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慢性上咽頭炎による5年以上続いた痰のようなモノのへばりつきに漢方薬が効いた症例

2021年02月02日

慢性上咽頭炎による5年以上続いた痰のようなモノのへばりつきに漢方薬が効いた症例

こんにちは ミズホ薬店の山本です。

今回は5年前から慢性上咽頭炎に悩みBスポット治療(EAT)を受け、あちこちの漢方薬局で色々な漢方薬を飲みましたが、上咽頭に痰のようなものがへばりついてとれないという方が、漢方薬を飲むことにより改善した症例を書きたいと思います。

5年前に痰が切れなくなり、息苦しさの症状が出てきた後に、かぜを引き後鼻漏がひどくなってきたので、耳鼻咽喉科を受診しました。

抗生剤、消炎剤、去痰薬などを飲むも効果がなかったので、漢方薬局に行き漢方薬を処方してもらうも、上咽頭部のへばりついた痰・朝の咳き込み・後鼻漏の症状が改善する事はありませんでした。


5年間あちこちの漢方薬局をまわり、漢方薬や健康食品を飲むも上咽頭のへばりついた痰のようなものは、改善することはありませんでした。

今までに飲んだ漢方薬

  • 辛夷清肺湯・排膿散・葛根湯加川芎辛夷・小青竜湯・心脾顆粒・温胆湯・衛益顆粒・婦宝当帰膠・健脾散・天津感冒片・百潤露・艶麗丹・冠元顆粒・鼻淵丸・頂調顆粒・麦門冬湯・越婢加朮湯・竹筎温胆湯・板藍根・加味逍遥散・芎帰調血飲第一加減・辛夷清肺湯・生脈宝・生薬製剤二号方・荊防敗毒散・杞菊地黄丸・半夏厚朴湯・五苓散・温胆湯・滋陰至宝湯・竹筎温胆湯・半夏瀉心湯・田七人参・参蘇飲・当帰芍薬散・生脈散・半夏厚朴湯・補中益気湯・六君子湯・柴胡桂枝湯など

この中には効果がありそうなものもありますが、これらの漢方薬を飲んでも上咽頭の痰のへばりつきは一切動かなかったそうです。

かぜをひいて症状が複雑になっている

当店に相談をされた時はかぜをひいていて、元からあった症状にかぜによっておこっている急性鼻炎の症状があったので、整理して考える必要がありました。

もちろん問診をして体質とそのゆがみを考える事は重要ですが、かぜをひいて急性鼻炎になっているので鼻腔、咽頭、口内の粘膜や鼻水、炎症の質が元からあった状態に、別の状態が重なる事により複雑になっています。

患部の状態を把握するのに重要な、各部の乾燥・ネバネバ・サラサラ・ヌルヌルぐあいや、熱感・冷感の回答も、そっくりとそのまま受け取るわけにはいきません。

まずは急性鼻炎を治す

現在の症状や過去に飲んだ漢方薬の反応を聞くと、辛温薬(温めて乾燥する働きがあります)は、上咽頭の乾燥を悪化させてしまいそうです。

しかし、現在の急性鼻炎の症状は

  • 上咽頭に鼻水が湧き出てくる
  • 痰を吐き出しても、まだひっついてる
  • 冷えると鼻水が出てくる
  • 朝は黄色のネバネバした鼻水だが、冷えて出てくるのは、透明でさらさらな鼻水

このようにさらさらとしてるのものと、ネバネバしてるのものが混合している感じです。

まずは上咽頭、鼻腔、咽喉を藿香正気散で乾燥させつつも、清肺治喘丸の適量で乾燥に弱い上咽頭を乾燥しすぎる事に配慮して様子を見る事にしました。

かぜの症状がおさまると上咽頭の乾燥が増してきた

この方には藿香正気散は良く効き、3日もすれば湧き出るような鼻水はなくなりました。

しかし藿香正気散を飲んでいると、上咽頭の痰のようなものの張り付きが強くなり、午前中の咳こみ出てしまいます。

コロナ禍なので咳をしていると人に嫌がられるのもあり、仕事にさしつかえが出るとの事でした。

局部の滋陰、去痰、清熱では効果がない

今まで飲まれた漢方薬の中に、上咽頭部の乾燥をとったり、熱痰を除去したり、局部の実熱を冷ますような生薬が入った漢方薬は飲まれても、一度も上咽頭の痰のようなもの症状が改善した事はないとの事でしたので、少し視点を変えなければなりません。

全身を踏まえた上で漢方薬を考える

上咽頭の症状とは別にお客様の訴える症状に、冬は毎年しもやになり、肌が乾燥して湿疹ができやすいというものがありました。

しかし舌を見ると舌苔は薄苔であり、きれいな状態で乾燥傾向もなく、舌に歯型も見られませんでした。

それらの事を考えると、上咽頭を潤す生薬は必要ではあるが、石膏などの気分の実熱を冷ます生薬までは不要で、桂皮が呉茱萸などを使用して下肢に血をひっぱりこむ事により、頭部の炎症や乾燥は沈静化するのではないかと考えました。

  • 上咽頭炎や後鼻漏症状の出現が、出産後である
  • 下肢にしもやけ以外に静脈瘤もある

この事から血を増す地黄や、潤いを与え気を降ろす玄参、瘀血をとる牡丹皮の入った清肺治喘丸はそのまま継続してもらい、温経湯製剤を追加で飲んでもらう事にしました。(藿香正気散は中止)

漢方薬を飲んでもらい1週間経過

一番のお悩みの上咽頭の痰のようなものがへばりついた感覚は「少しマシかな?」という程度で、朝の咳き込みは不変で、後鼻漏の喉のヌルヌル感が増して不快だとの事でした。

お客様の漢方薬の反応から潤す力が強すぎたのだと考え、温経湯はそのままにしておき、半夏を増量する目的で清肺治喘丸を麦門冬湯に変更しました。

この配合でちょうど良かったらしく、今まで一度も改善の兆しがなかった上咽頭の痰のようなものが改善して、朝の咳き込みもなくなりました。

その後、月経前後に本人いわく機能性ディスペプシアのような胃腸症状が昔から出ていて不快との事でしたので、四逆散を適量足すとその症状もおこらなくなり「こんなに不快感がなく、過ごせるのは何年ぶり。」というお言葉を頂きました。

ただし、まだ後鼻漏症状のノドのヌルヌル感があるので、上咽頭の炎症が静まれば麦門冬湯の量を減らして調整しようと思っています。

今回の症例は、過去に飲んだ漢方薬の中には少しは症状が動くものも入ってそうでしたので「すごく難しいのではないか?」と思いましたが、思いのほか短期間で、スムーズに改善に向かわす事ができて安心しました。

慢性上咽頭炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の相談を受けていて思うこと

慢性上咽頭炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の相談は多く、中には耳鼻科の治療や漢方薬を色々と飲んでも症状が思うように改善しなかった人もいます。

当然、食生活の問題や空気の汚染の問題もありますが、慢性上咽頭炎や副鼻腔炎(蓄膿症)が長期化して、症状が長引く場合は、女性の血の衰えによる問題も内的要因として大きいので、その問題を解決しないと症状が改善しない人も多いのではないかと考えています。

Bスポット療法(EAT)後に症状が再発しやすいタイプ

このブログを書いた後にも慢性上咽頭炎の方のご相談を多く受けて、Bスポット療法(EAT)後に、どのような方が症状の再発しやすい又は効果が出にくいのか?という事に気づきましてので、添付のブログに記載していますので、よろしければご参考にしてください。