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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

歯医者に行っても治らない口臭に、漢方薬が効果的な理由【改善率が違い、体調も良くなる】

2019年08月02日

口臭に対して漢方薬の効果の考察

ツイッターをはじめて1ヶ月ごろに、フォローしてくれた方の中に口臭に悩んでいる方がいることを知りました。

そしてネットで検索すると、世の中には口臭で悩んでいる方が多く存在する事も知り、少しでもその悩みの解消の手助けになったらと思いブログを書くことにしました。

口臭でお悩みの方で何か治療方法を探していらしゃるのであれば、怪しげな民間療法や健康食品に比べれば、歴史的にも学術的にも深い漢方治療をオススメします。

漢方薬で100%治せるとは言い切れませんが、治癒する確率が断然違います。

そして口臭以外のさまざまな症状が共に改善します。

西洋医学的な口臭の分類

西洋医学的な口臭の分類
  • 生理的口臭(ストレスによる口臭も含む)
  • 病的口臭
  • 飲食物、嗜好品による口臭
  • 心理的口臭

飲食物と嗜好品による口臭は改善が難しくないので省き、心理的口臭も実際には口臭がないので、今回はブログに書きません。

病的口臭の、鼻腔内と副鼻腔内が原因で起こっている口臭は、治療方法は少し違うアプローチを考えなければいけませんが、唾液と鼻水は体液という共通点を持つために、漢方で治療を行う時は重なる部分も多いですが、今回のブログから省き、別の機会に書くことします。

病的口臭の一部(糖尿病、肝臓疾患など)は、口臭の発生原因の位置が血液を介していますので治療方法が違うので、これもまた別の機会に書くことにします。

「なんだ、除外する項目が多いな?」と思わえた方がいると思いますが、世の中の口臭で悩んでいる方のほとんどの人が、生理的口臭と病的口臭の一部であるからである。

そして、これらの口臭のほとんどが、結果的に口内環境(特に唾液の分泌量唾液の質)を整える事により、口臭を発生してる原因を解決できます。

結果的に口内環境を整えるというのがポイントで、漢方や中医学的に心身の全体状況を整える事により、西洋医学の直接的な歯や歯茎の治療や舌苔の除去といった治療方法とはまた違った方法で、口内環境を整える事ができます。

逆に言えば、心身の不調から起こっている口内環境の乱れは、口内のみの治療をいくらしても、時間が経てば戻ってしまうので、心身の不調を整えなければならないという事になります。

口臭の発生場所

口臭の発生場所
  • 口内(バイオフィルム[細菌の巣]の形成)
  • 消化管⇒口内
  • 鼻腔、副鼻腔⇒口内(今回はこの問題は取り上げない)
  • 血液⇒肺⇒口内(今回はこの問題は取り上げない)

細菌の増加と活動こそが口臭の原因

口臭だけなく、体臭の主な原因(病的口臭と同じで体内が発生原因もある)も同じで、細菌の増加と活動により、人間には不快に感じるガスが大量に発生することが原因です。特に揮発性硫黄化合物であるメチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサルファイドといわれる物質が、野菜などが腐ったようなニオイを発生させているといわれています。

まずは、口内環境を物理的に整える

真剣に口臭で悩んでいる方からしたら、当たり前の事かもしれませんが、まずは虫歯や歯周病を持っている方は治療しなければなりません。

特に、歯周病(歯肉炎、歯周炎)に関してはは歯垢と歯石が原因であり、プラークが形成される、そのプラークは細菌の巣であるので、口臭の原因になります。

歯医者の定期的に通い、歯垢や歯石を除去してもらうだけでも一気に細菌の数が減り口臭は改善されます。後は歯垢を残さないように、歯磨きと歯間ブラシを使用して、ていねいに毎日行います。

口内環境を徹底的に整えているけど?

  • 毎日ていねいに歯をみがき、歯間ブラシを使い歯垢を除去している。
  • 舌ブラシを使い、舌苔をしっかり除去している。

それなのに、すぐに歯周病や虫歯になったり、舌苔が増えてしまう。

歯周病、虫歯、舌苔がないのに口臭が発生してしまう。

このような場合は、何らかの形で、細菌が繁殖してしまっている事が考えられます。

そして細菌の繁殖を防ぐのに大変重要な唾液の分泌量や質が、衰えてしまっているのかもしれません。

唾液の役割

通常1日1〜1.5L分泌されており、睡眠時は半分ぐらいに減少します。

  • 口内を潤し、適度な温度を保つ。
  • 消化を助ける。
  • 食べかすを洗い流して清潔に保つ。
  • 抗菌作用。
  • 口内のPHを一定に保ち細菌の繁殖を抑える。
  • 体温調節作用。

唾液腺には、ドロっとしたムチンという粘性の高いものを分泌するものと、食塊や粘液を表面をなめらかにする、サラッとしたものを分泌するものがあります。

これらの腺の働きにより、口内の唾液の分泌状況と唾液の質が決定されます。

唾液の役割を見てもらえば分かる通り、唾液は抗菌作用や又は細菌を繁殖しにくくなる環境づくりに大きく関与しており、病的口臭の内蔵疾患が関与している場合と副鼻腔炎、鼻腔炎などの場合を除き、虫歯や歯周病も含めて唾液の状態を整える事が、口臭の改善につながると行っても過言ではないぐらいです。

口臭への漢方薬での治療方法(全体的イメージ)

口臭への漢方で改善できるアプローチを舌苔虫歯と歯周病内臓の視点に分けて考察していきます。

舌苔について

まずは西洋薬医学的な見方では舌苔が細菌の巣になっており、口臭の発生原因になっているのであれば、舌ブラシで除去します。

舌ブラシで舌苔を除去してようとも、数日も経たないうちにまた元に戻っているのではないでしょうか?

その場合は漢方薬が有用であります。

中医学では「舌は内臓の鏡」といわれ、その人の内臓の状態がどのようになっているか?という事の情報の一部を知らせてくれています。

そしてその方の体質や病理状態にあわせて、適した漢方薬を飲むことにより、舌苔が増減することは日常茶飯事であります。

逆に言えば、舌苔の発生源は、口内にはなく体内の五臓六腑の不調が原因で発生していますので、その人にあった漢方薬を内服しない限り、舌ブラシの除去のみでは永続的な除去は非常に難易度は高いように思えます。

我々のような漢方を勉強するものでも、全ての舌苔の状態を変化させれるものではなく、一部の人では不快な症状が消失したが、舌苔は変化がないという場合もありますが、あまりにも舌苔が正常状態とかけ離れている場合は、適した漢方薬を飲めば何かしらの変化はあるものです。

漢方治療による舌苔の変化の記事を添付しておきますので、ご興味がある方はご覧ください。

口臭をなくすために

  • 五臓六腑を整える⇒舌苔を減少させる⇒口内に細菌が繁殖しにくい環境を作る

なんだか順序が変なような気がしますが、今回は除きたい症状が口臭なのでこのようになります。

虫歯と歯周病

これに関しては「まずは物理的に整える」の項目のところと重複しますが、まずは歯科医で清掃してもらうのが、圧倒的に効果が速いです。

しかし歯科医に定期的にかかっているが、すぐに歯周病になる方や、虫歯になる方は、漢方的には口内炎や歯周病、虫歯に関しても五臓六腑の不和から原因を求めるので、その方に適した漢方薬を内服することにより、口内環境を整えることをオススメします。

内臓(舌苔、虫歯と歯周病以外)

この場合は舌苔や歯周病、虫歯など局所的な問題ではなく、もっと全体的に細菌が繁殖しやすくなっている場合です。

何らかの原因により、口内環境を保ったり、殺菌作用のある唾液の分泌が悪くなったり、唾液の質が変化したりすると、口内に細菌が繁殖しやすくなり口臭が発生します。

細菌が繁殖しにくい環境を、口内から胃さらには膀胱、肛門まで、清らかな川が滞りなく流れているイメージを描いてもらうとわかりやすいと思います。

清らかな川をイメージ

このように口内から、適度な量と質(粘度)でさらさらと常に唾液などが流れているイメージです。

常に流れていて、滞りがない場合は細菌が一箇所に滞りににくく、食後の食べカスなども口内に滞りにくく、口臭が発生しにくいです。さらには正常は川の水はある程度の、殺菌作用をもっているとします。

もしストレスや体調不良、体質の変化により、口内や粘膜温度の上昇や唾液の分泌量低下や質の変化(ムチン質の増加による唾液がねばつく)により、上流から下流にかけての流れが滞ると、赤潮のような現象がおきます。

赤潮のような停滞

川の自浄作用は低下して、口臭を発生する細菌が繁殖しやすい環境になることがイメージできる思います。

また別のパターンでは、唾液に関してはそれほどの異常はないが、胃腸の動きの低下や亢進により、食べたモノが排出されにくい状況もあります。

その場合も流れに滞りが出てくる事により、口内ではないが小腸〜大腸にかけての食塊の停滞による間接的な口臭の発生です。

食積による停滞

このようなイメージです。

舌苔、虫歯、歯肉炎であれ、結局のところ漢方で口臭の治療する場合は内臓(五臓六腑)の不調を整えて、口内から膀胱、肛門までの流れをよどみのない清流に戻すことです。

口臭への漢方での治療方法(具体的イメージ)

では、具体的に漢方薬を使用することによって、簡単ではありますが「どのようなに改善していくか?」という事をイメージしやすいようにタイプ分けをして書いていきます。

①口内に乾燥傾向があり、唾液の質がねばつくタイプ

主に唾液や胃液が不足するタイプで、自覚症状としては口内の乾燥感が気になる事が多いです。また感冒にかかったりすると、痰が切れにくい咳が起こりやすい体質でもあります。そのような時は、のど飴を好む傾向があります。

腸管内の潤い成分も不足していることもあり、便秘に悩んでいる方もいます。

唾液の量自体が少なかったり、唾液のさらさら成分の比率が少ないのでネバついたします。舌苔は少なめ(もしくは苔がない)の傾向を示す事が多いです。

唾液量の低下と質の低下により自浄作用(流通&殺菌)低下により、口臭が発生していると考えられます。

治療のポイントとしては、唾液のさらさら成分の分泌を促す事によって唾液の自浄作用(流通&殺菌)を高めて口臭を改善していきます。

使用する方剤例(漢方薬)

  • 麦門冬湯、竹葉石膏湯、釣藤散、滋陰降火湯、味麦地黄丸など

②口内に乾燥感はあまりなく、少しねばつくタイプ

乾燥傾向はあまりなく、どちらかという口内が少しねばつくタイプで、舌苔も白色の苔が多く付着している事が多いです。

胃腸の不調を訴える方も多く、水気の多い白色の痰を吐き出す事もあります。

このタイプの方は何らかの原因(疲労、ストレス、胃腸虚弱体質、食生活)で、胃腸の動きが弱っている事が多く、口内の唾液の輸送力低下による停滞、食塊の輸送力低下、胃腸機能低下から起こる免疫力の低下により口内の細菌の増加し、口臭が発生していると考えられます。

治療のポイントとして胃腸の弱り具合、ストレスの有無により生薬を選び、胃腸の流通を改善する事により、口内の唾液の流通を整えて口臭を改善します。

使用する方剤例(漢方薬)

  • 二陳湯、半夏白朮天麻湯、六君子湯、柴胡芍薬六君子湯、香砂六君子湯など

③口内に乾燥感はほとんどなく、ねばつきが酷いタイプ

②のタイプよりさらに、口内のベタつき感が酷く、乾燥感はあまり感じません。極端な人では口内に乾燥剤を入れたいほど、べたつき感が酷いです。べたつき感ではなくヌルヌル感を感じ方もいます。もし乾燥感があったとしても、大量の水分をとったりすると、逆に胃の調子が悪くなります。

これらの方も胃腸の不調を訴える事が多く、たまにみぞおち〜下腹部にかけて張った感じがあり、痛みを感じる方もいます。舌苔はべっとりとした白色の苔が大量についている方が多いです。

このタイプの方も胃腸の動きが弱ってはいますが、胃腸の元気がないというようよりは、生まれながらの神経質な性格、もしくは非常に鬱憤(うっぷん)のたまる環境での生活を送っていることが多いので、自律神経の乱れから胃腸、咽候部の嚥下機能の動きが悪くなっています。

そのせいで、唾液の流通が極めて悪くなり、自浄作用の低下から殺菌が繁殖する事により、口臭が発生していると考えられます。

治療のポイントとしては、胃腸の弱りを補う生薬に加え、自律神経の乱れにより、まるでロックがかかってしまっているような咽候部と胃腸のロックを解除するために、気を強く巡らすことができる生薬(厚朴・檳榔子・大腹皮)を使用して、咽候部、胃腸の動きを回復させます。それにより唾液の流通が良くなり、自浄作用を回復させることにより口臭を改善します。

使用する方剤例(漢方薬)

  • 藿香正気散、半夏厚朴湯、延年半夏湯

④口内にやや乾燥感があり、熱感とねばつきがあるタイプ

少し複雑なタイプです。口内にネバつき感と熱感があり、やや乾燥感もあります。①のタイプに似ているのですが、①のタイプに比べれば乾燥感が強くなく、ネバつき感の方が強いです。

①のタイプは舌苔が少ない(もしくは苔がない)のに対して、このタイプは、黄色のべったりとした苔が、多く付着している事が多いです。

冷たい飲みものを好む傾向が多く、胃痛を抱えている方もいます。たまに痰を吐き出す場合は、黄色の切れにくい痰を排出します。

②、③のように胃腸の弱りもありますが、アルコール飲料、味の濃いもの、油モノを好む傾向があります。食生活、ストレスなどで、胃腸の流通が悪くなり、気が鬱滞することにより、胃から咽候部、口内の粘膜の温度上昇により、唾液が濃縮されての自浄作用低下と、粘膜の温度上昇で細菌自体の繁殖力増加により、口臭が発生していると考えられます。(粘膜温度の上昇を伴うタイプは、口臭を強く感じる事が多い。)

治療のポイントとしては、②、③と同じく胃腸の弱りを補う生薬は使いながら、上昇した粘膜温度を降下させるために、冷やす生薬を使用します。

時には唾液の濃縮が酷く、乾燥傾向が強く見られる場合は①のタイプのような潤す生薬を加える事もあります。そうする事により口内環境を整え口臭を改善します。

使用する方剤例(漢方薬)

  • 温胆湯、強結胸散

⑤乾燥感はなく口内にねばつき感と熱感があり、下半身に冷えがあったり、軟便になるタイプ

みぞおちや胸のあたりに詰まったような感じがあったり、胸のあたりザワザワ感があったりします。人によっては、胃の不調による吐き気や痛みがある場合もあります。

胸から頭部にかけては、ほてり感や熱感があるのに、下腹部や足が冷えたりして軟便になったりします。

ストレス、考えすぎ、食生活の乱れから、胃から上は熱をもち、下は冷えるという上下のアンバランスな状態を形成してしまいます。

それにより唾液の流通悪化、粘膜温度の上昇によって、口臭が発生していると考えられます。

治療のポイントは、体の上部は冷やし(クールダウン)ながら、下部を温めるという事を漢方薬で実現しなければなりませんので、少し複雑な組み合わせになります。

またその人の特有の冷えと熱のバランスや部位により、生薬の組み合わせを考えなければなりません。

寒熱のアンバランスを、うまく解消できる組み合わせの漢方薬を内服すれば、上下のアンバランスは解消されて、粘膜温度の平常化と唾液の流通を元に戻す事によって、口臭を改善します。

使用する方剤例(漢方薬)

  • 半夏瀉心湯、黄連湯、柴胡桂枝湯

⑥口内、のどに渇きがあり、みぞおち、胸のあたりに熱感があり便秘を伴うタイプ

どちらかというと、食欲が旺盛な方が多く、しっかり食事はとるが、便秘もしくは大便の出が悪いタイプです。口の乾きがあり冷たい飲みモノを好み、人によって大量に飲みます。舌の色は赤みが強かったり、苔は黄色く着色して乾燥している場合もあります。

体質的に胃腸が丈夫な方が多く、現代の高カロリーで味が濃く、油ものの多い食生活や、好きなタイミングでアルコールを飲める事により、胃腸の機能が亢進状態になっているイメージしてもらえば良いです。

胃腸が亢進状態になりれば、水分吸収能力が上がり、大便の乾燥傾向が進みます。

大便が排出できない事による、唾液や胃液などの体液の流通阻害と、粘膜の温度の上昇、そして腸内の不要な食塊の長期滞留による、吸収での血液⇒肺⇒口内、汗腺ルートでの口臭と体臭も発生する事になります。

このタイプの口臭が一番強烈に感じる事が多いです。

治療のポイントは、何よりも腸内から不要な食塊を排出させる事です。

粘膜温度の上昇が酷い場合は、対応する部位を冷やす生薬を加え、ストレスにより胃が不調をおこしている場合は、ストレスを発散する生薬を加えます。

各所の粘膜の温度を平常にしながら、排泄期間を短くすることにより、不要な食塊を溜めないようにする事により口臭を改善します。

使用する方剤例(漢方薬)

  • 三黄瀉心湯、大柴胡湯、茵蔯蒿湯

以上で、非常にザックリではありますが、わかりやすいようにタイプ分けをして、口臭に対する漢方薬での治療する場合の治癒パターンを記載しました。

しかし実際の臨床では、キッチリタイプ分けできないので、微妙な調整をしなければならないケースや、上記に記載していないタイプもあります。

よって、こまめに見てくれる漢方家と手を組み、口臭を引き起こしている原因をしっかり解消する事ができる漢方薬が見つかれば、長い間、悩んだ口臭の解消も可能です。