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副鼻腔炎や慢性上咽頭炎・後鼻漏に辛夷清肺湯(チクナイン)で効果ある人と効果がない人の特徴

2024年01月17日

今回は副鼻腔炎や慢性上咽頭炎とそれにともなう後鼻漏に対して辛夷清肺湯(チクナイン)で効果がある人と、効果がない人の特徴を書いていきます。

チクナインで有名な辛夷清肺湯

副鼻腔炎や副鼻腔炎からくる後鼻漏には、CMや知名度の影響でチクナインを飲まれる方が多いです。

チクナインは辛夷清肺湯という漢方薬になります。

ドラッグストアやネットで気軽に買えるので、副鼻腔炎やそれにともなう後鼻漏にはまずはチクナイン(辛夷清肺湯)を飲んでみる方はかなりの数の方がおられると思います。

チクナイン(辛夷清肺湯)は良い漢方薬ですので効果が出た方も多いと思いますが、副鼻腔炎でも漢方薬はお身体に合わなければ効きませんので、チクナイン(辛夷清肺湯)が効果がない人もいると思います。

中にはチクナイン(辛夷清肺湯)を飲む事で、体調が悪化した方もいるでしょう。

上咽頭炎に辛夷清肺湯が処方される理由

漢方薬の効果の範囲は比較的に広く、辛夷清肺湯は副鼻腔の炎症だけに効くわけではありません。

まずは辛夷清肺湯の添付文書をみてみましょう。

体力中程度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの次の諸症:鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)

コタロー辛夷清肺湯エキス細粒・添付文書

鼻炎、副鼻腔炎とも記載されており、濃い鼻汁が出てとも書かれています。

上咽頭は位置的に鼻腔や副鼻腔にとても近いので、辛夷清肺湯でも炎症がとれるのではないかと思って、処方される方も多いと思います。

さらに言えば上咽頭炎でお悩みの方は、粘り気のある後鼻漏でお悩みの方も多いので、この濃い鼻汁という表現にも適合します。

その通りで、もちろん上咽頭の炎症にも粘り気のある後鼻漏にも効果を発揮します。

ただし上咽頭の状態と体質にあえばですが…

それではどんな状態の副鼻腔炎・慢性上咽頭炎や後鼻漏に辛夷清肺湯が効果が出るのかという事を、辛夷清肺湯に入っている生薬と効能をあげながら説明していきます。

辛夷清肺湯(チクナイン)の効能と構成生薬

辛夷清肺湯(外科正宗)

【効能】清肺通竅・滋陰

【主治】肺熱の鼻淵・鼻内ポリープ・鼻閉など。

■構成生薬

辛夷【性味】辛、温【帰経】肺・胃【効能】散風解表・宣肺通鼻

黄芩【性味】苦、寒【帰経】肺・大腸・小腸・脾・胆【効能】清熱燥質、清熱瀉火・解毒・涼血、清熱安胎

山梔子【性味】苦、寒【帰経】心・肺・肝・胃・三焦【効能】清熱瀉火・除煩、清熱利湿、清熱涼血・止血、清熱解毒

麦門冬【性味】甘・微苦、微寒【帰経】肺・心・胃【効能】養胃生津・清熱潤肺・止咳・清心除煩・潤腸通便

百合【性味】甘、微寒【帰経】心・肺【効能】潤肺止咳、清心安神

石膏【性味】辛・甘、大寒【帰経】肺・胃【効能】清気分実熱(清熱降火・除煩止渇)、清肺熱、清胃火

知母【性味】苦・寒【帰経】肺・胃・腎【効能】清熱瀉火、清肺潤燥、滋陰・退虚熱、生津止渇

甘草【性味】甘、平【帰経】十二経【効能】補中益気・潤肺・祛痰止咳・緩急止痛・清熱解毒・清熱解毒・調和薬性

枇杷葉【性味】苦、涼【帰経】肺・胃【効能】化痰止咳、降逆止嘔

升麻【性味】甘・辛、微寒【帰経】脾・胃・肺・大腸【効能】発表透疹、清熱解毒、昇挙陽気

*『中医臨床のための中薬学』から引用

このような感じになっています。

(青い文字は冷やす生薬・赤い文字は温める生薬・黒い文字は冷やしも温めもしない生薬です。)

漢方の知識がない人が見たら、「よくわからないわ」になると思いますので、難しい事はおいておいて、ざっくりとした漢方薬の効果のイメージができれば良いです。

漢方薬は生薬を組み合わせ事によって効果を発揮します。

漢方薬の効果をイメージする上で大切なのが、この漢方薬は

  • 温めるのか?
  • 冷やすのか?
  • 乾燥させるのか?
  • 潤すのか?
  • その働く場所は主にどこになるのか?

という事が大切です。

まずは辛夷清肺湯の名前のはじめにきている辛夷という生薬をみてみましょう。

辛夷は温める性質と辛味があり散風解表・宣肺通鼻という効能をもっています。頭部や顔面部を温めて辛味でつまりをとる生薬です。

今回の場合は鼻づまりをとるようなイメージを持ってもらえれば良いです。

少し戻って構成生薬をみてもらうとほとんど冷やす性質を示す青文字なのに、辛夷だけポツンと赤くなっていると思います。

辛夷清肺湯の特徴は辛夷が温める作用があるのに、他の生薬は甘草以外はすべて冷やす性質があるところにあります。スイカに塩にかけると甘みが引き立つように、辛夷の辛味の鼻を通す作用がさらに引き立つ処方設計になっています。

清肺湯とあるように、漢方では清という文字は冷やして炎症を鎮めたり、気持ちを鎮める時に使われます。肺を清めるという事ですから、肺の炎症を鎮めると思ってもられば良いです。ただし漢方での肺は一般的は胸部にある肺だけでなく、鼻や粘膜や皮膚の浅い部分も肺に含まれると思ってもらえれば良いです。

よって辛夷清肺湯は胸部の肺〜のど〜鼻腔〜副鼻腔を冷やし炎症を鎮めるようなイメージをもってもらえば良いです。

そして黄芩と山梔子は涼血や止血の効能がある事から血分といわれる深い部分の炎症を鎮め、石膏と知母は清気分実熱の効能から粘膜表面の浅い部分の炎症を鎮めるので、副鼻腔や上咽頭炎の粘膜の浅い部分〜血管の深い部分の炎症を鎮めるように考えてもらえれば良いです。

そして麦門冬・石膏・知母・百合・甘草は生津・潤肺・止渇の効能がある事から、強い炎症や長期に続き炎症により組織が乾燥している状態を潤し回復を助けてあげる作用を期待できます。

枇杷葉でへばりつく痰や後鼻漏をはがし咳を止め、升麻で組織の炎症を鎮めたり他の生薬の薬効を問題が起こっている鼻やのどなどの身体の上部に引き上げたり、膿を出やすくするのを助けてくれます。

辛夷清肺湯(チクナイン)の薬効を少しはイメージできたのではないでしょうか。

辛夷清肺湯が効く人の特徴

辛夷清肺湯は、胸部〜のど〜鼻を炎症を冷まし潤して鼻の通りをよくするのイメージしてもらい、どんな人に効果があるのかを見ていきましょう。

漢方では身体の中の状態をイメージするのに舌を確認いたします。

辛夷清肺湯が適応する舌はこのように舌の色の赤みが強く(特に舌先の赤みが強いのが良い)、舌苔はコーヒーなどの着色するようなものを飲んでいないのに、黄色に着色しているような舌です。

人によって舌に乾燥感がある方もいます。

舌は内臓の鏡と言って、身体の内側を表していますので、鼻腔内・上咽頭・口内〜胸部に熱の存在があると、このような舌になる事が多いです。

このような状態の方が冷やす性質のある辛夷清肺湯を飲むと、副鼻腔や上咽頭炎の痛みや違和感・後鼻漏や痰のへばりつき・鼻づまりが改善されます。

辛夷清肺湯が効かない人の特徴

辛夷清肺湯は組織の深い部分〜浅い部分を冷やして炎症を鎮める性質を持つことから、冷えが強い人には適していません。

そのような人が飲むと効果がないばかりか、身体が冷えて調子が悪くなります。

極端な場合はお風呂に入っても全然温まらないと訴える方がいます。

身体全体が冷えがなくても、下痢や軟便になったり胃もたれや食欲不振が起こります。

中には後鼻漏の量が増えてさらに不快になる方もいらっしゃいます。

そのようになりやすい舌を確認してみましょう。

このように舌色が淡く血色が悪く、舌全体もしまりがなく力がないような舌です。

この舌の状態は身体の底から冷えているので、辛夷清肺湯のような冷やすような漢方薬を飲むとさらに冷えてしまいますので注意が必要です。

以上が辛夷清肺湯の効能のイメージと効く人と効かない人の特徴になります。

今回のブログは、副鼻腔炎や慢性上咽頭炎・後鼻漏でお悩みで辛夷清肺湯(チクナイン)を飲まれている方や飲もうと思っている方・耳鼻科で慢性上咽頭炎や後鼻漏でお悩みの方に辛夷清肺湯を処方されている方に、ご参考にしてしてもられば幸いです。

わかりにくい場合は、漢方の専門家の方にご相談しながら飲むのが良いです。