慢性上咽頭炎の方の痛みのタイプわけと対応する漢方薬
2021年08月17日
慢性上咽頭炎の不快の症状のひとつに、のどの痛みがあります。
そしてのどの痛みが何年も持続してつらいので、漢方相談をされる方が多いです。
たとえば、耳鼻科でのどの痛みを訴えると消炎鎮痛剤や抗生物質が出たり、痰きりのお薬が出たりします。
耳鼻科では、のどの痛みに対してお薬が処方されるので、個人の体質はあまり関係してきません。
しかしのどの痛みで漢方薬を選ぶ場合には、体質とのどの痛みの質によって変わってきます。
この点が漢方薬との大きな違いです。
Bスポット療法(EAT)を受けても症状が残る方の、漢方相談をよく受けますが、今まで漢方薬を飲んだ事がない方は、慢性上咽頭炎に効く漢方薬が出てくると思っている方が多いです。
漢方薬はうったえる症状と体質を考えた上でお出しします。
極端な話を言えば、慢性上咽頭炎という病名の情報は必要ないのかもしれません。
体質と症状を考えた上で漢方薬を飲んでもらい、症状を改善していきますので、副鼻腔炎(蓄膿症)や慢性中耳炎、慢性扁桃炎、かぜなどの感染症、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹でお悩みの方と同じ漢方薬使うという事もあります。
その事を漢方では異病同治(いびょうどうち)と言います。
話が少しずれましたが、本題に入っていきたいと思います。
のどの痛みのタイプわけ
参考程度に見るのが、良いかと思います。
漢方相談の時に舌をみて、問診していく時に「どのような事が原因で、のどの痛みを起こっているのだろう?」と下記のような事を頭に入れながら考えます。(実際はもっと細かく考えます。)
のどの痛み(風寒タイプ)
のどの痛みはあまり強くない場合多く、チクチクしたような痛みがおこります。
粘膜は真っ赤にはれる事が少なく、強い赤みを伴わずに腫れて、粘りけの少ない鼻水や痰が出て、鼻づまりや咳をともなう事もあります。身体が冷えたり、雨の日には悪化して頭痛をともなう事があります。
舌の色は赤みは強くなく、白い苔が薄くついています。
脈は浮き、緊張をともなうような形状をしています。
使用する漢方薬→荊防敗毒散。
のどの痛み(風熱タイプ)
のどが刺すように痛く、つばを飲み込んだり、食べ物を飲み込んだ時に痛みを感じます。
風寒タイプとは逆に、のどの粘膜は赤く腫れる事が多く、熱がこもったりほてったり、時に頭痛をともなう事もあります。
舌の色は特に舌の先が赤くなり、うすい黄色が舌苔が薄くついています。
脈は浮き、速い事が多いです。
使用する漢方薬→金羚感冒散。
のどの痛み(湿熱タイプ)
のどの痛みが強く、刺すような痛みもあり、粘膜は赤く腫れて、時に水疱ができる事もあり潰れると潰瘍状になります。
風熱タイプと同じく、熱がこもったりほてったりする事あり、黄色い粘っこい痰が出て咳の症状があります。
舌の色は赤く、舌苔がネッチョリとした黄色の舌苔が付着しています。
脈は速い事が多いです。
使用する漢方薬は→甘露飲合桔梗石膏
のどの痛み(鬱火タイプ)
のどが刺すような痛み赤く腫れる事が多く、ストレスを受けると痛みが増す、逆にストレスが減ると痛みが緩和します。
のどに異物感があり、何かつかえているような感覚や、胸や脇がしめつけられ呼吸がしにくいような感覚をおぼえる事があり、気分がすぐれない事が多いです。
喉頭蓋に腫れぼったさを感じる事もあります。
舌の色は赤く(特に舌の両端)、苔が白or黄色で薄くつきます。
脈は緊張した脈もしくは沈んだ脈で、速いです。
使用する漢方薬→荊芥連翹湯や柴胡疎肝湯合桔梗石膏
のどの痛み(陰虚タイプ)
のどが乾燥して痛み、粘膜は暗い赤色で腫れ、口内も乾燥して飲み物をこまめに摂取したくなります。
のどの奥に、痰がへばりついたような感覚があり、スムーズに排出できません。
夕方ぐらいから、のどの痛みが増してきたり、熱がこもったりほてったりします。
人によっては大便が乾燥して、コロコロであったりします。
舌の色が赤く、舌苔がまったくなかったり、わずかに付着している程度です。
脈は細く、速いです。
使用する漢方薬→清肺治喘丸
のどの痛み(気陰両虚タイプ)
のどが乾燥して痛みますが、痛みはあまり強くない事が多く、ジクジクと痛みます。
寝不足が続いたり、働きすぎたりすると痛みが強くなります。
手足や身体のだるさをともなう事が多く、低気圧が近づくと調子を崩したり、胃腸の調子が悪い方も多いです。
夕方ぐらいから、熱がこもったりほてったりする事が多く、大便が乾燥してコロコロの場合もあります。
舌にハリ感がなくだらっとして、舌苔が少なく時には地図状の場合もあります。
脈に力がなく、やや速い。
使用する漢方薬→竹葉石膏湯・生脈散
大阪の浪速区にあるミズホ薬店の店主。
お店にひきこもって漢方の勉強をしたり、漢方相談をしながら暮らしています。