慢性上咽頭炎による不快な症状にBスポット療法がなぜ効かないのか?
2022年06月03日
慢性上咽頭炎にBスポット療法(EAT)をおこなえばお悩みの症状はすべて消えるのか?
結論から言いますと、全ての方のお悩みの症状には効かないです。
なぜなら慢性上咽頭炎で漢方相談をされるほとんどの方は、Bスポット療法を何十回も(多い方は何百回)されているからです。
もしBスポット療法だけでお悩みの症状が治るのであれば、漢方相談を依頼する方はいないでしょう。
しかし現実は違います。
多くの方から上咽頭周辺の痛み・のどの違和感・乾燥・痰のへばりつき・痰の多さ・後鼻漏・全身倦怠感・体の痛み・首や肩のこり・ブレインフォグ・胃腸の不調・微熱などの様々な日々の苦痛を和らげるための漢方相談の依頼があります。
慢性上咽頭炎の漢方相談を多く受けて思う事があります。
相談者のお悩みの症状は、本当に慢性上咽頭炎がおこしているのか?
という事です。
コロナの後遺症の原因のひとつとして慢性上咽頭炎があげられた後に、慢性上咽頭炎の認知度がさらに高まりました。
ネットを検索すれば、慢性上咽頭炎の情報が多く出てきます。
そして慢性上咽頭炎は以下のような症状を引き起こして、Bスポット療法をおこなえばそれらの症状が劇的に改善していくとも書かれています。
- 頭痛・めまい・不眠・うつ・微熱
- 思考力や記憶力・集中力の低下
- 耳鳴り
- 歯痛・舌痛
- 後鼻漏・鼻づまり
- 首こり・肩こり
- のどの違和感
- 全身痛・全身倦怠感・慢性疲労
- 機能性胃腸障害・過敏性腸症候群・ネフローゼ症候群
- 月経異常
- 関節痛
- しびれ
- 掌蹠膿疱症
- しびれ・むずむず脚症候群
これらの症状に長期間悩んでいる方からしたら、もし自分に慢性上咽頭炎があり、Bスポット療法で良くなる可能性あれば絶対に受けるでしょう。
もちろん劇的に効果がある方もいると思いますが、満足のいく効果が出ない方がいます。
お悩みの症状と慢性上咽頭炎は関係ない可能性がある
Bスポット療法の全身への効果の理由として、上咽頭にたまった体の各所で炎症起こす原因でる活性リンパ球・炎症性サイトカインなどの炎症性メディエーターや、うっ滞した組織間液、老廃物が機械的に除去される事。
参考文献『慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修著
Bスポット療法により上咽頭周辺のリンパ管のうっ滞が解除され、リンパ流が改善し、脳の老廃物が下水道をとおてスムーズに排泄されるようになり、脳細胞の機能回復につながる
参考文献『慢性上咽頭炎を治しなさい』堀田修著
これらの事がわかるように、Bスポット療法はあくまでも上咽頭周辺に働きかけて、全身症状を改善するという事です。
お悩みの症状の根本原因が上咽頭周辺にある場合は、Bスポット療法は効果的ではありますが、お悩み症状の根本原因が上咽頭周辺にない場合は効果がないでしょう。
この時にいわれるのが、Bスポット療法をすると痛みがあったり、出血があったので上咽頭に炎症があるのでそれが原因であるという事です。
しかしハウスダスト・排気ガス・PM2.5・黄砂・花粉・ウイルス・細菌など空気中には上咽頭に炎症をおこす原因物質は多く存在しており、上咽頭は常にそれらにさらされています。
またストレスによる抑圧状態や飲酒・タバコなどでによっても上咽頭の炎症は起こります。
元来、上咽頭は炎症が起こりやすい組織なのです。
私が考えているのは、上咽頭に炎症があっても不快な症状がない方はたくさんいるのではないか?という事です。
さらにいえば
- 頭痛・めまい・不眠・うつ・微熱
- 思考力や記憶力・集中力の低下
- 耳鳴り
- 歯痛・舌痛
- 後鼻漏・鼻づまり
- 首こり・肩こり
- のどの違和感
- 全身痛・全身倦怠感・慢性疲労
- 機能性胃腸障害・過敏性腸症候群・ネフローゼ症候群
- 月経異常
- 関節痛
- しびれ
- 掌蹠膿疱症
- しびれ・むずむず脚症候群
これらの症状は、慢性上咽頭炎以外でも起こりうるという事です。
すべての原因が上咽頭の炎症という事ではないでしょう。
不快な症状がおこっている組織自体に問題がある方もいれば、胃腸の不調から起こる方もいるでしょう。
また自律神経の乱れから起こる方もいらっしゃるでしょう。
逆に胃腸の不調や自律神経の乱れから、上咽頭の炎症が起こる事も考えられるという事です。
お悩みの症状の根本原因が慢性上咽頭炎と関係なく、上咽頭周辺に炎症が起こっていようが、起こっていなかろうが、お悩みの症状がおこる可能性があるという事です。
根本原因が別の場所にある可能性があるという事です。
そう考えるとBスポット療法を何十回・何百回もおこなっても、お悩みの症状が改善しないという事に納得がいきます。
Bスポット療法をやりすぎて悪化する場合には注意が必要
Bスポット療法は塩化亜鉛を塗って患部をこすります。
相談者の中にたまにではありますが、Bスポット療法をした後に痰のからみがひどくなり息苦しくなったり、身体のだるさが出る方もいらっしゃいます。
極端な方の場合は、上咽頭周辺の違和感や痛みが治らないから毎日通い、出血するたびに落ち込む方もいらしゃいます。
胃腸が虚弱な方や粘膜が乾燥しやすい方は、上咽頭周辺の粘膜が敏感になっているため、Bスポット療法に毎日通ったり、週に3、4回も通わない方が良いと思います。
Bスポット療法をしてもあまり効果を感じていないのであれば、1週間に1回や2週間に1回ペースで良いと思います。
Bスポット療法は安価で有用な方が多いですので、慢性上咽頭炎であるのならばやるべきですが、中には盲信して悪化させている方もいらっしゃいますので、治療した後に冷静に自分の症状が改善しているのか?悪化しているのか?という事を分析する必要があります。
漢方薬を飲んだ後に、自分の症状が改善しているのか?体質にあっているのか?を分析するのはとても大切なのと同様です。
Bスポット療法が効かなくてもあきらめる必要はない
お悩みの症状がBスポット療法で改善しない時であっても、多くの場合は漢方薬が有用です。
お悩みの症状の原因が不明で、慢性上咽頭炎の炎症と考えてBスポット療法で改善しなくても、漢方では別の原因を考える事ができます。
もちろん漢方薬のみで、すべての方のすべて症状を完全に0にする事は難しいですが、あきらめずに漢方薬を飲みながら、日々の悪習慣を見直していけば、少なくとも日々のお悩みの症状を軽減する事はできます。
お悩みの症状がBスポット療法で改善しなくても、落胆する必要はありません。
根気よく状況や体質にあわせて漢方薬を飲みながら、日々の生活を見直していけば、苦痛が軽減する事は少なくはありませんので、あきめる必要はありません。
Bスポット療法だけで慢性上咽頭炎が治らない理由とその人の特徴をブログに書きましたので、よろしければこちらもご参考にしてください。
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。