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眼瞼ミオキミア[まぶたの痙攣]に漢方薬が効果的であった別の症例

2019年07月22日

少し前に眼瞼ミオキミアに対して、すぐに効果が出た記事を記載した。

今回は上記の症例のようにすぐには効果が出なかったが、半年ぐらいかけて起こりにくい状況になっている症例を記載する。

相談者の話を聞いていると、眼瞼ミオキミアは痛みや痒みなどはなく、片方のまぶたのわずかな痙攣が継続的に続く。

まぶたの痙攣が起こっていない時も、以下のような二通りの状況がある。

  • まぶたの痙攣が起こっていないときは、まったく忘れたように気にはならない時。
  • 痙攣がおこった後や起こる前に痙攣というほどではないが、何かまぶたに重みのようなものがあり、違和感がある時。

そして発症するタイミングが以下のようである。

  • 何かストレスがかかり、不安感が出たときなどに、まぶたの痙攣がはじまり、気になり意識しだすと、継続的に続く。
  • 特にストレスがかかった状況ではないが、「まぶたの痙攣は起こらないか?」と意識し始めた時。

器質的な問題はないので、患者が症状の改善を医師に求めると、軽い安定剤が処方されるケースがある。

昨年に訪れた方も安定剤を処方されたが、それを内服される事に抵抗があり、当店に漢方相談にこられた。

中医学や漢方的にはまぶたの痙攣は、あくまでも片方のまぶたの痙攣に関しては心身の全体的な調和が崩れたサインと捉えて、心身の調和を整えるのが通常パターンである思う。

以前の記事に書いた症例も、まずは心身の全体的な調和を考えて治療したが、少しイレギュラーな展開がたまたま功を奏しただけである。

今回の方は

  • 仕事が忙しくて、まともな休みがあまりとれていない。
  • 職場の人間関係でプレッシャーがかかる事が多い。
  • 疲労倦怠感が強く、いつも眠い。
  • 基本はよく眠れる体質であるが、プレッシャーがかかってからは朝の4時か5時に目が覚めるようになった。
  • 体がだるくシャッキとした姿勢で座っているのがしんどい。
  • 足が冷えやすい、むくむ、軟便がち。

漢方相談した内容を、ざっくりまとめると上記のような感じである。

私は相談者の姿勢が猫背ぎみなのが、気になりもう少し掘り下げて聞いて見る。

足の内ももや腰がだるい事が多く、背もたれなしの椅子に座ると少ししんどいので、職場で背もたれつきの椅子の場合は、ほぼ背中に圧をかけて腰への負担を減らしているらしい。

おまけに、排便回数が多い時は肛門が降りている感じがして気落ちが悪い。

中医学的に中気下陥という証なので、それに対応する方剤に補中益気湯というものがあるので、まずはそれで様子を見る事にする。

補中益気湯は黄耆や人参、白朮、甘草などで気を補いながら、柴胡、升麻、黄耆などで、内蔵や筋肉をグ~ンと上に持ち上げるイメージをしてもらうと良いです。

この方の場合は疲労で落ち込んでいる気を漢方薬で補って持ち上げる事によって、まぶた周辺の筋肉をしっかりと栄養を届かせる事よって痙攣を止めるイメージである。

もう一つは、江戸時代の浅田宗伯先生という有名な漢方医が、「補中益気湯を使う目安として小柴胡湯のさらに虚証のものに使用するべし」。と云われていたので、ストレスにより胸のあたりに詰まった気を補中益気湯内の柴胡、陳皮で発散することにより、まぶた周りの筋膜の潤いを取り戻せないか?という発想である。

そして補中益気湯を内服すると、体のだるさがやや改善されたとの事なので、もう少し継続してもらうも、まぶたの痙攣の改善は不変であった。

しかし、疲労感に対しては明らかな効果を感じているので、もう少し予算の幅を増やしても良いとの事なので、漢方薬の追加案を考える事になる。

私は補中益気湯を処方しているものの、以下の事は気になっていた。

  • 舌辺に少しではあるが歯型がついている事。
  • 舌の苔が白く多い。
  • 足が冷えやすい。
  • 不安時に心臓のドキドキ感がある。

よって体内の余分な水を温めながら排水しつつも、筋膜の潤いを補充しながら、筋膜を引きしめる真武湯と、鎮静作用や二次的に抗けいれん作用を期待して、カイホーカルシウムを追加する。

これにより、疲労感に関してはさらに調子がよく、軟便がましになり、肛門がおりてくる感じの回数が減少、ドキドキ感に関しては少しマシかなという反応が見られたが、肝心のまぶたの痙攣に関しては、やはり不安感が出た時には起こってしまう。

この方の場合は、飲まれている漢方薬に効果にそこそこ満足されていたので、上記の処方で数ヶ月の間、様子を見た。

そして、私の中では、肝心のまぶたの痙攣を改善したいので、以下の理由から補中益気湯を柴芍薬六君子湯に変更した。

  • 補中益気湯+真武湯では夕方〜夜間になると白いネバっとした苔が多く発生することが多い。
  • 吉益東洞先生(江戸時代の有名な漢方医)の薬徴という書籍に、「茯苓は筋肉がピクピクする症状に効くよ」と書いてある。
  • 葉天士(中国の清の時代の名医)の本草経解という書籍に「茯苓は水の巡りをよくすることにより、火を消すよ」と書いてある。
  • よって茯苓を増量する事により効果を高めたい。(中薬学的にも茯苓にはは安神作用という、心臓のドキドキを抑えてリラックスさせる作用がある。)
  • 補中益気湯に比べれば、体をグ~ンと上に持ち上げる効果が減るが、柴芍薬六君子湯にも柴胡が入っているので、胸につまった気を上に発散する事ができる。
  • 真武湯内の芍薬、柴芍六君子湯内にも芍薬が入っているので、芍薬の量が増えるので、まぶた周りの筋肉を柔らかくするのと、芍薬の酸味によりギューと引きしめる事により、痙攣を止めつ効果ば倍増することに期待。

柴芍薬六君子湯に変更すること2週間・・・

以前に比べて、明らかにまぶたの痙攣は気にならなくなり、体調も補中益気湯の時とそれほど変わらない状態を保てている。

しかし、やはり大きなプレッシャーがかかると少しは痙攣が起こるが、以前に比べれば、気になる度合いが違うとの事。

人間の体は、様々の場所での痙攣を起こし、つらい症状(慢性的な一部の腰痛、下肢痛、内臓系で言えば、過敏性大腸や機能性ディスペプシア)につながるが、ストレスがらみ、自律神経がらみの筋膜の痙攣に関しては、ストレスの度合いが非常に大きければ、漢方薬での完全治癒も難しいのではないのか?とも思う。

あくまでも、漢方薬はその痙攣を起こりにくくする状態を確実に作ってはくれるが、圧倒的に大きなストレスが継続的にかかれば、漢方薬の仕事量より痙攣を起こす環境作りの力が勝ってしまうからだ。

もう一つは、まぶたの痙攣がまた起こるのではないかと?と不安感を大きくもってしまう方も、治癒する力を妨げてしまう。(まぶたの痙攣がまた起こってしまうのではないか?⇒まぶたの痙攣が起こると、神経系に変なスイッチを作ってしまう。イメージ的にはレモンを想像するだけで唾液が出るような感じ)

眼瞼ミオキミアだけではなくすべての病に言えることだが・・・

眼瞼ミオキミア(まぶたの痙攣)が起こり、症状が長期化したとしても、自分の治癒力を圧倒的に信じる力が、治癒する速度に影響する事は間違いない。

自分の症状に過敏になり、弱気になる方は、もっと自分の治癒する力を信じて良いと思う。

細菌やウイルスが多く存在する、この地球で生きている事が事態が奇跡だ。体内の細胞での治癒行為が行われている証拠である。それだけでも素晴らしい。

当然、今回の件でも方剤(漢方薬)内のそれぞれの生薬は、確実に仕事はしてくれているが、少しでも良い兆しを感じた時に患者が「この薬で治るかも?」と信じた時の方が効果は高くなる。