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石田秀実氏の現代漢方への警笛

2021年02月03日

石田秀実氏の現代漢方への警笛

『現代語訳 黄帝内経素問』の監訳者である、今は亡き石田秀実氏が現代漢方への警笛を鳴らされている。

SNSの発信に力を入れる事により、漢方の勉強に心血を注がなくても、お客様が来てくれる時代。

さらに時代は漢方薬も人の診断ではなく、AIの診断と処方の流れになっていくだろう。

ますます漢方の勉強に心血を注ぐ若手が、減少するような気がしてならないと思うのは、私の思い違いであろうか。

石田氏のあとがきが、こころにしみるこの頃です。

「周知のように、伝統医学はその価値を評価され、広まっているかにみえて、実は薬箱と理論抜きのマニュアルだけを盗まれ、近代医学のある部分を補完するものとしてのみ位置づけられようとしている。
薬箱も近代科学の方法で再評価され、その粗い網目から落ちた要素は、あたかもなかったように扱われがちである。
インスタント漢方医の盛行が、この状況を更に歪めている。

この状況を招いた理由のひとつに、肝腎の伝統医学理論の原点である『素問』・『霊枢』のスタンダードな翻訳が手に入りにくいという現実があったころは否めない。誰もが『素問』・『霊枢』について語ったが、その多くの人はそれらの書を古典原分の形で通読したことがなかったのだ。」

原点はおろか、明清の医学と民国から先の西欧医学との不思議なアマルガムとして成立した現代中医学の、そのまたマニュアル書すら読まずに、伝統医学を語り、用いるのは相当危ういことだったはずなのだが、事実はそんな雰囲気の中から、「漢方の現代化」といったものは起こっている。」

『現代語訳 黄帝内素問』東洋学術出版社