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夏でも多い麦門冬湯証

2016年08月28日

一昨日と昨日に自分が乾燥咳になったせいか、本日の朝に少し咳について考察してみた。

本日の朝に1週間以上前から、乾燥咳に悩まされている方が気管支拡張薬をリピートで購入されたに来た。(初めは竹葉石膏湯を3日分飲んでもらい、かなり改善されたが、費用の問題なのか気管支拡張薬に変更される)
最近は、費用的に高くつくので、本人の治癒力で治りそうな病機には無理に漢方薬をすすめる事なしなくなった。

今回の件に関しても、思うことですが、気管支拡張薬を飲み始めて1週間になるが再度購入されたという事は、乾燥咳は改善していないという事だ。
1週間の治療期間というのは、その方の乾燥咳の場合でいうと私の感覚では長いと捉える。
当店は漢方専門店ではないので、西洋薬も買っていかれる方がそこそこおられるが、私は常にその方がどれぐらいの期間で治るかという事を分析している。医師に処方された薬を見させてもらうこともたまにあるので、その時も同様にその方の病機の証候と治癒期間という事に着目している。
そのような方々にも、自分の頭の中だけで弁証論治してみる事が多い。。

やはりこの季節でも適用機会の多い麦門冬を依存解釈(治法にもとづいて方剤を解釈する)してみる。
(以前のブログの脾陰虚と胃陰虚の記事の内容を多少かぶりますが・・・)

『金匱要略 肺痿癰咳上氣病脉證治・・・・』
大逆上氣、咽喉不利、止逆下氣者、麦門冬湯主之。

麦門冬七升 半夏一升 人参二両 甘草二両 粳米三合 大棗十二枚
簡単に謂うと⇒大きく気が逆になり、口の中や喉が乾く者は麦門冬を飲むとその逆向きの気を治しますよ。

この中の気が逆になるというのは、大きく考えると二つある。
その中に一つは、肺の粛降運動(肺の呼吸運動の吸う時の気の事で、自分で確認すると分かるのだが、下向きや内向きに流れている事が確認できる)
もう一つは、胃の降濁運動(胃の動きは通常では、食べ物を腐熟させ脾に送る⇒この場合の脾を理解しやすいように考えると胃の下部にある小腸の栄養吸収する機能部分)

この二つの気が逆向きになることと、口と喉が乾燥するような咳とはどのような咳とはどのような咳か?
痰もあまり出ないのに、咳込んだ後に『オエッ』をえずくような咳。
当然、呼吸運動が吐く方ばかり傾くので、一瞬の間酸欠状態になり、顔を真っ赤にして咳こむ、甚だしい場合は目が飛び出しそうに咳するような証候がおこる。

何故このような証候が起こるのかという事を、身体の治癒反応と麦門冬湯という方剤の構成生薬から考察してみる。
まず、前提に考えなければならないのが、誰もが備わっている自然治癒能力で、基本的には発熱は痛み、下痢や便秘、咳、冷えなどが起こるのは、病機を治そうとしている反応もしくは、生存に必要な重要機能を備えている脳や心臓の機能低下を起こさない為に、他の機能を捨てる事により起こる現象であると現段階の私は考える。
よってこの場合の乾燥咳も、病因である邪を排出する為に、一番近い排出ルートである口を選んでいる現象であると捉える。

この方剤には、肺の気を向きを整えるような、麻黄、杏仁、桔梗などは配合されておらず、気と津液の補充や流通する生薬のみで構成されている神方である。
何よりも重要なのは、半夏である祛痰剤である、乾燥咳ではあるが絶対的にこれが必要なのである。
しかし、この方剤が神方をいわれるのは、ただ乾燥するだけの咳を治すのではなく。目が飛び出すような咳やウエっとえずくような咳を治すからである。
ただの乾燥咳は冬場に喉が乾燥している状態に暖房のきいた乾燥した部屋に入った時を想像してもらえば分かりやすいと思う。ゴホッゴホッとされている方が結構多いでしょ。あのような咳がただの乾燥咳である。
目玉が飛び出すような咳や顔真っ赤にして咳こむような咳は病因である邪を排出する為に起こる事と麦門冬湯の半夏が配合されている事から、乾燥気味の痰が肺系統にへばりついている事が想像できる。

 痰がへばりついた咳ではあるが、似たような証候である痰熱壅肺の治法である麻杏甘石湯の弁別は後述するとして麦門冬湯の記事を続ける。
咽喉不利の記載と麦門冬湯の君薬が麦門であることから肺系統が正常な潤い状態に痰が発生しただけでない事が分かる。よって乾燥した状態にある痰がこの咳の原因なのである。

そこでポイントとなってくるのが、咳込んだ後に『ウエッ』とえずく場合である。
羞恥心のないオジちゃんの場合はよくある行為であるが、女性の場合も咳をした後に胃から何かこみあげてくる事を感じる方もいるはずだ。
この感じが以前に記載した胃陰虚の状態である。
このような咳の現象から考察するだけでも、肺の乾燥だけに留まらずに胃の乾燥状態も発生していることが考察できる。

肺と胃は五行の関係ではとても近い関係でお隣さん同士、経絡上でも手太陰肺経⇒手陽明大腸経⇒足陽明胃経⇒足太陰脾系と近い事から、片方の異常がすごく伝わりやすいのである。

そして本題である、湿度の高い夏なのになぜ麦門冬湯の適応者が多いのかという事に移ろうと思う。。

続く・・・・