこる蕁麻疹は裏がメインで問題がおこっている蕁麻疹になります。

まずは表がメインで起こる蕁麻疹をご説明していきます。

表がメインでおこる蕁麻疹

漢方では気温・湿度・花粉・ハウスダスト・ウイルス・細菌などの外から刺激によって身体に不調をおこす場合は風邪(ふうじゃ)によるものと考えます。
そして気温や湿度などの刺激により不調を引き起したり、感染症にかかったときやアレルギー反応や炎症反応が出た時の身体の反応によって寒邪(かんじゃ)・熱邪(ねつじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)と考えます。

また風邪は単独で存在せずに寒邪・熱邪・湿邪・燥邪を結びついて不調の原因になり、風寒邪(ふうかんじゃ)・風熱邪(ふうねつじゃ)・風湿邪(ふうしつじゃ)・風燥邪(ふうそうじゃ)と呼びます。(風邪)

蕁麻疹は血管が拡張し血漿成分が血管の外に漏れ出て皮膚が盛り上がる事から、「湿邪」の存在は常に意識する必要があり、逆に「燥邪」からの存在は考える必要はないでしょう。

よって風寒邪と風熱邪に湿邪をさらに結びつけて…
寒刺激によっておこる蕁麻疹を、風寒湿邪からおこる蕁麻疹
熱刺激によっておこる蕁麻疹を、風湿熱からおこる蕁麻疹
とに分けて考えると、分析しやすく治療方針が立てやすいです。

風寒湿邪による蕁麻疹

風寒湿邪の性質は寒であるため冷えの刺激により蕁麻疹が悪化します。
寒暖差・冷えやすい体質・疲れやすい・胃腸の弱り・またはゆっくり休養がとれない生活が続くなどで、体表をめぐり外邪の侵入を防いでいる衛気(えいき)の働きが弱る事によって、風寒湿邪の侵入を許してしまい、蕁麻疹がおこります。

防風・荊芥・独活・蘇葉などの生薬と白朮・茯苓・蒼朮・生姜などで、肺と脾を温め動き活発にして衛気(えいき)のめぐりを正常化し、皮膚に停滞している風寒湿邪を除き侵入を防ぐ事によって蕁麻疹を治し再発を防ぎます。

荊防敗毒散・十味敗毒湯・香蘇散・玉屏風散などの漢方薬を蕁麻疹の状態や体質によって使いわけます。

風湿熱邪による蕁麻疹

風熱邪の性質は熱のために、太陽光線・運動・お風呂・こたつや暖房などの熱刺激や、辛い食べのもの・お酒などの熱に変わりやすい飲食物によって蕁麻疹が悪化します。
寒暖差・辛いもの・味のこいもの・油こいものなどに偏った食生活・運動不足などによって、寒暖差などの風熱邪の侵入をきっかけに食生活の乱れや運動不足によって作られた湿熱邪は反応する事によって蕁麻疹がおこります。

麻黄・石膏・蝉退・牛蒡子・連翹・薄荷などで肺の働きを高めて風熱熱を発散し、蒼朮・白朮・茯苓・石膏・黄芩で脾や皮膚に存在する湿熱をさばく事によって蕁麻疹を治療して再発しないようにしていきます。

消風散・越婢加朮湯・清上防風湯・防風通聖散などの漢方薬を蕁麻疹の状態や体質によって使いわけます。

裏がメインでおこる蕁麻疹

また五臓(肝・心・脾・肺・腎)のうち肺・脾・腎は体内・体表の水の代謝や循環に深く関わっており、うまく循環して身体に有用な働きをしている水を津液(しんえき)と呼び、脾・肺・腎のいずれかの臓が弱る事によって水が停滞すると湿邪を生みます。
この場合は蕁麻疹の原因である湿邪を排除するためには、脾・肺・腎の弱りも治療する必要があります。
また飲食物の乱れによる熱を生みやすい飲食物ばかりに偏ると湿熱邪が生じて、蕁麻疹を引き起こしやすくなります。

五臓の弱りと湿熱邪の特に熱の部分の強さをみながら、うまく湿熱邪を排除していく必要があります。
また精神的ストレスにより蕁麻疹が出現したり、悪化したりする場合は肝の治療をしたり併用する必要があります。

五臓の弱りをともなう蕁麻疹

肺・脾・腎のいずれかの弱りにより、体内や体表の津液のめぐりが悪くなり不調の原因の湿邪が生まれます。身体の中に湿邪が生じると外からの邪気が侵入しやすくなり、蕁麻疹が治りにくくなります。

この場合は弱った五臓を立て直す事が必要です。

黄耆・人参・白朮・茯苓・甘草などで肺・脾の気を補い、桂皮や生姜・附子などで脾・腎の陽気を充実させて、蕁麻疹を治療していきます。

補中益気湯・茵蔯五苓散・真武湯などを使いわけます。
外からの邪気である風寒湿邪や風湿熱邪の存在がある場合は、それらに対応する漢方薬を併用する必要があります。

湿熱邪による蕁麻疹

お酒・味のこいものや油もの・糖分の多いもの・辛いものなどの食べ過ぎにより湿熱が身体にたまり、解毒機能が追いついていないために蕁麻疹が治らない状態です。

外的要因で主である風湿熱邪より、もっと湿熱の原因が内側(五臓)にあり、湿熱の解毒経路を小便や大便に求める必要があります。

竜胆草・黄芩・山梔子・茵陳蒿・大黄・白朮・沢瀉などで解毒機能高めて湿熱を排出して、蕁麻疹を治療します。

漢方薬→茵蔯蒿湯・竜胆瀉肝湯

肝気欝結(かんきうっけつ)をともなう蕁麻疹

漢方ではストレス状況が続き気血のめぐりが悪くなり不快症状がおこる事を、肝気欝結(かんきうっけつ)と呼びます。また肝気欝結は現代的な見方では中枢神経系・自律神経系を通じた緊張状態と考えて良いでしょう。

皮膚の血流は交感神経支配のため、ストレス状況が長く続くと皮膚の血のめぐりが悪くなりアレルギーや炎症がおこりやすくなったり、蕁麻疹が治りにくくなります。

このような場合は、柴胡・薄荷・香附子・枳実・川弓などの生薬で肝気のめぐりをよくして、緊張を緩和する事によって皮膚の気血のめぐりをよくして蕁麻疹を治療する必要があります。

加味逍遙散・四逆散・小柴胡湯・香蘇散などを状態によって使いわけます。
また風寒邪や風熱邪の存在がある場合はそれらの対応する漢方薬を併用する必要があります。

まとめ

このように蕁麻疹は漢方のモノサシでみると、上記のように分類してまた治療法が変わってきます。
自分の蕁麻疹のタイプを把握した上で、それに対応する漢方薬を使用すると早い場合は2週間ほどで蕁麻疹が軽減しはじめる事も多いです。

病院での治療でも蕁麻疹が治らない場合は、漢方薬を使ってみると良くなる事も多いですので、お悩みの方は今回のブログを参考にしてみてください。