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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

治らない慢性上咽頭炎には漢方薬が効果的

2024年01月21日

漢方相談をしていると慢性上咽頭炎により

  • のどの奥がヒリヒリして痛む
  • のどの奥に痰がへばりつて不快
  • 上咽頭炎の症状に加えて肩こり・首こり・頭痛がおこる
  • 身体のだるさや気分がすっきりしない

と訴える方のご相談にのる事が多いです。

漢方相談を依頼される方のほとんどが、Bスポット療法(EAT)を受けても治らない方がほとんどですが、Bスポット療法に加えて漢方治療を併用すればさらなる改善ができます。

慢性上咽頭炎とは

上咽頭は鼻の奥に位置して鼻から入ってきた空気の通り道で、1日に吸う空気の量は500mlペットボトル3万本分と言われており、その中にはウイルスや細菌などの数百万個の微生物が含まれているので、炎症が起こる多くの要因にさらされています。

上咽頭の下にある中咽頭や下咽頭は、空気の通り道だけでなく飲食物も通過するために頑丈な扁平上皮(へんぺいじょうひ)で覆われているのに対して、上咽頭は弱い粘膜である線毛上皮(せんもうじょうひ)で覆われているので、ウイルス・細菌・乾燥などの刺激に対して炎症を起こしやすい構造になっています。

上咽頭の線毛上皮細胞(せんもうじょうひさいぼう)の間には多数のリンパ球が存在して、上咽頭自体がウイルスや細菌を防ぐ免疫機能をもつ器官になっている事が、さらに炎症を起こりやすくしている要因のひとつです。

また上咽頭は普段からウイルスや細菌の侵入の備えて活性状態になっており、健康な人でも上咽頭は「生理的炎症」と言われる軽い炎症が起きています。

そこにかぜ・インフルエンザ・コロナなどの感染症をきっかけで上咽頭の炎症が強くなり、その炎症を元の生理的炎症レベルまで鎮める事ができない場合には、慢性上咽頭炎になってしまいます。

このように上咽頭は構造・機能上ともに炎症が起こりやすくなっている事が、上咽頭の炎症が慢性化しやすい原因です。

また上咽頭には神経線維が多く存在しており、上咽頭の炎症とともに放散痛である頭痛や首・肩の痛みやこりが起こります。

迷走神経も走る事から上咽頭の炎症は自律神経に影響を与えて、倦怠感・めまい・睡眠の質の低下・うつ症状・過敏性腸症候群・機能性胃腸症・むずむず足症候群なども起こります。

さらに上咽頭は免疫器官として働く事から、病的な炎症が起きた場合に活性化されたリンパ球や単球とこれらの細胞から作る炎症物質(サイトカイン)が血流を通して、上咽頭から離れた皮膚・関節・腎臓に炎症を引き起こす病巣炎症(びょうそうえんしょう)という現象が起こります。

慢性上咽頭炎の治療

慢性化した上咽頭の炎症には主にBスポット療法(EAT)が行われます。

Bスポット療法(EAT)の効果として以下の事が期待できます。

  • ①亜鉛による収れん殺菌作用により、ウイルスや細菌を殺し炎症を抑える
  • ②綿棒による物理的刺激による瀉血により、たまった炎症物質や老廃物を排出する
  • ③迷走神経への刺激作用により、免疫疾患の炎症を抑える

Bスポット療法(EAT)は綿棒が届く範囲の炎症には強力に作用しますが、上咽頭の綿棒が届かない場所に炎症が残っていたり、また副鼻腔内に炎症がある場合には、炎症が完全に鎮まりにくく再発してしまうという欠点があります。

慢性上咽頭炎に漢方薬が効果的な理由

Bスポット療法(EAT)で治らない慢性上咽頭炎に対しても、漢方薬が効果を発揮できる理由は以下の2点になります。

・漢方薬は上咽頭をはじめとして副鼻腔の炎症を含めた、Bスポット療法での綿棒が届かない場所の炎症を鎮める事ができ炎症がおこりやすい体質から炎症が起こりにくい体質へと改善する事ができる。

・長期的な炎症による気と陰(津液)の損傷を、補気薬と滋陰薬というカテゴリーの漢方薬を使う事により、弱った身体や損傷した粘膜・痰と後鼻漏の粘り気を改善する事ができ、上咽頭周辺のクリアランス能力を回復する事ができる。

慢性上咽頭炎に使用する漢方薬

上咽頭の炎症を鎮めて炎症体質を改善していくのは、炎症が強い場合には冷やす性質のある黄芩・石膏などの生薬が入った小柴胡湯加桔梗石膏・辛夷清肺湯などで炎症を鎮めていき、柴胡や温清飲が入った荊防敗毒散・荊芥連翹湯・柴胡清肝湯などを使用して炎症を鎮めながらを炎症が起こりにくい体質へと改善していきます。

またさらさらした痰や後鼻漏が存在する場合には、胃腸の弱りがある事が多く、黄芩や石膏などの入った、冷やす性質のある漢方薬を使用すると症状が悪化したり改善しませんので、温める作用のある桂皮や黄耆・蘇葉・生姜などの入った苓桂味甘湯・玉屏風散・半夏厚朴湯・藿香正気散などで津液(しんえき)のめぐりを良くする事によって、炎症が起こりにくい体質へと改善していく必要があります。

長期間にわたる炎症により、気と陰(津液)が損傷して、身体の倦怠感があったり上咽頭に乾燥感が出ている場合や、後鼻漏や痰の粘り気が強く不快な場合には、気と陰(津液)を補うのに人参・麦門冬・五味子・石膏・知母・地黄・当帰・芍薬などの生薬が入った竹葉石膏湯・麦門冬湯・生脈散・味麦地黄丸・滋陰降火湯・補中益気湯などを病態にあわせて使用する事により改善する必要があります。

慢性上咽頭炎だから、この漢方薬になるという風にはならずに、その方の上咽頭周辺の状態と特に胃腸の状態を考えて漢方薬をあわせる必要があります。

さらに漢方薬に対しての反応は人によって違いますので、服用量も大人だからこの量・子供だから少なめの量ではなく、漢方薬を服用した後の反応で調整する必要があります。

よってお身体の事をしっかり聞いて、相談にのってくれる漢方の専門家の方にご相談しながら漢方薬を飲む事をおすすめします。

日常生活で気をつける事

・食べ物について
砂糖が多く入った食べ物や飲み物・油っこい食事・もち米・香辛料・お酒などは上咽頭の炎症を悪化させるので、炎症が強い時は控えましょう。

睡眠について
漢方ではしっかり睡眠をとる事で気と陰を養う事ができると考えています。
特に乾燥感が強く上咽頭が痛む方・粘り気の強い痰や後鼻漏がのどにへばりつく方は睡眠時間は最低7時間以上は確保するべきです。

鼻うがいについて
上咽頭を物理的に自分で毎日きれいにするには鼻うがいが効果的です。
後鼻漏の中・粘膜上に存在するウイルス・細菌・細胞の残骸を洗い流す事によって、炎症を鎮める能力を回復してくれます。慢性上咽頭炎からくる不快症状が強い方は、起床時と帰宅時もしく入浴時に1日2回は行うのが良いです。

Bスポット療法(EAT)で治らない慢性上咽頭炎でも、漢方薬で治療する事で改善できますのでご安心してください。慢性上咽頭炎でお悩みの方は漢方の専門家にご相談してみてください。