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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)を飲んで嗅覚障害などに効果が出やすい人と注意しなければいけない人の特徴

2024年06月26日

嗅覚障害の漢方薬を検索すると、麗沢通気湯加辛夷や鼻通湯という漢方薬が出てきます。特にコロナ感染後に嗅覚障害でお悩みの方が多くおられました。

麗沢通気湯加辛夷と鼻通湯は配合生薬はまったく同じですので、漢方薬の名前は違いますが同じ処方になっています。

今回のブログは麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)を飲んで嗅覚障害・嗅覚異常・鼻づまり・アレルギー性鼻炎・慢性鼻炎・蓄膿症(副鼻腔炎)に対して効果が出やすい人と、飲むと症状が悪化するので注意しなければいけない人の特徴を、麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)の配合生薬から解説いたします。

麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)の効能・効果

体力中等度のものの次の諸症:

嗅覚障害、嗅覚異常、鼻づまり、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)

麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)の配合生薬と性質と効果

麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)は、麗沢通気湯という漢方薬に辛夷を加えた処方になっています。

麗沢通気湯(鼻通湯)は、補中益気湯という有名な漢方薬を作った事で有名な李東垣という医者が書いた『蘭室秘蔵』という本の、眼耳鼻門に出てくる漢方薬です。

麗沢通気湯(鼻通湯)を与える指示として「治鼻不聞香臭」(嗅覚障害を治す)とあるだけ、『蘭室秘蔵』の眼耳鼻門には「治鼻不聞香臭」(嗅覚障害を治す)と同じ指示のある漢方薬は、麗沢通気湯以外にも温衛湯・温肺湯があり、麗沢通気湯の使い方や特徴は結局のところ配合生薬から考えるしかありません。

李東垣の処方は配合される生薬の数が多い傾向にありますので、それがますます漢方薬の効果をイメージしにくくしています。

『蘭室秘蔵』に載せられている麗沢通気湯の配合生薬と分量・飲み方・注意事項は以下のようになっています。

黄耆・蒼朮・羌活・独活・防風・升麻・葛根(各三銭)・炙甘草・麻黄・川椒・白芷(各一銭)を細かく砕いて五銭を生姜三片、大棗一枚、葱白三寸と煎じて温かい状態で飲んで、冷たい飲食物や身体を冷やす事を禁じている事から、冷えが原因で身体が弱る事からおこる嗅覚障害に効果がある事がわかります。

まずはわかりやすいように身体の表側(頭・皮膚・鼻や口の粘膜など)に働く生薬と、裏側(胃腸など)に働く生薬に分けてから薬の性質を考えてみましょう。

表側(頭・皮膚・鼻や口の粘膜)に働く生薬

黄耆3,2g 【性味】甘・温 【帰経】脾・肺【効能】補気昇陽・補気固表・解表・益気利水・托瘡生肌

蒼朮2.4g 【性味】辛・苦温 【帰経】脾・胃【効能】祛風除湿・燥湿健脾 ・明目

麻黄0.8g 【性味】辛・微苦・温【帰経】肺・膀胱【効能】発汗解表・宣肺平喘・利水消腫

羌活2,4g 【性味】辛・苦 ・温【帰経】膀胱・肝・腎【効能】発散風寒・祛風湿・止痛

独活2.4g 【性味】辛・苦 ・温【帰経】肝・腎【効能】祛風湿止痛

防風2,4g 【性味】辛・甘・温【帰経】膀胱・肝・脾【効能】祛風・止瀉

白芷3,2g 【性味】辛・温【帰経】肺・胃【効能】祛風解表止痛・通鼻竅・排膿消癰・燥湿止帯

辛夷2.4g 【性味】辛・温【帰経】肺・胃【効能】通鼻・散風寒

生姜0.8g 【性味】微・温【帰経】肺・脾・胃【効能】発汗解表・温中、止嘔・解毒

葛根2.4g 【性味】甘・辛・涼【帰経】脾・胃【効能】解表退熱・透疹・昇陽止瀉

升麻0.8g 【性味】甘・辛【帰経】脾・胃・肺【効能】発表透疹・昇堤中気・清熱解毒

裏側(胃腸など)に働く生薬

山椒0.8g【性味】辛・熱【帰経】脾・胃【効能】温中化飲・殺虫

大棗0.8g 【性味】甘・温【帰経】脾胃【効能】補気補脾・養血安神・薬性緩和

甘草0.8g 【性味 】甘・平【帰経】脾・肺・心【効能】補気心脾・潤肺止咳・緩急止痛・瀉火解毒・調和

蒼朮2.4g 【性味】辛・苦温 【帰経】脾・胃【効能】祛風除湿・燥湿健脾 ・明目(表にも裏にも働きます)

赤文字の熱性・温性・微温とは温める性質があります。
青文字の寒性・微寒性・涼性とは冷やす性質があります。

難しい漢字が並びますので、漢方の知識がない方はわかりにくいと思いますので、漢方薬のイメージをわかりやすくご説明いたします。

まずは表(頭・皮膚・鼻や口の粘膜)に働く生薬と効能をみてみましょう。

【性味】のところに辛という文字と温という文字が多いですね。

その次に【効能】のところをみてもらうと解表・発汗・祛風湿などを文字が多いと思います。

辛温性の薬物は体表にとりついた邪気を、気血を体表(頭・皮膚・鼻や口・のどの粘膜)に集めて温めて治癒活動を高めたり汗をかかせたりして、取り除く作用があります。

例えばとても辛い食べ物を食べた時にじんわり汗をかきますよね。

あの感じをイメージしてもらと良いです。

頭部や皮膚の表面に気血があつまってきている感じがわかると思います。

体表にとりついた邪気とは、気温低下による冷え・冷風や鼻や口・のどの粘膜に付着するウイルス・細菌・花粉・ハウスダウス・黄砂・PM2.5 など考えてもらうと良いです。

次に裏側(胃腸など)に働く生薬をみてもらっても、ほとんどの生薬は温性で赤文字になっています。

麗沢通気湯加辛夷に配合されている生薬のほとんどは表側に作用するものがほとんどですが、裏(胃腸)の冷えや弱りにも配慮されている事がわかります。

よって、麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)の効能・効果にある、嗅覚障害、嗅覚異常、鼻づまり、アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、蓄膿症(副鼻腔炎)は身体の弱りや冷えから起こったものと考えて良いです。

身体の弱りや冷えの特徴として

  • 鼻副鼻腔内・咽頭・口内などに顕著な乾燥はない
  • 鼻水・後鼻漏や痰の質は粘りけが少なくさらさら
  • 色も黄色でなく透明かやや白濁として量が多い
  • 身体が冷えると鼻がつまる・鼻水・後鼻漏の量が増える
  • お腹を冷やすと胃腸の不調が出やすい

などの特徴を目標にすると良いです。

漢方では舌の内臓の鏡と言われ、身体の内側の状態を表していますので、お腹やのど・鼻が冷えるている時に現れやすい舌を添付しておきますので、ご参考にしてみてください。

このような感じに舌の表面がつるつると光り、唾液が多いような舌です。

麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)を飲むのに注意が必要な人

さきほどに記載しましたように、麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)の性質は温めて水のめぐりをよくして乾燥させますので、鼻副鼻腔内・咽頭・口内に顕著な顕著な乾燥があったり・熱っぽい方が飲むと治らないばかりが逆に症状を悪化させてしまいます。

以下の症状が多くあてはまる方は注意が必要です

  • のどや鼻に強い痛みがある
  • のどや鼻腔内が乾燥して熱っぽい
  • 鼻水・後鼻漏・痰のへばりつきが強く、色が黄色や白濁で濃い
  • 水分をよくとりたくなる(冷たい飲みものを好む方もいる)
  • 痰のからむような咳がでる
  • 口臭が強い
  • 食欲旺盛
  • 大便がかたくなりやすく

お腹や鼻・のどに熱の存在がある舌を添付しておきますので、ご参考にしてみてください。

舌色が赤く、舌苔は黄色く着色しており、いかにも熱をもってそうな舌になっています。

上記のような方の鼻づまりや後鼻漏に対しても、実際には飲んですぐに効果が出る事もありますが、楽になるからと言って続けて服用していると後鼻漏や痰の質が粘りけを増して不快になったり、のどの痛みがある方は、痛みがひどくなりますので注意する必要があります。

漢方薬の使い方として漢方薬の寒熱(冷やしたり温めたりする)の性質にとらわれない使い方や、寒熱挟雑(冷えと熱が混在している)している事もありますが、一般の方は慎重に寒熱を意識した方が症状を悪化させにくいので安心です。

嗅覚障害や鼻炎・副鼻腔炎などでお悩みの方で、麗沢通気湯加辛夷(鼻通湯)を飲もうと思っている方や飲んでいる方の参考になれば幸いです。