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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

慢性上咽頭炎からおこる鼻の奥の腫れ・はり・つっぱりに漢方薬が効果的であった症例

2024年04月22日

Bスポット療法をしても慢性上咽頭炎が治りきらない

Bスポット療法(EAT)をしても、鼻の奥の腫れとはり・つっぱりがとりきれないのでご相談に来られました。

Bスポット療法(EAT)は、週2回のペースで累計で50回は受けたとの事。

症状はBスポット療法(EAT)を受ける前に比べると70%は軽減したが、後りの30%はBスポット療法(EAT)を続けてもそれ以上は改善しないので、別の漢方薬局で辛夷清肺湯や荊芥連翹湯・葛根湯加川芎辛夷・半夏厚朴湯を飲んでも効果がなく、半夏厚朴湯を飲んだ時に逆に鼻の奥の違和感がひどくなったとの事でした。

慢性上咽頭炎の漢方薬での治療は、慢性上咽頭炎の状態や体質にあわせる事ができると症状は軽減して治す事は可能ですので、まずは相談者のお話を聞いてどう治療すれば良いのかを考えていきます。

慢性上咽頭炎の診断

上咽頭は鼻の奥にあり、外から空気を取り入れる時に通り道になっており、上咽頭はウイルス・花粉・ハウスダスト・黄砂・PM2.5や空気の乾燥と冷気などの影響を受けやすく、炎症が起こりやすい場所になっています。

内視鏡で上咽頭に炎症の存在を確認して、咽頭痛・のどの違和感・後鼻漏・鼻閉・痰・せきなどの不快な症状がある場合に上咽頭炎と診断されます。

しかし慢性上咽頭炎の方の中には内視鏡で視覚的に異常がない場合もあるので注意が必要です。そんな方でもBスポット療法(EAT)を行った時に、痛みと出血がある場合には慢性上咽頭炎と診断されます。(健康な方でも上咽頭にはあるていどの炎症はありますが、Bスポット療法(EAT)をおこなっても病的な炎症でない限りは、強い痛みがおこったり・多量に血が出る事はありません。)

慢性上咽頭炎になる原因は

多くの場合はかぜ・インフルエンザ・コロナなどの感染がきっかけです。またはワクチン摂取が原因でおこる事もあります。

ただし食生活の乱れ・寝不足・過労・ストレス状況下が続き免疫が弱っているところに、それらに感染する事によって、炎症が慢性化してしまう事が考えられます。

慢性上咽頭炎の治療

上咽頭の炎症が慢性化してしまうと効果的な西洋薬はありませんが、耳鼻咽喉科で行うBスポット療法が効果的です。

多くの慢性上咽頭炎はBスポット療法だけでも治ってしまう事が多いですが、一部の方は治りきらないのも事実です。そんな方でも漢方治療を併用すればより治療効果は高まります。

漢方薬でどうやって治療するのか

慢性上咽頭炎の漢方治療の方針を決めるのに大切なのが

  • 相談者が上咽頭の周辺に痛みや違和感を訴えているかどうか?
  • Bスポット療法(EAT)を受けた後に、お悩みの症状が軽減しているのか?

になります。

この2点がある場合は、漢方治療をする上でメインを上咽頭の炎症を鎮めにいく方針に絞る事ができます。

中にはBスポット療法(EAT)を受けた事がない方もご相談に来られますが、上咽頭の周辺に痛みや違和感がある場合は、まずはその痛みや違和感をとる事に専念します。もし上咽頭周辺の痛みや違和感がとれた後に不快な症状が残っている場合には、そちらの治療に切り替えます。

これらのケースにあてはらまない場合は、上咽頭の炎症とお悩みの症状の関係性がない可能性が高くなりますが、漢方で治療できるケースも多いので、相談者にご説明して治療していきます。

今回のお悩みの症状は鼻の奥の違和感(腫れとはり)なのと、Bスポット療法(EAT)を受けた後に70%は症状が軽減しているので、迷う事なく上咽頭周辺の炎症を鎮めてしまえば良いです。

今回の症例はこのように改善した

相談者の訴えは、以下のようになっています。

  • 鼻の奥から耳にかけて腫れとはり・つっぱりがあり不快
  • 鼻の違和感が強い時に頭痛がおこる事もある
  • 違和感に波があり朝はましであるが昼すぎぐらいからひどくなる
  • 食後に違和感がひどくなりひどい時はあごにしびれ感が出る
  • 舌に針をさしているようなピリピリとした違和感がある
  • そのひどい時の症状は1時間ぐらい続く
  • 鼻うがいすると鼻の奥の違和感は少しだけ軽減する
  • Bスポット療法を50回受けて鼻の奥の違和感は70%軽減した

第一印象として、体格はよく肌の色がくすんがような茶褐色をしており、虚弱な雰囲気は感じられませんでした。

舌の大きさは普通ぐらいでむくみっぽくはなく、中央から奥にかけてねっとりした白い苔が厚く付着しています。

睡眠は良好・食欲はあり胃腸の不調はなく大便は1日1回で硬さもちょうどく安定しているとの事。
天候や気圧のよる体調の変化は特に感じられないとの事。

鼻の奥から耳にかけての腫れ感とつっぱり感・はり感は、Bスポット療法(EAT)で軽減したので、迷う事なく漢方薬は上咽頭周辺に作用するものを選ぶのが良いです。

今回の漢方薬の効果の判定は、鼻の違和感と舌にピリピリとした違和感があるので、どちらかが軽減すれば効果があると判断して良いでしょう。

お腹の状態に胸脇苦満(きょうきょうくまん)や腹直筋の緊張はみられませんが、肌の色がくすんだような茶褐色であり、この肌の色は一貫堂の三大証の分類の解毒体質の方が表す肌の色です。
よって解毒体質を改善する漢方薬である柴胡清肝湯・荊芥連翹湯・竜胆瀉肝湯が適応する確率が上がります。上咽頭周辺の炎症なので竜胆瀉肝湯は除外して柴胡清肝湯と荊芥連翹湯になりますが、不快な症状がおこっている場所が鼻奥なので、白芷や荊芥が入っている荊芥連翹湯が良いでしょう。

しかし荊芥連翹湯は以前にも1ヶ月ほほど飲まれて効果が出ていませんが、エキス量の問題や何か不足がある可能性を考えます。

荊芥連翹湯を1日3回もれのないように飲んでもらう事をお願いして、舌のピリピリが強い事から血熱の存在を考えて、念の為に血熱を冷ます効能を上げるために三物黄芩湯と温清飲を迷いましたが、鼻の奥への効果を高めるために川弓に入った温清飲の半量×追加で3回を、まずは10日間飲んでもらうようにしました。

漢方薬を飲んで10日後

荊芥連翹湯+温清飲半量をわずか10日の服用ですが、舌の針でさすようなピリピリした痛みがなくなり鼻の腫れ感・はり・つっぱり感は半分になったとの事でした。

特に胃腸の不調が出る事もなく、漢方薬は病態と体質をとらえれているので、漢方薬は変更せずに今回は14日分をお持ち帰りいただきました。

漢方薬を飲んで24日後

鼻の奥の腫れとはりはさらによくなり、前回も来店から10日たつ頃には感じなくなったので、ご自身の判断で漢方薬を止めてみると、少し違和感が出たが再開するとすぐに違和感は消失したとのこと。

ゴールは見えていますが、念の為にもう14日分だけ荊芥連翹湯+温清飲をお持ち帰りいただき、ご自身の症状のぐあいで漢方薬の量を減らすか、止めてもらって良いとお伝えしました。

今回の症例はBスポット療法(EAT)で上咽頭の炎症はかなり鎮まっていましたが、とりきれない炎症を漢方薬でとれたのだと思います。荊芥連翹湯を以前にも飲まれていたので処方するのに、少し迷いましたがそのまま押し切って良かった思った症例でした。