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漢方薬で不快な症状のない生活に 漢方薬で不快な症状のない生活に

不安(不安障害・パニック障害)と漢方薬について

2023年03月07日

不安(不安障害・パニック障害)と漢方薬について

不安(不安障害とパニック障害)の漢方相談

生きていると不安な事はたくさんありますよね。

落ち着かない・集中力の低下・やる気が起きない・ほてり・発汗・動悸・口の乾き・手足の冷え・肩や首のこり・頭痛・不眠・食欲の低下・腹痛・下痢などの不安からおこる不快な症状のひとつは、誰もが体験した事があると思います。

たいていの場合は、不安からくる不快症状をかかえながら日常生活を送っていると、時間とともに不安がやわらぎ不快症状も消失します。

しかし不安が長期に続き、会社や学校に行けなくなったり日常生活に支障が出た場合には、全般性不安障害やパニック障害と病院で診断されます。

全般性不安障害は、コントロールできない不安が持続的におこる事により不快症状が出ます。

パニック障害は動悸や息苦しさが急激におこるパニック発作と、「また起こるかも?」と不安を感じ行動が制限される予期不安に、電車・飛行機・美容院・散髪屋などの拘束される空間を不安に感じる広場恐怖があります。

病院での標準治療は、選択的セロトニン再取り組み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、抗不安薬などを使用して治療していきます。

漢方相談の現場では、西洋薬を飲むほどでないが不安からくる不快な症状で悩んでいる方や、全般性不安障害(GAD)やパニック障害(PD)と診断され西洋薬を飲んでいるけど改善しない症状がある方・西洋薬に抵抗がある方・副作用が強く出てしまう方がご相談に来られます。

漢方薬は一部のパニック発作や、ストレス源がはっきりと思いあたらない不安症状には効果的な印象です。

逆に人間関係や不安になる対象物がはっきりと思いあたる場合には、短期に著効するのは難しく、西洋薬を使用しながらじっくり治療しつつ、ご相談しながら少しづつ症状を緩和させていくケースが多いように思います。

不安(不安障害・パニック障害)の漢方での治療のしかた

漢方は気を扱うのだから、「気を治療するのだろう」と思われる方も多いと思います。

たしかに気虚に対しては補気したり、気滞に対しては理気したりという言葉の概念はあります。

もちろんそのようなやり方でも効果がないわけではないですが、もう少し実際のお身体に歩み寄って治療した方が効果も高まります。

不安症状が出た時には、その人の体質によりどこかの部位に不快症状が現れます。

その不快な症状が出る部位はその人の弱点であり、その部位の不調がおこり続ける事でゆがみが全身に波及していきます。

そしてそのゆがみが回復しないまま、さらに不安を感じると不快な症状が強くなったり、不快症状を感じる時間が長くなったりして、治りにくくなっていきます。

その不安を受け続けたゆがみを漢方薬で戻していく事によって、以前のように不安を受けても不快症状が出にくいお身体にしていくのが漢方薬の役割です。

だから不安障害には◯◯◯の漢方薬、パニック障害には◯◯◯の漢方薬というふうにはならずに、その人の不安症状からおこったゆがみに対して治し方も違うので、使用する漢方薬も変わってきます。

このように漢方では胸〜お腹を

上焦→胸・頭

中焦→みぞおち周辺

下焦→お腹・足

で分けて考えます。

この3部位のどこでどのような不快症状をおこっているのかを観察したりお聞きして、不安からくる不快症状を受け続けた身体のゆがみを考えます。

胸でおこる症状(上焦)

動悸・息切れ・発汗・胸痛・窒息・めまい・寒気・熱感・肩こり・のどのつかえ・頭痛や頭重

みぞおち周辺でおこる症状(中焦)

吐き気・胃の不快感・胃の痛み・食欲不振・胃もたれ・脇腹のはりや痛み

お腹でおこる症状(下焦)

お腹のはりや痛み・お腹の動悸・ガス・下痢や軟便・便秘

パニック発作の場合は胸でおこる事が多いですが、一部の方では腹痛をきっかけにパニック発作がおこる方もいらっしゃいます。

長期的におこる不安症状はみぞおち周辺・お腹にも不快症状が広がっていきます。

では実際に漢方薬は身体のどのようなゆがみを整えていくのかをみていきましょう。

柴胡加竜骨牡蛎湯

思慮深い人が不安が多い生活を送ると、不安を解消するために色々な事を考えるが良い解決策が浮かばなければ、不安はさらに増していきます。

そのような生活が続くと胸部に熱とお腹に水気を生み、水気は弱った胸に突き上げる事で熱と水気がぶつかり過緊張・動悸・ざわざわ・音に敏感・驚きやすい・不眠などの症状を引き起こします。

このようなゆがみは柴胡加竜骨牡蛎湯で、不安からくる症状を起こりにくい身体に改善していきます。

・半夏厚朴湯

緊張しやすい性格の人が、不安が多い生活やお腹を冷やすような生活を続けていると、お腹の緊張と水気が生まれる事により、胸部で気が停滞してしまいます。

胸やのどの気が停滞する事により過緊張状態がおこり、のどの違和感(梅核気・ヒステリー球)・気分がすっきりしない・動悸・お腹のはりや痛み・ガスが多い・大便がすっきり出ないなどの症状が起こります。

このようなゆがみは半夏厚朴湯で、不安からくる症状を起こりにくい身体に改善していきます。

・甘草瀉心湯

お腹が冷えやすい体質・食生活のみだれ・不安が多く神経を使う生活が続くと、胸部の熱とお腹の冷えのアンバランスが生まれます。

そのアンバランスはみぞおちあたりのつかえ感・動悸・不眠・むかむか・口内炎・口臭・軟便や下痢などの症状が起こります。

このようなゆがみは甘草瀉心湯で、不安からくる症状を起こりにくい身体に改善していきます。

・帰脾湯

心のやさしい方が考えても打開策がないのに考え続けて自分を責め続けると、胃腸の弱りと神経の高ぶりが継続的に起こります。

その神経のじんわりとした高ぶりが胸部を弱らせて不安・動悸・睡眠の質の低下・頭のぼんやりした状態を起こしますが、食欲低下が低下しているので栄養できずに回復させる事ができません。

このようなゆがみは帰脾湯で、不安がおこりにくい身体に改善していきます。

・逍遥散

細かい事に気がついてまじめな性格の方が、ストレスや不安が多い生活が続くと、行き場のない思いが胸につもって気が停滞します。

胸部で停滞した気が熱をおび、いらいらしやすい・倦怠感・首や肩のこり・胸やお腹のなどの症状を引き起こします。

このようなゆがみは逍遙散で、不安からくる症状を起こりにくい身体に改善していきます。

・加味逍遙散

加味逍遙散は逍遙散に、山梔子と牡丹皮という熱をとる生薬を加えた漢方薬になります。

感じる不安の量が多かったり体質的に熱に変わりやすく、逍遙散では胸部の熱がとれない場合に山梔子と牡丹皮を加えた加味逍遙散を使う事により、胸部から気を発散するだけでなく小便からも熱をぬき、不安による症状を鎮めていきます。

ただし山梔子と牡丹皮の入った加味逍遙散はお腹の弱りが顕著な人が飲むと、お腹を冷やして食欲不振・胃もたれ・軟便や下痢を引き起こすので、熱の強さとお腹の弱さを考えて上で使う必要があります。

不安の漢方相談の症例

実際の漢方相談の症例を添付しておきますので、よろしければご覧ください。

不安の漢方相談は相談する方との相性も大切

不安から症状がおこるよう場合には、人につらい事を話したり・勇気づけてもらったりする事で症状が良い方に向かう事も少なくありません。

漢方相談は漢方薬を調整していく過程で、必ずコミュニケーションをとっていく必要がありますので、「自分と気があうな」と思う方や話していて気がゆるむ方を選ぶのも、不安症状または不安障害・パニック障害の治療をしていく上で大切です。

まずはご自身と気が合いそうな方を探して、少しご相談してみて「気があいそうだな」と思えば漢方薬をご依頼するのが良いです。