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Bスポット療法後も再発する慢性上咽頭炎には漢方薬が効果的

2020年10月23日

Bスポット療法後も再発する慢性上咽頭炎には漢方薬が効果的

ご相談が増えている慢性上咽頭炎。

漢方相談をされるほとんどの方が、Bスポット療法(上咽頭擦過療法・EAT)を受けても症状が改善しない方です。

Bスポット療法で症状が改善しない慢性上咽頭炎に対して、漢方薬は効果的です。

痛みや腫れの度合いが強くない方に関しましては、1ヶ月もあれば症状は改善していきます。

ただし炎症と乾燥が強い方や、胃腸が弱く後鼻漏や痰が多い方、ストレスを強く感じている方は改善に時間がかかる印象です。

そしてこのような方々はBスポット療法を受けても、症状が改善しにくい人の特徴でもあります。

慢性上咽頭炎とはどんな病気

慢性上咽頭炎は、鼻の奥・ノドの上の部分である上咽頭に慢性的な炎症が起こっている状態です。

上咽頭の炎症はせき・のどの痛みや違和感・耳の奥の痛み・せき(ぜんそくのような症状もふくむ)・鼻づまり・後鼻漏・嗅覚障害などの症状も引き起こします。

慢性上咽頭炎の書籍で有名な『慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修著には

  • 頭痛、めまい、不眠、うつ、微熱、思考力、記憶力、集中力の低下・ブレインフォグ
  • 耳鳴り
  • 歯痛・舌痛
  • 首のこり・肩こり
  • 全身痛・全身倦怠感・慢性疲労
  • 機能性胃腸障害
  • 過敏性脹症候群
  • IgA腎症(慢性糸球体腎炎)
  • ネフローゼ症候群
  • 月経異常
  • 関節痛・しびれ
  • 掌蹠膿疱症
  • むずむず脚症候群

上記のような、鼻やのどと関係ない症状を引き起こす事があると書かれています。

これは上咽頭の炎症で発生した炎症物質のサイトカインが、血液により上咽頭以外に運ばれた結果により生じる炎症の波及が原因です。

炎症物質は体だけでなく、脳にも波及してブレインフォグといったメンタルの不調も引き起こします。

ブレインフォグはコロナ感染後におこる方が、実際によく見られました。

実際にご相談を受けると、上記の症状のどれかを抱えてる事が多く、上咽頭炎が良くなることによりその症状も改善していきます。

慢性上咽頭炎の原因

慢性上咽頭炎の原因

慢性上咽頭炎の原因は

  • アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎
  • かぜ(ウイルスや細菌の感染症)
  • コロナ後遺症(コロナ感染後に炎症がのこる)
  • 歯周病などの口腔内のトラブル
  • 疲労
  • ストレス
  • 体の冷え
  • 大気汚染
  • 食生活の乱れ
  • 逆流性食道炎
  • 気象病

などが考えられます。

人間は生きてくためには酸素が必要ですので、息を吸わなければなりません。

そして上咽頭は空気の通り道でもあり、必要な酸素以外にも常にウイルス・細菌・汚染物質・アレルギー物質などにさらされています。

それらから体内への異物を侵入を防ぎ、排除するために上咽頭周辺の粘膜組織には咽頭扁桃・耳管扁桃・口蓋扁桃・舌扁桃と呼ばれるリンパ組織が存在しています。

構造上、上咽頭は炎症がおこりやすくなってしまうのです。

ただし上咽頭は不快な症状がない人でも炎症が存在することも多く、あくまでも不快な症状と上咽頭に炎症がある場合に慢性上咽頭炎と診断されます。

慢性上咽頭炎の治療法

慢性上咽頭炎の治療法

Bスポット療法は効果的な治療法で、費用も安くすみます。

しかし塩化亜鉛のついた綿棒を鼻から入れて咽頭をこすりつけるだけですが、痛みが強いです。


お客様のお声を聞くとBスポット療法は効き目も良いので、原因不明の咳や後鼻漏、上咽頭やのどの痛み・違和感でお悩みの方は慢性上咽頭炎と診断されるのでしたら受けた方が良い治療法です。

その中にはBスポット療法を受けると症状は良くなるが、再発してしまう方や症状が残ってしまう方がいらっしゃいます。

Bスポット療法で完治しにくい方の特徴

Bスポット療法(上咽頭擦過療法・EAT)で完治しにくい方の特徴

慢性上咽頭炎に対してBスポット療法は安価で効果的な治療法ですが、どのような治療法にも効果が出にくい方はいます。

慢性上咽頭炎の方のご相談にのっていると、どのような方がBスポット療法だけで症状が改善しにくいか?という事もわかってきました。

それは以下の3タイプの方です。

  • 乾燥感や痛みが強い方(体の痛みだるさが出る方もいる)
  • 胃腸が弱く後鼻漏や痰の量が多い方
  • ストレスが多く上半身の緊張が強い方(過去にパニック障害になった方も)

痛みや乾燥感が強い方の特徴と漢方薬

このタイプの方は、Bスポット療法を受ければ、痛みや腫れ感が軽減していきます。そして出血は治療当初より減少しますが、引き続き出血する傾向にあるようです。

しかし時間がたつと、上咽頭の痛みと乾燥感・耳の奥の痛みや、耳の奥がつまった感じが出てきます。

痛みが再発する原因として、Bスポット療法は鼻や口から綿棒をいれてこすります。綿棒があたる部分の炎症は鎮める事ができるのですが、届かない部分の炎症が残り、またその炎症が強い場合は炎症が飛び火して再燃してしまいます。

上咽頭に炎症があることで喉を痛めるタイプのかぜになりやすくなり、お子様がかぜをひくとそのかぜをもらい喉を痛めて、上咽頭炎の炎症を悪化させてしまいます。

痛みに加えて乾燥感が強い方は、秋や冬の乾燥・暖房や冷房の乾燥に弱く症状を悪化させがちになります。

Bスポット療法は漢方的には瀉血という行為に似ており、局部に鬱血している血を排出させる事により流れを良くして慢性的な炎症を鎮めますが、局部を潤す作用のある血を失う事になるために、乾燥感が解消しにくくなります。

このタイプの方はBスポット療法とともに、乾燥を起こりにくくしていく必要があります。

また炎症の波及のせいで体の痛みやだるさが出る方がいらしゃいますが、上咽頭の状態を整えていくと体の痛みやだるさは軽減していきます。

痛みや乾燥感が強い方に使用する漢方薬

熱を発散する作用のある生薬→麻黄・葛根・桔梗・辛夷・連翹・荊芥・薄荷

熱をとる作用のある生薬→石膏・枳実・黄芩・黄連

乾燥をうるおす作用のある生薬→麦門冬・天門冬・人参・芍薬・当帰・地黄・百合

などが配合された漢方薬である

  • 荊防敗毒散
  • 金羚感冒散
  • 桔梗石膏
  • 小柴胡湯加桔梗石膏
  • 柴胡清肝湯
  • 荊芥連翹湯
  • 防風通聖散
  • 辛夷清肺湯
  • 竹葉石膏湯

などを使用します。

胃腸が弱く後鼻漏や痰の量が多い方の特徴と漢方薬

このタイプの方は後鼻漏の量の多さからくる不快感症状がメインで、強い痛みや乾燥感をうったえる方は少ないです。

Bスポット療法(上咽頭擦過療法・EAT)を定期的に受けても、治療を受け始めた当初より出血量は減り、中にはほとんど出血しない方もいます。

症状が出始めた当初は上咽頭の炎症を併発していましたが、Bスポット療法(上咽頭擦過療法・EAT)を受ける事により炎症が改善されているので、治療を続けても期待するほど後鼻漏や痰の量が減る事がない事が多いです。

毎日不快に感じる後鼻漏や痰の改善方法として、胃腸の調子を整える必要があります。

このタイプの方はご自身の胃腸の調子や食事内容の変化により、痰や後鼻漏の量が変化するかを観察してみるのが良いです。

胃腸が弱く後鼻漏や痰の量が多い方に使用する漢方薬

胃腸を元気づける作用のある生薬→白朮・茯苓・甘草・人参・生姜・乾姜・大棗

粘膜上の後鼻漏や痰を乾燥させる作用のある生薬→生姜・桂皮・麻黄・細辛・蘇葉・白芷・辛夷・蒼朮

動きにくい痰をめぐらせる作用のある生薬→半夏・陳皮・枳実・厚朴

などが配合された漢方薬である

  • 六君子湯
  • 香砂六君子湯
  • 参苓白朮散
  • 半夏白朮天麻湯
  • 藿香正気散

などを使用します。

後鼻漏に関して詳しく書きましたので、よろしければご覧ください。

ストレスが強く上半身の緊張が強い方の特徴と漢方薬

このタイプの方は、のどや耳、胸などに違和感を抱えており、メンタルの不調がある方です。

  • のどに何か異物感がある
  • 首や肩、背中のこりが強い
  • 息苦しさや動悸がある
  • 睡眠の質が悪い
  • いらいらしやすくや不安になりがち

上記の項目のすべてではないですが、あてはまる事が多いです。

この方々もBスポットを受けると、一時的に迷走神経刺激と上咽頭周辺の血流が良くなるのでスッキリする事もありますが、上半身の緊張の度合いが強い方の場合は、治療当初よりは効果が感じられない方もいらっしゃいます。

ストレスや不安などにより、上半身の緊張状態が続いているため、筋肉のこりによって上咽頭周辺の血液やリンパ液の流れも悪くなっている可能性が考えられます。

それによって治癒活動が低下して、治りにくくなっていると考えられます。

このタイプの方はストレスの原因がわかっている場合は、避けれる場合は避けて、無理な場合は上手な気分転換方を行いながらも、上半身の緊張やこわばりをゆるめてあげる必要があります。

ストレスが強く上半身の緊張が強い方に使用する漢方薬

気のめぐりをよくする作用のある生薬→香附子・蘇葉・陳皮・青皮

気のたかぶりをおさえる作用のある生薬である→桂皮・川芎・茯苓・釣藤鈎・羚羊角・牡蛎・竜骨

こわばった筋肉をほぐす作用のある生薬である→芍薬・当帰・地黄・茯苓・厚朴・枳実・大棗

などの配合された漢方薬である

  • 柴胡疎肝湯
  • 四逆散
  • 抑肝散加陳皮半夏
  • 大柴胡湯
  • 小柴胡湯
  • 柴朴湯
  • 半夏厚朴湯
  • 苓桂味甘湯
  • 苓桂甘棗湯
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯

などを使用します。

複合タイプと漢方薬を飲む期間には注意が必要

わかりやすく上記のように3つのタイプに分類しましたが、中には複合している方がおられます。

複合タイプの方は漢方薬への反応も敏感な事が多く、漢方薬を飲む事によって

  • 胃腸の調子が悪くなる
  • 下痢や軟便・便秘
  • 痰が乾燥しすぎる
  • 後鼻漏や痰が増える

のような症状が起こる事がありますので、注意が必要です。

複合タイプの方は、しっかりカウンセリングした後に漢方薬を飲んでもらい、反応をみながら調整する事が必要です。

もうひとつ注意しなければならないのは、はじめの漢方相談にこられた時は炎症を冷ます作用のある漢方薬が多く必要でしたが、炎症が鎮まるにつれて漢方薬の量を減らしたり変更する必要があります。

漢方薬の効果を発揮するには必ず胃腸を通る必要があるので、炎症が鎮まっているのにだらだら冷ます作用のある漢方薬を飲んでいると、胃腸の不調につながります。

慢性上咽頭炎の漢方薬治療は全身の状態を整えていく

漢方薬で治療する場合は、上咽頭の炎症だけに焦点をあてるのではなく「からだ」と「こころ」を全体的にとらえて「なぜ上咽頭に炎症がおこるのか?」という事を考え、その原因にあたる「ゆがみ」を整えていきます。

Bスポット療法(上咽頭擦過療法・EAT)は上咽頭の炎症をとれば他の症状が治していきますが、漢方治療は身体を整えて上咽頭の炎症を治すという逆の流れになります。

  • 口やのどの乾燥感やネバネバがなくなったら、上咽頭炎が治った。
  • 胃腸の調子が良くなったら、上咽頭炎が治った。
  • 後鼻漏が出なくなったら、上咽頭炎が治った。
  • ストレスが軽減し生活しやすくなったら、上咽頭炎が治った。
  • 首や肩こりが楽になったら上咽頭炎が治った。

漢方薬で慢性上咽頭炎を治療する場合には、「慢性上咽頭炎だから生脈散が効くよ。」という流れにはなりません。

もちろん慢性上咽頭炎(病名)に対して、漢方薬を決めるやり方も効果がないわけではありません。

一部の方には効果がありますが、全く効果がない場合や逆に症状が悪化してしまう事もあります。

慢性上咽頭炎の漢方治療の実際

慢性上咽頭炎の漢方薬が効果的であった実際の症例を添付しておきますので、よろしければご参考にしてください。

Bスポット療法の効果がなくても慢性上咽頭炎に対して漢方薬は効果的

Bスポット療法を10回以上もしく100以上受けても慢性上咽頭炎からくる不快症状が治らずにお悩みでもあきらめる事はありません。

上咽頭炎の状態と体質にあった漢方薬を飲めば、お悩みの症状をさらに改善する事ができ、いずれは不快症状がなくなり、以前のような不快症状がないお身体に戻る事ができますので、大丈夫ですよ。