だいたい中医学での診断って何?
中医学にも西洋医学とは違う病名のようなものがあり、その病名を診断した後に、それに対する治療法があります。
よって病名の診断が間違っていいれば、病は改善することはありません。
中医学を勉強する者の中では有名な名著の『中医病機と治法』という陳潮祖先生が書かれた書籍から病名と治療方法名(病機と治法)を引用しました。
⇒一般の方にはわけのわからない四字熟語の羅列にしか見えませんので、軽く目を通しながらスクロールしてください。中医学でいう病機の種類の多さを感じとってもらえれば良いですので・・・
肺経の病機と治法
表衛失調
- ① 寒邪束表―辛温解表
- ② 外感風熱―辛涼解表
- ③ 外中風邪―疏散外風
- ④ 暑邪犯肺―宣肺滌歯暑
- ⑤ 温燥傷肺―清宣潤燥
- ⑥ 表裏同病―表裏双解
- ⑦ 風寒湿痺―除湿宣痺
- ⑧ 皮膚疥癬―殺菌止痒
- ⑨ 皮肉灼傷―解毒治傷
- ⑩ 表虚不固―実衛固表
本臓自病
- ① 温邪犯肺―清肺解毒
- ② 気分熱盛―辛寒清気
- ③ 水飲停滞―開源導流
- ④ 上焦湿熱―清宣湿熱
- ⑤ 肺臓陽虚―温陽補肺
- ⑥ 肺寒停飲―温肺降逆
- ⑦ 肺熱気逆―清肺降逆
- ⑧ 熱痰壅肺―清肺化痰
- ⑨ 気鬱咳嗽―宣肺止咳
- ⑩ 肺気不斂―斂肺止咳
- ⑪ 肺気不足―補益肺気
- ⑫ 肺陰虧損―滋陰潤肺
鼻竅病変
- ① 鼻竅不通―通利鼻竅
- ② 血溢鼻竅―涼血摂血
喉咙病変
- ① 風寒喉痺―宣肺開痺
- ② 温毒侵肺―解毒利咽
- ③ 陰虚火炎―養陰清肺
- ④ 少陰陽虚―温陽通痺
脾胃の病機と治法
納運失常
- ① 食積停滞―消積導滞
- ② 寒湿困脾―運脾除湿
- ③ 中焦湿熱―清熱除湿
- ④ 脾虚水氾―実脾利水
- ⑤ 脾鬱生痰―燥湿祛痰
- ⑥ 寒痰為患―温化寒痰
- ⑦ 痰熱互結―清化熱痰
- ⑧ 痰毒結聚―化痰散結
- ⑨ 胃陰不足―液胃生津
- ⑩ 脾虚気弱―補気健脾
- ⑪ 中焦虚寒―温中健脾
- ⑫ 陽明鬱熱―苦瀉鬱熱
統摂無権
- ① 気不摂血―益気摂血
- ② 陽不統血―温陽摂血
- ③ 昇降失常―益気昇陥
- ④ 脾胃気滞―行気広中
伝導失職
- ① 湿熱成痢―清熱止痢
- ② 虚寒失禁―温中固渋
- ③ 陽明腑実―苦寒瀉下
- ④ 寒凝積滞―温陽導滞
- ⑤ 津枯腸燥―潤腸通便
- ⑥ 腸道虫証―駆除腸虫
脾竅病変
- ① 熱鬱経脈―清宣鬱熱
- ② 陰虚火炎―滋陰清熱
- ③ 脾腎両虚―脾腎双補
肝胆の病機と治法
寒熱病変
- ① 肝経虚寒―温肝祛寒
- ② 肝経湿熱―清瀉肝熱
疏泄失常
- ① 疏泄太過―収渋斂肝
- ② 肝気鬱結―調気疏肝
血分病変
- ① 肝血虧損―養血調肝
- ② 瘀血阻滞―活血化瘀
- ③ 熱迫血溢―清熱止血
- ④ 陰虚出血―滋陰止血
- ⑤ 脈絡破損―収斂止血
筋膜病変
- ① 外風至痙―祛風解痙
- ② 肝風内動―平肝熄風
- ③ 風痰阻滞―化痰熄風
- ④ 土虚風動―補脾解痙
- ⑤ 筋脈攣急―柔肝緩急
- ⑥ 隔膜痙攣―解痙止嘔
- ⑦ 肝陰虧損―滋陰肝陰
少陽病変
- ① 邪距少陽―和解少陽
- ② 邪伏膜原―宣透膜原
- ③ 水停三焦―瀉下逐水
- ④ 三焦被阻―昇降三焦
- ⑤ 胆経鬱熱―清熱利胆
- ⑥ 胆道結石―利胆排石
- ⑦ 寒滞胆経―利胆祛寒
- ⑧ 蛔入胆道―利胆駆蛔
眼竅病変
- ① 風寒侵目―祛風散寒
- ② 外感風熱―祛風清熱
- ③ 気鬱眼竅―疏肝寧竅
- ④ 三焦実熱―清熱解毒
- ⑤ 陰虚陽亢―滋陰降下
- ⑥ 肝陽熄風―清熱熄風
- ⑦ 瘀血阻絡―活血通竅
- ⑧ 熱迫血溢―止血化瘀
- ⑨ 湿阻眼竅―除湿寧竅
- ⑩ 精髄虧損―填精補髄
- ⑪ 腎陽虚損―温補腎陽
心系病機と治法
心脈病変
- ① 心気不足―補益心気
- ② 気虚欲脱―益気救脱
- ③ 心陽虚損―温補心陽
- ④ 陽虚厥脱―回陽救逆
- ⑤ 心陰不足―補益心陰
- ⑥ 心血虧損―補益心血
- ⑦ 心陰心陽両虚―陰陽双補
- ⑧ 心陽痺阻―通陽宣痺
- ⑨ 心経気熱―清気寧心
- ⑩ 熱毒壅結―解毒散結
- ⑪ 熱入営血―清営涼血
神志異常
- ① 熱入心包―清熱開竅
- ② 中寒気閉―温通開閉
- ③ 竅閉兼瘀―化瘀開竅
- ④ 痰湿阻竅―滌痰開竅
- ⑤ 心神不安―重鎮安神
舌竅病変
腎系病機と治法
腎精病変
- ① 腎陰虧損―補腎滋陰
- ② 腎陽虚損―温補腎陽
- ③ 陰陽倶虚―陰陽双補
- ④ 精関不固―固腎渋精
- ⑤ 衝任不固―補腎固衝
- ⑥ 腎不納気―補腎納気
- ⑦ 陽虚寒凝―和陽通滞
水液失調
- ① 腎虚失約―補腎固提
- ② 帰化失常―温陽行水
- ③ 下焦湿熱―瀉火通淋
- ④ 尿路結石―化石通淋
腎竅病変
- ① 実熱壅竅―瀉火寧竅
- ② 風寒閉鬱―宣肺通竅
- ③ 痰湿阻竅―祛痰開竅
- ④ 瘀血阻竅―活血通絡
- ⑤ 気虚耳鳴―益気聡耳
- ⑥ 髄海不足―補精補髄
- ⑦ 陰虚陽亢―滋陰潜陽
両臓同病病機と治法
肺脾同病
- ① 肺脾気虚―補土生金
- ② 肺胃実熱―清泄肺胃
- ③ 肺胃津虚―清養肺胃
- ④ 気鬱津凝―利気行津
心肺同病
- ① 営衛不和―調和営衛
- ② 気血両虚―気血双補
- ③ 気血両燔―気血両清
肺腎同病
- ① 肺腎陰虚―金水併調
- ② 肺腎虚寒―宣上温下
肝腎同病
- ① 水不涵木―滋水涵木
- ② 肝腎虚寒―温補肝腎
肝肺同病
- ① 水不涵木―滋水涵木
- ② 肝腎虚寒―温補肝腎
心肝同病
- ① 肝病及心―調肝寧心
- ② 心病及肝―治心寧肝
- ③ 心肝同病―心肝同治
心脾同病
- ① 痰飲凌心―豁痰寧心
- ② 心脾両虚―補益心脾
肝脾同病
- 肝脾不和―調和肝脾
五臓同病
長いスクロール、おつかれさまでした。
絶対に日頃、目を通す事がない四字熟語がズラズラと並んでいたと想います。
今まで考えていた漢方薬での治療のイメージが、少しは変わったのではないでしょうか?
私は漢方薬をお客様に適合させるのに、中医学の理論も使うのですが、あまり病名(例アトピー性皮膚炎)だから、漢方薬(温清飲)のような出し方はしません。きちんと中医学の理論にもとづいて、お客様のからだとこころが、このような状態になっているから、この漢方薬で改善させることができるという風に出します。
寒邪束表(左側)⇒病機(病気の名前です)
辛温解表(右側)⇒(治療方法の名前です)
そして寒邪束表(病気の名前)でも、人の体質や病気になった状況により、病気の状況が変わってきますので、治療方法も変わります。
例⇒治療方法の辛温解表