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「うつ消しごはん」このような人には効かない!

2019年08月31日

ミズホ薬店の山本です。

先日に、アマゾンさんで高評価の『うつ消しごはん』を読みました。

こちらの書籍を書かれたのは広島県で「ふじかわ心療内科クリニック」を経営されていらっしゃる、医師の藤川徳美先生です。

『うつ消しごはん』には藤川先生が患者さんに実践されている、食事療法とメガビタミン療法を素人でもわかりやすく、かみ砕いて書かれています。

アマゾンさんのレビューやフェイスブックなどを見ると

  • 「よく効いたよ😁ありがとうございました。」

という声が多く書かれていますので、非常に効果的な治療法であるようです。

ただし、効果がなかった人も一部いらっしゃるみたいですので

この機会に

  • 効果が出た人
  • 効果が出なかった人

の違いを漢方的な見方で考えたいと思います。(人間を全体的にとらえるのは漢方的な見方が便利です。)

「うつ消しごはん」で効果が出た人のタイプ

この書籍が、指摘しているうつの原因は

  • 現代の質的は栄養失調は「糖質過多+タンパク不足+ビタミン不足+ミネラル不足(鉄を含む)」に原因がある考えられます。このような食事を続けることで、エネルギー代謝がうまくいかなくなります。すなわちATP不足です。

と本書で指摘する通り、脳内で不足しているモノを食事やサプリメントでしっかり補う事でうつ症状を改善します。

卵黄やタンパク質、鉄剤など、食事の内容としては胃にとって重めのもので、内容的に考えると漢方でいう血を補うモノにあたります。

そして、その補充したタンパク質や鉄などを脳内に届けて神経伝達物質の働きを高めるために、ビタミンCやビタミンEで送るのではないかと考えております。

  • ビタミンC⇒酸味が強く、漢方でいう気を流す作用
  • ビタミンE⇒血行をよくするので、漢方でいう活血作用はあるかもしれません

が、ビタミンCは陳皮レベルの行気、ビタミンEは当帰レベルの活血ではないかと勝手に考えております。(漢方薬には気や血を巡らす強さによって、言葉を決めています。陳皮や当帰の巡らす力は比較的、弱いです。)

『うつ消しごはん』の治療法は、人間の精神作用に大きく係る脳の栄養素である血の元を補う事がメインであります。

心血不足タイプ

  • 心血不足タイプは精神を養う心血が不足しており、色々と物事を考える事がおっくうになります。

人により睡眠に影響がでたり、無気力になったり、うつっぽくなったり、イライラしたりします。

漢方では、この場合は心血を養いながら気持ちを落ちつかせるために、熟地黄、当帰、竜眼肉、酸棗仁、柏子仁、遠志などを使用します。

人の体質によって、胃腸の調子を整えたり、血や気の流れをよくしたり、慢性的な炎症をおさえるような生薬をくわえます。

グローバル化、インターネット、PC、スマートフォンの普及により、現代人は昔の人が経験したことがないほどの多くの情報量が、1日で入ってきます。

それだけに留まらず、情報量の増加は煩悩(ぼんのう)の増大(他人との比較をすることが多くなり、劣等感を感じることが増える、色々なモノや体験への欲をくするぐマーケティング)が、脳を養う栄養素(心血)の極端な消耗をまねきます。

そこに、藤川先生が指摘する現代の質的な栄養失調が、さらにうつ症状を発生しやすくしています。

そのようなタイプの人で、比較的胃腸のダメージが少なく丈夫な人は藤川先生が推奨する栄養素をしっかり吸収できる人は、効果が出ます。

「うつ消しごはん」で効果が出なかった人のタイプ

「うつ消しごはん」で効果が出なかった人のタイプ

胃腸が虚弱な人や栄養素を吸収できなかったり、胃腸が丈夫であるが、脳の毛細血管までのどこかにめぐりが悪くなったり、体内の水の質の低下(濁りがある)により、栄養素が目標まで届かないタイプの人は効果が出ません。

脾胃虚弱タイプ

  • 脾胃虚弱タイプは、そもそも、食欲がなく無理して食べると胃もたれを起こしたり、便秘や下痢になったりします。

生まれつき、胃腸が弱い場合もありますし、何かのストレスを受けるたり働きすぎにより、胃腸の働きが悪くなり、慢性的に胃腸が弱くなっている場合もあります。

胃腸自体の働きが悪くなっているため、口から摂取するものの吸収が悪くなるので、身になりません。

生まれつき胃腸が弱いタイプは、胃腸の働きを高める、人参・白朮・茯苓・甘草といった生薬を使う事により胃腸の働きを高める事ができます。
さらに胃腸に冷えを感じるタイプには乾姜、桂皮といった温める作用が強い生薬を、その人の体質によって加えます。

ストレスにより胃腸の働きが悪くなっているタイプの方は、胃腸の働きを高める生薬に、ストレスにより胃腸の働きを悪くなっているので、ストレスをやわらげる生薬を加えます。

ストレスで胃腸が悪くなっているタイプは、胃腸の動きが無理やりゴムなどでしばっているイメージをすると分かりやすいです。

ワゴムで胃や腸をぎゅーと無理やりしばりつけているので、いくら胃の働きを高める生薬(人参など)を摂取しても、胃腸の働きは回復しません。人によっては胃腸の炎症をさらに悪くしています場合もあります。

その場合は、そのしばりつけているワゴムをほどいてあげる生薬を必要とします。

例えば柴胡、半夏、枳実、厚朴、檳榔子、香附子、芍薬など、その人のストレスのかかり具合と体質、状態によって生薬の使い分けをします。

胃腸に対してワゴムのしばりつけが原因で、炎症がおこっている場合には、炎症を鎮める作用のある黄芩や黄連・大黄などを使用します。

長期的にストレスがかかっている場合は、胃腸のしばりつけだけでなく、弱っている場合もありますので胃腸を元気にする生薬を一緒に使います。

痰濁タイプ

  • 痰濁タイプは、その水の流れが悪くなり、濁ったり、粘ついたりしている状態です。

人間の体内にはあらゆるところに水が存在して、その水 は通常はよどみなくさらさらと巡っている状態が、健康な状態を維持する上ですごく重要です。

(細胞間液などの水を想像してもらうと、少しはオカルト的なイメージは消せると思います。細胞の中の水が、詰まったり動きが悪くなったりして、細胞の働きが悪くなると、傷んだ組織を修復できないですよね?)

水が人間の体内を巡らなくなるため、その場所には摂取した栄養がいかなくなります。いくら良質な栄養素を吸収しようがその流れが悪くなっている場所には届かないので、意味がありません。

さらにその栄養素が、ドロっとしたようなモノだと、その流れが悪くなっている場所の水の質は低下して、さらに栄養が届かない状態になるといった悪循環を引き起こします。

藤川先生が『ウツ消しごはん』内で指摘されているトランス脂肪酸などの「狂った脂肪」もそうですが、痰濁状態がひどい場合は卵黄や肉の脂肪なども悪循環を引き起こす原因になります。

この場合は痰を除去するために、痰の質によって半夏、陳皮、枳実、竹筎、栝楼仁、麦門冬、茯苓、生姜などの生薬を使用します。

胃腸の弱りやストレスによりさらに悪化させているタイプが多いので、胃腸虚弱タイプの生薬を併用する事が多いです。

瘀血タイプ

  • 瘀血タイプは、特に細かい血管の流れがよくない状態です。

人間の体内には大きな血管から、非常に小さな血管まで、様々な大きさの血管がはりめぐらされています。そして、その血管により食事で得た栄養素や呼吸で得た酸素を体のすみずみまで送り、不要ななったモノや二酸化炭素を回収しています。

小さな血管の血の流れは・疲労・冷え・炎症・自律神経の乱れ・ストレス・食生活・手術・事故などの影響が悪くなりやすいです。

そして、血の流れが悪くなった周辺の組織は、血管によって運ばれてきた栄養素が届かないために、組織の修復や機能低下がおこります。

この場合も痰濁タイプと同じく、いくら良質の栄養素を摂取しても、流れの悪くなった周辺には届きにくいので効果が出にくくなります。

その場合は、当帰、川芎、紅花、牡丹皮、桃仁、丹参、地竜、莪朮などの生薬を体質にあわして使用して、瘀血(おけつ)を除去して血のめぐりを改善する必要があります。

それに血の流れが悪くなった原因(胃腸の虚弱、ストレス、寒さや暑さなど)と体質によって生薬を加えます。

まとめ

以上の事から、『うつ消しごはん』で効果があった方は心血不足タイプが主な原因であるためで、脾胃の虚弱タイプ、痰濁タイプ、瘀血タイプには効果が出にくいです。

漢方の知識が無い方にもわかりやすいように、今回はざっくりとタイプでわけましたが、実際は明確に◯◯◯タイプと分かれるわけではなく、お互いに関係しあっています。

だから「『うつ消しごはん』は少しは効果が感じられるのだけど、明らかにうつが改善したってわけではないんだけどなーー😔」という方は、上記のどれか(脾胃虚弱、痰濁、瘀血)にも原因があるのかもしれません。

もし、今回の記事を読んで頂き、「一理あるな?」と思われた方は、近くの漢方薬屋さんに相談してみるのも良いと思います。

漢方薬は、西洋医学の治療をサポートするのに非常に適した治療法でもあります。

*追記

その後に『「うつ」は炎症で起きる』という書籍を読み、痰濁タイプと瘀血タイプについての西洋医学的な根拠が記載されていましたのでブログを書きました。

漢方薬でこころの病気・メンタルの病気をどのように治療していくのか?という事を、漢方薬の知識がない方にもわかるようにブログを書きました。

不安(不安障害・パニック障害)からくる症状への漢方の治療についてのブログを書きました。