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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

お客様への心配とは

2020年01月21日




お客様への心配は、自分への心配でもある。

私の漢方相談のやり方は、新規のお客様に対してては、通常は1週間〜10日分の漢方薬をお渡しします。

お悩みの症状がひどく、近所にお住まいの方や勤務先が当店の近所の場合には、もっと短いサイクルで2、3日分という場合もあります。

今まで会ったことも話したこともない他人のからだとこころの状態と病の構造をつかむのは、天才でないかぎり初回の漢方相談の2時間でも無理な事が多いです。

漢方の事を色々と学び治療の経験を積めば、だんだん漢方薬の効き目がわかってきます。

漢方薬の効き目がわかるのは良い事なのですが、効くということはその薬のせいで悪化させるという事と表裏一体であります。

さらに漢方薬の感受性は酒に対する感受性(強い、弱い)があるように、実際のところは飲んでみないとわかりません。

少量で良く効く人もいれば、大量に用いなければ効かない人もいます。

だからこそ漢方の事を知れば知るほど、病める人に漢方薬を飲んでもらうという事がだんだんと怖くなってきます。

だからこそその怖さを払いのけて、できる限り良い反応がでる漢方薬を選ぶために、初回の漢方相談には入念に時間をかけるのであります。

たまに、はじめの5分ぐらいでその方に適合するであろう漢方薬は決まってる事もあるのですが、怖さを払いのけるためと治癒反応への確実性を高めるために、2時間ぐらいは色々な事をお客様からおうかがいする場合もありますが、しかし複雑な症状を抱える方の場合は、そのような事は多くありません。

最近、野口晴哉先生の『治療の書』を読み、このような事が書かれていました。

「当たり前のことが当たり前に行はれて当たり前の気持ちで経過を眺めている者のみ治療といふことを行へる也。良くなって喜ばず悪くなって慌てずいつも平喘として治療のこと行ひ得るに至りて治療といふことある也。」

治療というものは、当たり前のことをおこなう事である言い、腹を切る覚悟でおこなう事や、一生懸命に行う事は治療ではないと野口先生は言われております。

この一節を読んだ直後は、私は「そんなことはないだろう?」と疑問をいだきながら過ごしておりましたが、少し前に読んだ『整体入門』の一節が思い浮かび合点がいきました。

『整体入門』で野口先生はこう言われております。

天心で行う から 

「親切にしてやろうとか、やってやる、受けてやるというような心があったり、自分の技術を誇るとかいう心でしてはならない。」

なるほど、お客様の事を心配しているのは自分のこころのどこかに「治療をしてやっている」という、こころがある事に気づきました。

だからこそ「私がこれだけ心配しているのにお客様は連絡してこないのだろう?」とか「あの漢方薬の組み合わせで悪い反応は出てないだろうか?」とか、いらぬ心配をするのであります。

人を治療するということは、誰のためでもなく、ただお客様の持っている「治ろうとするちから」を信じて、それに耳に傾けて、その答えを私は漢方薬という形で出すだけであります。

治療は無心で行う、野口先生のお言葉を借りるのであれば天心で行う。

今年はできるかぎり、そのような気持ちで治療に望んでいきたいと思います。