女性の方が慢性上咽頭炎が治りにくい理由とその対策
2025年02月03日
色々な方の慢性上咽頭炎のご相談にのっていると、慢性上咽頭炎でEAT(Bスポット療法)をおこなっても治りにくかったり、再発しやすいのは女性が多いように思えます。
女性は男性に比べて、毎月の生理による出血があるため血を定期的に失い、また妊娠してお腹で赤ちゃんを育てて出産をするので、この時にも血を失う事になります。
この事が男性に比べて、女性が慢性上咽頭炎が治りにくい理由です。
漢方での血(けつ)の役割と上咽頭との関係
まずは漢方での血(けつ)の言葉の意味をみてみましょう。
血は人体内を流れる一種の物質である。その生化の源は中焦の脾胃にある。脾胃で飲食物を消化し、その精微と津液が結合吸収され心肺に運ばれ、再び肺の気化作用を経て形成される。経脈中を流れ身体各部を栄養し、老廃物を排泄する。血の帰納は全身を栄養するばかりでなく、視力・歩行・握力・皮膚感覚などにも関係する。また血の機能が正常に働くには、気の働きや気血が心血管内を正常に運行していることが必要である。その色は鮮紅あるい暗赤色、比重は重く臭気があり、味は鹹で性はよく凝結する。
『漢方用語大辞典』
『霊枢決気篇』「中焦、気を受け汁を取り、変化して赤し是を血という」
『本蔵篇』「血、和すれば則ち経脈に流行し、陰陽を営覆し、関節を清利する。」
『素問』「諸血、皆、心に属す」
少しわかりにくいですが、血は飲食物を胃腸で消化して心・肺に送られる事によってでき、その血は血管を流れて全身を栄養して視力や歩行や握力を必要な身体の筋肉に動き・皮膚の感覚などの機能を維持しています。
血が赤い事や味が塩からく、やや臭みがある事など古代の人の認識と私たち現代人が認識する血と大きく代わりがない事をあらわしています。
ただし漢方では西洋医学の貧血までいかなくても、血の不足いわゆる血虚(けっきょ)という状態からくる不調であれば、漢方薬などで治療する事ができます。
血は上咽頭を含むのども栄養します。
血が不足していると、上咽頭が外的要因や炎症からできた傷もなかなか治りません。
上述しましたが、男性に比べて女性は血を失う機会が多いので、血の量的不足である血虚(けつきょ)になる事が多いです。
この事が男性に比べて女性の方が慢性上咽頭炎が治りにくい理由です。
それでは、どのようにして血虚に対策をしていくのかをご紹介いたします。
血虚(けっきょ)への対策
①顕著な炎症がある場合はまずは炎症を鎮める
のどの痛みがほぼ毎日あってつらい方は、EAT(Bスポット療法)や漢方薬でまずは炎症を鎮める必要があります。
炎症は患部で火がメラメラと燃えている状態です。
このような状態に血を補うものを与えても、火に材料を放り込んでいるようなもので、ちっとも良くなりません。
また患部に炎症が続くと、局所が乾く事が多く部分的な血虚がおこります。
②胃腸の状態が悪い方は胃腸を整える必要がある
血は飲食物が脾胃で消化・吸収される事で作られます。
胃腸が弱っている時に、血を補う材料を与えても吸収せずに血にはなりません。
また血を補うものは、胃腸が弱っている状態では負担になる事も多く、無理に与え続けると胃腸の調子はダウンしたままになってしまいます。
胃腸が弱っていて、すぐに胃がもたれる・軟便や下痢・便秘になりやすい方は、食生活の改善や体質にあった漢方薬を飲む事によって胃腸の状態を改善する必要があります。
③生理での出血量が異常に多かったり不正出血がある場合は治す
ただでさえ生理で毎月出血するのに、その量が異常に多い場合や、不正出血がある場合はそちらも治療する必要があります。
病院で診てもらい異常があれば、その治療を行い、特に異常がない場合は漢方薬で治療するのが良いでしょう。
④血になりやすい食べ物を食べる
炎症が鎮まり、胃腸の状態が問題がなければ、いよいよ血になる材料を積極的にとっていきましょう。
薬膳的には色々とありますが、やはりタンパク質が多く含まれている牛肉・豚肉・鶏肉またはレバーや卵などを積極的にとるのが良いでしょう。
またよくかんで食べると胃腸にも負担がかかりにくく、吸収もよくなります。
それらを摂取してもなかなか良くならない場合は、漢方薬を併用する事でより血を生み出しやすくなり、患部に血が届きやすくなります。
以上、女性が慢性上咽頭炎が治りにくい理由とその対策になります。
慢性上咽頭炎でお悩みの方は、しっかりお話を聞きながら治るまでサポートしていきますのでご相談ください。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。