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脾陰虚と胃陰虚について(5)

2016年05月28日

もう少し麦門冬湯について記載します。
麦門冬湯は「金匱要略・肺痿癰咳嗽上気病脈証治」に出てくる方剤です。
その条文を少し拾い出していきます。

「問うて曰く、熱の上焦にあるのは、咳に因って肺痿となる。肺痿の病たる何よりこれを得るか。師曰く。或いは汗出てより、或いは嘔吐により、或いは消渇小便数より、或いは便難きより、また快薬を被り下利して、重ねて津液を亡う。故にこれを得る。曰く、寸口の脈数、その人口中かえって濁唾涎末あるは何ぞや。師曰く、肺痿の病たり。もし口中僻僻と燥き、咳けば、すなわち胸中隠隠と痛み、脈かえって滑数なるは、これ肺癰となす。咳して膿血唾し、脈数虚となす。数実なるは肺癰となす。」 (全訳 金匱要略 丸山清康著 抜粋)

条文にあるように、汗を出し過ぎたり、嘔吐したり、小便しすぎたり、便を無理やり出したりして、体内の津液を消耗した時に起こる咳であることが分かります。

そのような状態に時に登場する方剤の一つが麦門冬湯なのです。
麦門冬湯(麦門冬15g・半夏4.5g・人参9g・甘草3g・粳米15g・大棗3g

脾の気を補う基本的な方剤に四君子湯があり、その処方構成が
四君子湯(和剤局方)
人参6g 白朮9g 茯苓9g 炙甘草6gになっており痰を除く効果を強化した処方が六君子湯です。
六君子湯〈医学正伝)
人参6g 白朮9g 茯苓9g 半夏9g 陳皮6g 炙甘草3g 生姜6g 大棗2g

んーだいぶ近づきましたね。


脾胃が乾燥している状態なので、この六君子湯から水をさばく生薬である白朮・茯苓・生姜・陳皮(芳香覚脾作用は脾が弱っている状態では刺激になることもある)を抜く。


人参・半夏・炙甘草・大棗が残り、ここに脾気を補いながら口渇を抑える粳米を足す。
人参・半夏・甘草・大棗・粳米になり、麦門冬湯の脾胃をおぎなうベースが出来上がり、ここに脾・胃・肺を潤すながら冷やす麦門冬を加える。

やっぱり処方構成から考えても、脾胃を補う生薬数の多さと金匱要略の条文の内容の急激な津液の損耗から起こる脾気虚の二つの観点から見ても病の本は脾にあると、私は思えてしまうのです。

もしこの方剤の病の本を肺にもって来るなら、せめて人参は抜くんじゃないかなとも思えてしまうのです。

続く…