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慢性上咽頭炎にともなう鼻・のど・耳の痛みに漢方薬がすぐに効いた症例

2021年01月19日

慢性上咽頭炎にともなう痛みに漢方薬がすぐに効いた症例

緊急事態宣言が出たコロナ禍でのご相談

40代女性

当店に相談される4ヶ月前に右耳の奥が痛み、耳鼻咽喉科に行き外耳炎と診断されて点耳薬を出されても良くならず、のどの痛みも出てきたので抗生剤も出されたが、それでも良くならなかったので、当店にご相談されました。

遠方からの相談でしたので、問診票と舌の画像と電話にて症状と体質の聞き取りをしました。

とにかく耳の奥、のど、鼻の中が痛い

一番のお悩みは「とにかく耳の奥、のど、鼻の中が痛い」とのことで、まずは痛みを止めて欲しいとの依頼。

もとから粘膜が弱い体質で、年に何回かは咽頭炎や副鼻腔炎になるが、耳の奥まで痛いのは、はじめてとの事で、とりあえず痛みの除去を念頭におきながら、お話をうかがい、どうしたら痛みが軽減するのかを考えました。

それらの痛み以外に痰の出ない乾燥した咳で出て、時に息苦しさをともない、粘り気のある後鼻漏・たまに背中がぞくぞくと寒く感じる時があるとの事でした。

舌の赤みはそれほど強くなく舌苔に着色もなく、悪寒がときおり発生するので、古方派の定石である葛根湯加桔梗石膏を使おうと思いましたが、乾燥感のありそうな咳と、耳奥の痛みが葛根湯加桔梗石膏ではとれなさそうに感じたのと、体質的に葛根湯加桔梗石膏のみの内服は胃腸に負担がかかりそうだと思い止めました。

耳の奥が痛みと乾燥した咳が気になり、お電話で会話したお客様のお人柄とコロナへの不安を抱えていましたので、柴胡・釣藤鈎を必要と判断して、荊芥連翹湯と釣藤散を各1包×3回としました。

荊芥連翹湯と釣藤散を飲んで1週間

耳奥・のど・鼻の中の痛みは軽減してきており、以前からあった足のむくみも良くなったとの事。

悪寒があったので麻黄や桂皮のような背中を温める生薬も必要かと思いましたが、その必要もありませんでした。

逆に柴胡の入った荊芥連翹湯でなければ、のどや鼻の痛みはとれても耳の奥の痛みはとれなかったと思います。

ひとまず漢方薬の方向性はあっていそうなので、荊芥連翹湯と釣藤散を継続してもらう事にしました。

さらに1週間経過

耳奥・のど・鼻の中の痛みはさらに軽減して、漢方薬を飲む前に比べると半減ぐらいになりました。

しかし咳と息苦しさは変わらずに、のどが乾燥した感じでイガイガして、ねばりけのある後鼻漏症状もあとの事。

口渇もなく舌色や舌苔に実熱の様子は感じられずに、舌の乾燥感もないのですが、咳の質から、胸に熱の存在はありそうですが、ただしあまり清熱剤(体を冷やす生薬)の比率を極端に上げるのも怖いです。

もう少し胸の熱をとり粘膜へのうるおいを与える意味で、釣藤散を半分に減らして辛夷清肺湯を通常内服量の半分を加えました。

よって荊芥連翹湯1包+釣藤散半包+辛夷清肺湯半包を1週間飲んでもらう事にしました。

耳奥・のど・鼻の中の痛みはほぼ消失

荊芥連翹湯1包+釣藤散半包+辛夷清肺湯半包の内服で、当初のお客様の希望であった、耳奥・のど・鼻の中の痛みと後鼻漏はほぼ消失しました。

やはり漢方薬が病態を上手にとらえた時は、本当によく効くなと思います。

しかしその後に痛みがとれたものの、時おり乾燥した咳や息苦しが出たり、痛みまではいきませんが、のどや鼻の奥に違和感が出る事がありましたので、そのつど漢方薬を変更したり漢方薬の量が加減して、半年ぐらいの間は継続して漢方薬を飲んでもらいました。

お客様の粘膜が敏感な体質のためか、年の何度か咽頭炎や副鼻腔炎になっていたのですが、現在はのどや鼻に違和感を感じた時に、寒熱の違いにより桂枝加葛根湯か金羚感冒散を鼻奥やのどがあやしい時だけ飲んでもらう事により、そのような症状をおこらないようにしています。